AI CROSS、FY2026はAI事業の黒字化・株主優待廃止で利益率改善見込 RCS拡大で中長期的な成長を図る
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原田典子氏(以下、原田):みなさま、こんにちは。AI CROSS代表取締役CEOの原田です。当社の2025年12月期の決算についてご説明します。
本日の流れです。はじめに、第4四半期における当社のグループ体制の変更についてご説明します。その後スライドに沿って、業績とメッセージング事業の概要、2026年度の戦略、株主優待に関する補足をお話しします。
当第4四半期におけるグループ体制の変更について

原田:昨年10月に当社は株式会社ロウプを連結子会社化しました。2025年第4四半期からロウプ社の業績も織り込んでいます。ロウプ社の買収は、メッセージング事業の多角化や、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の向上を目的にしています。
また、これに伴い、マーケティングソリューション事業を新設しました。これまで当社はSmart AI Engagement事業として単一セグメントで開示していましたが、マーケティングソリューション事業を加えることで、私たちのソリューション全体にさらに厚みを持たせる狙いがあります。
そこで、ロウプ社の事業を、マーケティングソリューション事業として独立して開示することにしました。
FY2025.通期業績ハイライト(2025年1月1日~12月31日)

原田:第4四半期の業績ハイライトです。第4四半期の売上高は41億5,100万円、営業利益は3億7,000万円、経常利益は3億6,600万円、四半期純利益は1億6,500万円で着地しました。
特に売上高と営業利益、経常利益は上場来最高を更新しており、メッセージングサービスの国内のお客さまを中心に、順調に業績を伸ばしています。
FY2025.4Q業績ハイライト(2025年10月1日~12月31日)

原田:四半期のハイライトです。売上高は12億4,600万円で、こちらも上場来最高となりました。営業利益は一過性コストを加味し9,700万円、経常利益は9,000万円、四半期純利益は4,400万円となりました。
塩谷航平氏(以下、塩谷):第4四半期にロウプを子会社化したことで、かなりの増収を達成できていると思います。ロウプ社とのシナジーやLTVの向上、粗利益の改善などについて、どのような点があるか教えてください。
原田:当社はこれまで主にSMS、つまりテキストのショートメッセージを、企業から携帯端末へ送信する事業を中心に業績を伸ばしてきました。
今後、特に今年から来年以降にかけて、RCSと呼ばれるテキストだけでなく、リッチな動画や画像が送れるようになります。加えて、これまでのテキストのみの利用では、本人認証やレストランや店舗からの予約リマインダーなど用途が限られており、それでも成長してきた市場でした。ここに動画や画像が加わることで、マーケティングや販売促進の領域がさらに大きく伸びると考えています。
ただし、私たちはマーケティング領域において、自社のノウハウがまだ十分ではない部分があります。これがロウプ社を買収した主な目的です。ロウプ社の子会社化によって単純に売上を上積みするというよりは、事業シナジーの創出を目指しています。具体的には、ロウプ社のお客さまにRCSを提供することで、ストック型の売上に貢献していきます。
また、マーケティング領域でRCSの利用用途の型が確立してきたら、それを当社が持つ8,000社以上の顧客基盤に展開できます。この相互のシナジーによるRCSを活用したソリューションや型の構築に注目し、さまざまなシナジーを追求していきたいと考えています。
現時点では仮説検証を行っている段階ですが、その進捗の度合いに応じて、投資家のみなさまにわかりやすいKPIの開示を検討していきたいと思います。
売上高(四半期毎推移)

原田:売上高の四半期ごとの推移です。青色・水色・オレンジ色でこの四半期から表示しています。青色がメッセージングの国内のお客さま、水色が海外のお客さま、黄色がマーケティングソリューション事業を示しています。
ながらくSMS市場は、海外のお客さまにおいても非常に大きな成長を見せてきました。ここで言う海外のお客さまとは、外国に住む顧客ではなく、GAFAMのような外資系企業を指します。このような大規模IT企業は多くの会員を抱えており、SMSで本人認証を送信するニーズが存在しました。
今後は、RCSの普及が進むこのタイミングと、この数年の国内のお客さまの伸び率に注目していきます。この領域を深掘りすることで、より収益を高めていく方針です。9割弱が国内のお客さまですので、今後も国内の成長に注力し、収益をしっかりと伸ばしていくという戦略です。
営業利益(四半期毎推移)

