【QAあり】サイバーセキュリティクラウド、2Q累計は前年比増収増益 下期も積極的なマーケティング投資を実行し露出機会を増加
業績の概況
小池敏弘氏:株式会社サイバーセキュリティクラウド、代表取締役社長の小池です。本日はお忙しい中、2024年12月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私から、2024年12月期第2四半期の決算概要とトピックスについてご説明します。
業績の概況として、第2四半期累計で、売上高は18億4,300万円、営業利益は4億8,900万円、経常利益は5億4,900万円で着地しています。いずれも昨年と比べ、着実に成長しています。
下半期はさらなる成長のため、採用強化やマーケティング施策を実行する予定です。現状としては、期初に公表した予想のレンジを目指して進んでいます。
ARRの推移
ARRの推移です。第2四半期は34億9,000万円、前年同期比プラス21.3パーセントで着地しています。第3四半期には「WafCharm」の価格改定を実施する予定で、それに伴い、第3四半期のARRは「WafCharm」によりプラス1億円前後を見込んでいます。
攻撃遮断くんとWafCharmの解約率
解約率です。「攻撃遮断くん」「WafCharm」ともに大きな変化はありません。引き続き、しっかりとお客さまと向き合い、解約率の低位安定に努めていきます。
売上高の推移
売上高は、第2四半期は8億8,900万円、前年同期比プラス20.9パーセントとなりました。第1四半期の9億5,300万円から減少しているように見えますが、昨年度より開始したデジタル庁案件の約7,000万円が計上された影響により、一時的に第1四半期の売上が増えたことによるものです。
スライドのグラフの大半を占めているストック収益は順調に増加しており、全体を通してネガティブな要因はありません。
営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移
営業費用は、第2四半期は7億1,500万円となり、主だった増減に関する要因として昨年から販売を開始した「CloudFastener(クラウドファスナー)」を中心とした製品開発に伴うサーバー等の通信費、特にドル建て払いの通信費や原価が為替の影響により増加したことがあります。
また、いくつかのマーケティング施策、特に外部イベントへの出展が重なったことに伴う広告宣伝費も増加しています。
期初には、為替について読めない部分もありましたが、広告への投資などは計画どおりに進んでいます。下半期も、昨年出展したAWS社主催の大きな年次カンファレンスへの出展を見込んでおり、引き続き必要な投資を続けていきます。
サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員
従業員数は第2四半期末時点で131名です。今期は、4月に新卒社員も入社しました。
さらなる成長に向けて、非常にユニークで力強いスキルや経験を持った方たちが次々と入社してくれています。引き続き、すばらしい人員を増やしていくために、採用活動を強化していきます。
CloudFastenerを富士ソフト社の独自ブランドとして販売開始
2024年12月期第2四半期のトピックスです。
本年度より、富士ソフト社とは、新サービス「CloudFastener(クラウドファスナー)」の開発において、協業を始めていました。
この度は、富士ソフト社の持つ既存の大手顧客や、富士ソフト社の知名度を活かした新規のお客さまに対し、「CloudFastener(クラウドファスナー)」に富士ソフト社独自の付加価値を加え、新たに富士ソフト社による独自ブランド製品として「FujiFastener」という名称で販売されることになりました。
スライド右側の写真は、AWS社主催の大型イベント「AWS Summit Tokyo 2024」に初出展した時の様子です。当社は独自ブランドとして出展していましたが、富士ソフト社も「FujiFastener Powered by CloudFastener(クラウドファスナー)」として出展し、非常に多くの認知を集めました。
今後、当社独自で販売していくことはもちろん、富士ソフト社の顧客ネットワークも多大に活かしながら、両社で販売力強化を目指していきます。
CloudFastenerがAWSに加え、Google Cloudにも対応