原田:営業利益を四半期ごとに比較すると、第2四半期と第4四半期では株主優待の費用計上があるため、四半期ベースでは変動があるように見えます。ただし、事業に関しては安定して利益を出せる体制が整っており、通年で見るとしっかりと利益を確保できています。
また、ロウプ社のM&A仲介手数料が発生しているため、第3四半期と比べて減益となっていますが、これは一過性のコストです。
KPIサマリー(四半期状況)

原田:メッセージングサービスのKPIについてお話しします。私たちはメッセージングサービスのKPIとして、取引社数、SMS配信数、メッセージングサービスのARPUを開示しています。
取引社数は8,200社を超え、主に販売代理店経由での取引社数が増えています。
SMS配信数は約2億1,300万通で、前四半期比で10パーセント以上の成長を記録しました。SMSの市場は国内のお客さまを中心に依然として成長市場です。市場リポートである「ミックITリポート」において、今後4年から5年にわたり、15パーセントから20パーセントの成長が見込まれています。
このような市場の成長を背景に、SMS配信数をさらに伸ばすとともに、この基盤の上にRCSやAIといったソリューションを加え、また、ロウプ社の参加によりマーケティング領域においても利用用途を拡大していく考えです。
ARPUは約13万円で、前年同期比で若干減少しました。これは、当社が過去2年前まで海外のお客さまを中心に伸ばしてきた影響が関係しています。特に、海外の販売代理店である1社のお客さまが減少したことが大きく影響しました。
国内のお客さまの割合が90パーセント以上になると、よりわかりやすいARPUで国内のお客さまが伸びていることをお示しできると思います。
塩谷:ARPUについて、1社海外のお客さまの影響があったとのことですが、この影響はどのくらいの期間続くと見ておくべきでしょうか?
原田:海外のお客さまについてですが、本人認証の利用用途が主であり、こちらではなかなかコントロールが難しい部分があります。ただし、私たちとしては一定の配信単価より下げない方針ですので、それ以上の積極的な拡大は行っていません。そのため、この影響はあと1年から2年程度は少しずつ残ると見込んでいます。
塩谷:一方で、新規契約に関しては、ARPUが上昇する方向の値上げ、つまり御社にとって有利な契約条件で決まっているという認識でよろしいでしょうか?
原田:そのとおりです。特に大きい点として、SMSとRCSの単価構造がまったく異なることです。SMSは従量課金のみですが、RCSでは動画や画像を送れるため、ビジネスモデルのバリエーションを少しずつ増やしています。
従量課金で1通いくらという単価は、SMSに比べてはるかに高く上がっています。SMSでは単価がかなり下がる場面があるのに比べ、RCSではまだ2桁円の単価を確保できています。
メッセージングサービスのサービス戦略

原田:2026年の事業戦略と業績予想についてです。スライドはメッセージングサービスの戦略マップです。
私たちは「絶対リーチ!」というSMSとRCSのプラットフォームで、ほとんどの収益を占めていました。プラットフォームとは、シンプルに言えば、SMSの場合「配信数×SMS単価」を毎月お客さまに課金することによって、収益の8割以上をもたらしていたものです。
この部分については、先ほどお話ししたように市場が拡大していますので、RCSへの拡大によって収益をさらに伸ばしていきます。また、RCSの導入により利用用途が広がり、SMSでは限定されていた用途から特にマーケティング分野での活用を拡大していきます。
さらに、マーケティングオートメーションや、最近注目されているコールセンターの自動化といった成長市場に対し、RCSやSMSをAPIで組み込むことで市場拡大を目指す取り組みを引き続き進めています。
より注力しているのが、ソリューション化と呼んでいるものです。RCSを導入することで、お客さま側も単に何通送るかという枠を超え、SMSでは「届いた」で終わっていたところが、RCSでは他のSMSツールのように開封確認が可能になります。開封確認が可能となることでコンバージョン率を測定できるため、どのような送り方が効果的なのかといった効果測定も可能です。
このような部分に当社が介入し、コンサルティングを行ったり、AIを活用してどのようなメッセージをどのようなタイミングで送るのが最適かご提案したりしています。その際、当社のAIサービスがこの領域でシナジーを発揮します。現在はソリューション化を進めているところです。
塩谷:SMSが効果測定しにくいとは知りませんでした。その上で、現在国内比率が86パーセント強となっていると思いますが、今後はお客さまに対しRCSやAIを活用した効果測定など、クロスセルを重視する戦略で進めていくという認識でよろしいでしょうか?
原田:おっしゃるとおりです。効果測定を行うためには、まずRCSを送る必要があります。これまではSMSを送信した後に、お客さまにヒアリングを行うことで効果を把握していましたが、これからは私たち自身がより分析できるようになります。
実際、切り替えたお客さまからのフィードバックを見ると、多くの場合はSMSよりも反応率が高いという結果が出ています。1つは、新しいチャネルができたタイミングは見られやすいという点があり、その点でお客さまから「値段が上がってもこのくらい効果があるなら」というフィードバックをいただき、私たちも手応えを感じています。
RCS普及の追い風と当社の成長戦略

原田:RCS普及の追い風と当社の成長戦略についてです。私たちはユーザーに積極的にRCSを利用いただかなければ、企業さまにとって費用対効果が合わなくなります。そのため、これまでRCSがどのように普及していくかを注視してきました。
昨年からKDDIは、「iPhone」の標準メッセージングアプリにRCSを搭載しました。これが今年以降、他のキャリアにも徐々に広がっていく予定です。このチャンスをしっかりと捉え、私たちもプラットフォームで対応できるよう、準備を進めています。
現在、「KDDIだけでもよいから使いたい」とRCSを導入された企業は、効果を実感していただいています。この期間中、どのような利用用途がRCSに適しているのか、反対にLINEやSMSのほうが適しているのかを見極めつつ、RCSの効果的な送り方やソリューションの開発を進めている状況です。
塩谷:新しく立ち上がったメッセージングサービスとして、RCSは国内のスマホの中でだいたい何割くらいが対応しているのでしょうか?
原田:大雑把に言うと、KDDIのシェアが3割弱あり、その中で新しいバージョンのものからどんどん見られやすくなっていますので、2割から3割ほどといったところです。
塩谷:あらためて単価の確認ですが、先ほど2桁円といった言及があったと思います。単価は今後どんどん伸びていくイメージでしょうか? 例えば、10円だったものが15円になるようなことは考えられますか?
原田:SMSのように「ただ送る」のみでは、当然お客さまとしてはボリュームコミットによる値下げといった要望が出てきます。したがって、単純にこの用途でRCSを送るだけでは、配信単価がそのまま伸びることは考えにくいと思います。
そのため、価格体系に月額を組み合わせるなどの工夫を加えていますが、現在はまだ定価を決めていない状態です。普及率が100パーセントに達していないため、適正な価格をお客さまと相談しながら決定しています。
まさにSMSが始まった時と同じように、スタート時の価格設定は非常に重要です。このAI時代においては、例えば成功報酬のような考え方を取り入れることも必要だと思っています。
最近話題の「SaaSは死んだ」のように、画面がAIになってくるとライセンスモデルには限界がある中で、新しいビジネスモデルが求められています。RCSにおいては成功報酬や月額課金、従量課金などをミックスしながら、お客さまに満足していただけるようにするとともに、当社としても収益が出せる価格戦略を練っているところです。
絶対リーチ!RCS:【導入事例】パルシステム茨城 栃木

原田:RCSの導入事例についてご紹介します。スライドはパルシステムの事例です。
従来は、組合員に対して電話や訪問を中心としたアンケートを行っていましたが、人手不足や効率の悪さ、電話を取ってもらえないといった現場の負担がありました。この業務をRCSに置き換えることで、現場の業務負荷が大幅に軽減されました。
これを受けて、今後は他の場面でもRCSを活用することを検討されています。これはSMSでは実現できなかった機能であり、RCSでは連続した質問を簡単な画面上で送ることが可能です。このため、SMSではあまり見られなかった利用用途が急速に広がっています。
AIサービス「Deep Predictor」サービス戦略