昨年、「CloudFastener(クラウドファスナー)」はAWS上で構築されているWebサービスに対応したものを初期版として提供しました。今回、Google Cloud上のWebサービスも包括的に守ることができるバージョンをリリースしました。
近日中に、Microsoft社のAzureにも対応する予定であり、現在開発されているモダンなWebサービスの大半をカバー可能であると考えています。いずれのクラウドで開発しているお客さまにも「CloudFastener(クラウドファスナー)」を提供できるようになり、今後の事業展開にとって非常にプラスであると捉えています。
新たなAWS認定の取得による更なる信頼性の向上
当社は、AWSの注力サービス「Amazon Security Lake」のパートナーに、日本企業として初めて認定されました。
スライドの画像は、今年6月にアメリカのフィラデルフィアで行われたセキュリティ専門のカンファレンス「AWS re:Inforce 2024」での様子です。
画像中央に写っているAWS社のCISOより、AWSの注力サービスの1つである「Amazon Security Lake」を使用するにあたって、当社が推奨企業の1つとしてロゴ掲載されました。
「Amazon Security Lake」とは、日本も含めた世界中で「どのように活用して、セキュリティ強化をしていくか」について非常に盛り上がっているサービスです。
当社も、掲載されている名だたるグローバル企業と同等の技術力や信頼性を持っていると証明していただきました。今後、さらに多くの顧客を獲得するために活用していきたいと考えています。
国内セキュリティメーカー初となるクラウド型WAAPのサービス提供開始
「攻撃遮断くん」についてご説明します。国内セキュリティメーカー初となるクラウド型WAAPのサービスを提供します。
従前より、当社が提供してきたWAFに加えて、多くの企業で使われているAPIシステム同士の通信を保護する機能、ECを中心に非常に深刻な被害をもたらしているBotによる不正利用・不正購入をマネジメントして防ぐ機能、1つのサーバーやWebサービスに対して大量のアクセスを仕掛けてダウンさせるDDoS攻撃を防ぐ機能を追加したものをWAAPと呼んでいます。
当社には、WAFを10年以上提供してきた実績があります。WAAPにおいても「いち早く国内のお客さまに提供したい」という思いで、数年間にわたり開発を続け、満を持して提供を始めました。
主なお客さまは、高度なセキュリティを求める大手企業や、かなり大きなトラフィックがあるWebサービスを持つ企業が中心です。このような課題を持つお客さまへ導入を進めたいと考えています。
SIDfm に政府主導で対策が進む SBOM に対応する機能を追加
SBOM(Software Bill Of Materials)に対応する機能を「SIDfm」に追加しました。
現在、ほとんどのWebサイトの中には外部製品が組み込まれています。外部製品には、有償のものや、オープンソースと呼ばれる無償のものもあります。完成品の車の中にいろいろなメーカーが作ったものが組み込まれているような、従来の製造業の構造と似ています。
Webサイトを提供する会社自身が強固なセキュリティ対策を施していたとしても、その中に組み込まれた無料サービスに脆弱性があれば、完成品であるWebサイトが狙われるという事態がサイバーセキュリティの世界で起きています。
そこで、アメリカと日本において、政府主導で「中身に関してもしっかり見ていくように」という指針が出ています。SBOMとは、それらを一覧にしたものと捉えていただければと思います。
重要インフラ等を含めて、SBOMが提供するWebサービスに入っているものを可視化しようという動きがあります。「SIDfm」は、Webサービスやサーバーなどの脆弱性を見つけ、対策を提供するサービスです。
SBOMは昨年頃から注目されたため、どのくらい重視し、どのように使いこなすべきか、発展途上です。日本もアメリカも政府主導で進めていますので、しっかり追従したいと考えています。
国内外におけるマーケティング施策の強化
国内外におけるマーケティング施策の強化についてです。2024年5月から6月にかけて、日本及びアメリカで複数の大型カンファレンスに出展しました。
スライド左上は、アメリカのローカルイベントとしては初となる「AWS Summit Los Angeles」での様子です。当社の現地法人がロサンゼルスにあり、常々このエリアでお客さまを開拓したいと思っており、ようやく年に一度のイベントへの出展がかないました。