原田:AIサービスについての戦略をご説明します。私たちが提供するAIサービスは、AIコンサルティングサービスと「Deep Predictor」サービスの2軸で展開しています。
「Deep Predictor」は予測モデルを簡単に作成できるプラットフォームです。予測モデルにはいろいろな種類がありますが、現在最もニーズが高いのは需要予測です。製造業を中心に、売上を予測することで在庫の無駄をなくしたり、売上の機会損失を防いだりすることが可能です。
また、的確な予測を行うことで、従来は現場の勘に頼っていた業務が、誰が担当しても一定の結果が得られるようになり、業務効率が向上するため、需要予測へのニーズは高まっています。
さらに需要予測以外では、ターゲティングがSMSやRCSと非常に相性のよいソリューションです。例えば保険業界において、どのような方に提案するのが最も効率的かを予測することが可能です。
これまでは、保険営業では名簿順に電話をかけ、つながった方に保険のご案内をするというオペレーションが一般的でした。AIを活用することで、どの方に対しどの時間帯に送るのが最も効果的かを予測できます。
予測した結果に基づき、該当する方にSMSやRCSを送ることで、高い効果を得られるターゲティングを実現するのが、AIとRCSの相性のよいソリューションと言えます。
「Deep Predictor」の需要予測などを提供するプランとして、今年は重点を置くのは主にカスタマイズプランとアシスタントプランです。
カスタマイズプランは、例えるならオーダーメイドスーツのようなものです。初期導入費用としてお客さまに数百万円をいただきますが、お客さまのデータや状況を詳細にヒアリングし、当社のデータサイエンティストがそれに合わせた予測モデルを構築します。その後、お客さま自身が毎月そのモデルを活用したオペレーションが継続できる仕組みです。
これよりやや安価なプランとして、初期導入費が不要で、お客さまにチャットボットのような形式でいくつか質問に回答いただくだけで予測モデルを構築できるアシスタントプランがあります。
アシスタントプランは当社のデータサイエンティストが毎回訪問する必要がないため、スケールしやすい仕組みとなっています。ただし、精度はカスタマイズプランよりも若干劣るものの、セミオーダースーツのようなイメージで、お客さまのニーズをしっかりと反映した予測モデルを提供することができます。
このプランはスケールしやすい点に加え、データサイエンティストがいない販売代理店経由でも提供可能であるため、今年は特に販売代理店経由での提供を検討しています。
AIサービス「Deep Predictor」の導入実績の一例

原田:スライドは「Deep Predictor」の導入事例の一例です。精度検証やオペレーション検証といったさまざまなPoCの受注が増加しています。これまでも多くご紹介してきましたが、大手メーカーの需要予測において、製造業を中心にPoCの受注が積み上がってきています。
1つ目は大手産業機器メーカーの事例です。これまでの販売予測はベテランの勘にかなり頼っていたため、季節性要因もあり予測精度にばらつきがありました。当社が外部気象データや経済データをお客さまの販売実績等と組み合わせることで、安定的に高い予測精度が得られるようになったという事例です。
2つ目は住宅設備メーカーの事例です。商談実績や取引先データを基に、「どのような商談であれば成約率を高められるか」を予測し、商談のスコアリングを的確に行うことで受注効率を向上させる事例です。こちらについては、現在もPoCの段階です。
3つ目は地域インフラの中核企業の事例です。主にSMSをご利用のお客さまに対し、解約予測を提供しています。電気やガスといった月額ストック型サービスの企業を対象にしています。電気やガスの契約を解約される場合、引越しや他社への乗り換えがほとんどを占めています。
そこに対しどのような兆候があると解約されるのかを正確に予測することで、解約の可能性があるお客さまに対してSMSの送付や電話によってフォローを行います。こちらもしっかりと精度が出ています。
塩谷:代理店商流と自社商流の両方があると思いますが、PoCも代理店商流で決まることはあるのでしょうか?
原田:新しい業界の場合は直販が多いです。ただ、最後にお話しした解約予測については、既存のSMSのお客さまですので、当社のAIチームが同席して代理店経由で決定するケースも増えています。
塩谷:PoCから本契約に至った事例は、すでにあるのでしょうか?
原田:そうですね。7割以上の案件でご満足いただき、本契約に至っています。数年前からの生成AIブームが、当社にとって追い風となっています。
当社は2018年からAI事業に取り組んできましたが、「AIを活用する」と決めているお客さまが増えたことがAIサービスの拡大に大きく影響し、PoC止まりの事例はかなり減っています。
塩谷:本契約に至った場合の平均の契約単価や契約期間は、どのくらいですか?
原田:年契約と月額になっており、月額は35万円からはじまり、その上にオプションが加わっていくかたちです。
AIサービス「Deep Predictor」カスタムプラン、アシスタントプランに注力