右上は、6月10日にアメリカで行われたセキュリティ専門カンファレンス「AWS re:Inforce 2024」での様子です。先ほどご説明した「Amazon Security Lake」の発表があったカンファレンスです。
「AWS Summit Los Angeles」と「AWS re:Inforce」では、アメリカのみならず中南米のお客さまのリードも多数取れました。実際に、トライアルが始まっているお客さまもいますので、成果にしっかりと結び付けたいと考えています。
左下は、業界では非常に有名な大規模イベント「Interop Tokyo 2024」です。右下に掲載した「AWS Summit Tokyo」にも出展し、実際に受注も上がってきています。
下半期においても、効果が見込まれるイベントには積極的に出展し、露出の機会を増やしていきたいと考えています。
質疑応答:SBOMによるビジネスチャンスについて
「御社にとって、SBOMによるビジネスチャンスはどれくらいあるのでしょうか?」というご質問です。
SBOMは、昨年から非常に注目されているトピックです。ビジネスチャンスに関しては、直接的にもたらす期待収益は未知数であると捉えています。ただし、SBOMという概念は重要な考え方であることは間違いありません。
SBOMは、サプライチェーンへの攻撃リスクをより具体的に示したといえます。大企業よりも中堅企業やベンチャー企業のほうが、さまざまな他社ツールを組み合わせて使っている現状で意識すべきなのは明らかです。
そのため、「SIDfm」の需要が高まることは間違いないと見ています。しかし、SBOMがどのくらい我々の収益に直接つながるかについては検証を進めていきます。今後、SBOM対応の製品をさらに作るべきと判断した場合には、決算説明会などで共有したいと考えています。
質疑応答:CloudFastener(クラウドファスナー)のOEM供給について
「『CloudFastener(クラウドファスナー)』について、富士ソフト社へのOEM供給は、2025年12月期売上高目標の50億円に含まれているのでしょうか? また、富士ソフト社以外への供給は今後あり得るのか教えてください」というご質問です。
2025年12月期を最終年とする成長戦略において、売上高50億円を目標としています。本計画策定時には、富士ソフト社との構想がなかったため、富士ソフト社へのOEM供給は売上高目標に含まれていません。この枠組みがうまく成長できれば、もともとの計画値にプラスできるのではと期待しています。
富士ソフト社以外への供給の可能性について、「CloudFastener(クラウドファスナー)」販売戦略の1つの目標として、数多くの販売パートナーへの提供があります。
富士ソフト社以外のSIerやクラウドインテグレーター、セキュリティコンサルティングなどへの「CloudFastener(クラウドファスナー)」提供はあり得ると考えています。現時点では、今回の「FujiFastener」のような独自ネームでの販売予定はありません。
質疑応答:「CloudFastener(クラウドファスナー)」の売上規模について
「『CloudFastener(クラウドファスナー)』について、2025年の売上規模のイメージを教えてください」というご質問です。
2025年の売上規模のイメージについて、各製品の具体的な売上高の目標は公表していません。スライドに、「攻撃遮断くん」「WafCharm」「Managed Rules」「SIDfm」「CloudFastener(クラウドファスナー)」のARR推移を記載しています。
現在、売上高の構成比は「攻撃遮断くん」が40パーセントほどを占めており、「WafCharm」まで含めると7割から8割に達します。スライドはARRですが、売上も同様の構成となっています。
「CloudFastener(クラウドファスナー)」については、売上高目標50億円を上回る結果に貢献するような成長を期待しています。
2026年以降の事業成長において、一番大きな柱になるよう投資を行っているサービスのため具体的な数字は差し控えますが、「攻撃遮断くん」や「WafCharm」と並ぶような規模の成長を目指しています。
質疑応答:富士ソフト社以外との協業について
「富士ソフト社以外でも、協業等の引き合いはあるのでしょうか? その場合、富士ソフト社からは権利収入のような料金を受け取るのでしょうか?」というご質問です。
販売パートナーとしての「CloudFastener(クラウドファスナー)」提供については、富士ソフト社以外にも複数社と話が進んでいます。実際に販売を進めているパートナーもおり、富士ソフト社以外のパートナーによる販売も増えていく予定です。現時点では、富士ソフト社のように、共同で開発、販売を行っているような会社はありません。
富士ソフト社との「CloudFastener(クラウドファスナー)」事業における業務提携の中で、富士ソフト社が開発リソースの一部を拠出しているため、富士ソフト社が販売した場合には、販売に応じた一定のレベニューを受け取るかたちになっています。
質疑応答:問い合わせに対するソリューションについて
「国内のインシデントを受けて、問い合わせが増加しているとのことですが、具体的なソリューションについて教えてください」というご質問です。
日本国内でサイバー攻撃による被害が相次いでいる現状に伴い、当社への問い合わせやコーポレートサイトへのアクセスが増加しています。具体的なソリューションは、当社の持つサービスをご紹介することに尽きます。
問い合わせをいただくお客さまには大きく2パターンあります。1つ目は、対策が完璧でないことを理解しており、「うちも危ないかな」と問い合わせをいただくケースです。
2つ目は、現状を認識していない白紙の状態で、漠然と「怖いけれど、どうしたらいいか」と問い合わせをいただくケースです。
前者の場合には、当社のサービスがフィットすればご案内します。後者のように漠然としている場合には、対象がクラウド上で作られていれば、「CloudFastener(クラウドファスナー)」のように包括的に対策できるものをご案内するよう進めています。
質疑応答:「攻撃遮断くん」のARR及び利用企業社数減少について
「主力プロダクトである『攻撃遮断くん』のARR、利用企業社数ともに第1四半期から減少している理由を教えてください。営業リソースを『CloudFastener(クラウドファスナー)』へ注力しているとQ&Aで見ましたが、どの程度リソースが減少したのでしょうか? 第3四半期以降、復活する兆しはあるのでしょうか?」というご質問です。
利用企業社数は、ホームページで公開している決算説明資料に含まれています。スライドのとおり、「攻撃遮断くん」のARRは15億5,900万円から15億5,100万円に減少しています。
2024年12月期の期初から、WAF事業のリソースを「CloudFastener(クラウドファスナー)」を中心としたマネージドセキュリティサービス事業に一部割り振りをしました。加えて、一時的な営業人員の退職、一部の大型顧客の解約が重なったため、ARR及び利用企業社数が減少しました。
確定的なことは言えませんが、第3四半期以降の復活の兆しはあると考えています。「攻撃遮断くん」マーケットの減少トレンド、あるいは「攻撃遮断くん」自体の需要減少という事実や懸念は現時点ではありません。
今回の現象に関しては、私も非常に悔しく、本意ではありません。もう少し方法を変えていれば、伸ばせた可能性があったと反省しています。体制やリソースを再調整し、また成長できるよう努めており、今後も十分に期待しながら事業を進めています。次回以降の決算では、プラスに転じるところをお見せしたいと思います。
質疑応答:各プロダクトの価格改定の方針について
「各プロダクトの価格改定の方針について教えてください」というご質問です。
第3四半期に「WafCharm」の従来プランの価格改定を実施しました。現時点で、正式に決まっている価格改定はありません。
各社の決算やニュースなどでも取り上げられているとおり、当社だけでなくITサービスを提供している会社には、インフラコストが上昇している影響が押し寄せてくると認識しています。
しっかりと価値ある製品を作りながら利益を確保していくため、価格改定を検討しています。世の中に受け入れられるタイミングで、適切な判断をしっかりと実施していきたいと考えています。
質疑応答:全社人員の今期末の計画について
「全社人員の今期末の計画を教えてください」というご質問です。
具体的な数字は公表していませんが、従業員数の伸び率を鈍化させないよう、必要な人員をしっかりと強化していきたいと考えています。
一方で、人を増やすだけでなく、生成AIの自社利用も含めた生産性の向上に取り組んでいます。「売上と従業員数の増加を正比例させない」ということを基本的な考え方としています。
本日は、決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
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