原田:「Deep Predictor」のカスタムプランとアシスタントプランについてです。今後は製造業を中心に、代理店経由や直販を通じて、データサイエンティストが不在でも一定のレベルで対応可能なアシスタントプランの拡大に向けてしっかり取り組んでいきます。
マーケティングソリューション事業について

原田:マーケティングソリューション事業についてです。ロウプ社は広告代理店であり、大手企業のお客さまに対して、最初のヒアリングから広告戦略やマーケティング戦略、ブランドコンサルティングといった上流工程に至るまで、一気通貫で実行できる点が強みとなっています。
ロウプ社と当社の合致点として、当社はマーケティングの上流工程を実行できるチームではないため、特にコミュニケーションチャネルにおいてRCSをマーケティングツールとして活用していただけます。
今後、それが一定の型になるものであれば、先ほど述べたように、当社のお客さまにも横展開を図ることを目指し、現在シナジーの検証を行っています。
FY2026 業績予想

原田:今期の業績予想についてです。こちらは連結業績となります。売上高は53億円、営業利益6億円、経常利益5億9,000万円、当期純利益は3億6,000万円を見込みます。今期は業績をしっかりと拡大していく考えです。
塩谷:営業利益率について、前期の8.9パーセントに対し、今期は11.3パーセントと、大幅なマージン拡大を計画されています。これについて、AI事業の黒字化のインパクトなど、いくつかの要因が考えられると思いますが、どのような根拠があるのですか?
原田:後ほど詳しくご説明しますが、一番大きな要因は株主優待制度の廃止による株主優待費用の削減です。また、これまで投資フェーズにあったAI事業が、今年から黒字化する見込みであることも大きな要因となっています。
また、中期経営計画でもご説明していますが、社内のAX化・DX化を積極的に進めており、ロウプ社においても着実に展開することで、1人あたりの売上高を向上させていきます。今年と来年度にかけては、この営業利益率の向上を意識しながら取り組んでいきます。
塩谷:前期はいろいろな費用がありました。ロウプ社のM&A費用も第4四半期に計上されているということでよろしいですか? そちらはだいたい2,000万円から3,000万円くらいでしょうか?
原田:おっしゃるとおりです。その費用が第4四半期に計上されています。
中期経営計画(AIX2027)進捗と推移について

原田:今年は中期経営計画「AIX2027」の2年目にあたりますので、その進捗と推移についてご説明します。昨年は若干遅れがありました。今年の売上高は当初計画55億円に対し53億円、営業利益は計画7億5,000万円に対し6億円を見込んでいます。
これらはまだ取り戻せる状況です。今年はAI事業の黒字化と、RCSやAIなどの重要な分野で、お客さまのARPUをこれまで以上に向上させ、新しいチャネルであるRCSをしっかり広げていくことで成長を図りたいと考えています。
株主優待の廃止について

株主優待の廃止についてご説明します。当社はこれまで1年半にわたり、当社株式300株以上を保有されている株主さまを対象に、年に2回「デジタルギフト」と「QUOカード」を進呈してきました。
現在、当社を取り巻く市場環境は、これまでお話ししてきたとおり、SMSからRCSへのコミュニケーションの移行という非常に大きなチャンスが到来しています。一方で、AI事業では急速にデータ量が増加し、またセキュリティ対応も可能になるなど、日進月歩の非常に早いスピードで変化しています。
このスピードにしっかりと対応するため、当社としては事業への投資を行い、企業価値の向上に努めることで、株主のみなさまへの中長期的な利益還元の実現を目指していきたいと考えます。この決断を下すにあたり、現在が最善の時期であると判断しました。そのため、2025年12月末日を基準日とする株主優待の実施をもって廃止することとしました。
塩谷:株主優待の廃止が営業利益率の改善につながるというお話があったと思います。年間では、どれくらいのキャッシュ改善効果と費用削減効果があるのでしょうか?
原田:昨年の実績では1億6,000万円強です。その分が第2四半期と第4四半期で2回費用計上されていましたが、今年はこれがなくなります。
塩谷:これは販管費に計上していたという認識でよいでしょうか?
原田:そのとおりです。
質疑応答:株主優待廃止の影響と、今後の株主還元施策について
向井沙耶氏(以下、向井):「多くの個人投資家にとって非常に残念なことですが、収益力の強化も進んで導入された株主優待を2年足らずで廃止され、株価も大きく急降下しました。このような状況についてどのようにお考えなのか、あらためて教えてください」というご質問です。
原田:株主優待の廃止を開示して以降、株価など多くの面で影響がありました。株主のみなさまには、ご負担とご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げます。
当社としても、この状況を真摯に受け止めています。しかし、先ほどお話ししたように、現在はAIの進化に乗ること、また、RCSへの確実な投資を進めることが重要と考えています。
アメリカを中心にAIのプラットフォームが次々と登場する状況の中で、私たちもタイミングを見極めて瞬時にプラットフォームを強化する必要があります。また、プラットフォームやチームへの投資を迅速に行う必要があると認識しています。
大きなチャンスを逃すことなく確実につかむため、まずは、中期経営計画で掲げた目標を達成し、業績を向上させることで、株主のみなさまのご期待に応えていきたいと考えています。
現状の株主還元施策としては、成長投資や事業投資を中心に取り組み、株主のみなさまへの中長期的な利益還元の実現を目指していきます。
質疑応答:メッセージングサービスとAIサービスの問い合わせ状況について
向井:「顧客の新規開拓はどのようなルートが主流ですか? メッセージングサービスとAIサービスでは、それぞれ異なりますか?」というご質問です。
原田:メッセージングサービスについては、まずSMSは一定程度の認知が広がってきており、インバウンドのお問い合わせが多く寄せられています。今で言うとAIOやSEOに関する多くの問い合わせをいただいており、それをクローズするケースがほとんどです。
一方で、RCSについてはまだ広くは知られていないため、既存のお客さまや代理店のお客さまを中心に啓蒙すべく営業活動に注力しています。
AIサービスに関してはインバウンドとアウトバウンドの両方を組み合わせた状況です。インバウンドでは、AIを検討している企業から需要予測に関するお問い合わせが半分を占めています。また、オンラインセミナーや展示会にも積極的に取り組んでおり、そこからの引き合いも多い状況です。
質疑応答:クライアントの多い業界、および、RCSの需要について
向井:クライアントで多い業界や業態などがあれば教えていただけますか?
原田:既存のSMSについて言うと、銀行やクレジットカード会社、保険業界といった金融業界が多いです。人材業界も多いです。また、代理店を通じたものが多いですが、ITサービスを提供しているSIerやプラットフォームを提供している企業が、APIを活用してSMSを配信するような例も多く見られます。
今後、RCSの需要については、店舗を持つお客さまや金融業界がさらに多くなると予想しています。RCSは動画や画像を送る機能に加え、SMSが普及する中で最近浮上しているフィッシング詐欺などの課題にも対応しています。
例えば、郵便配達を装ったものや金融詐欺といったメッセージが増加傾向にあります。この対策として、RCSは厳しい審査を経ており、例えば差出人がAI CROSSであり、公認のRCSであることを確認できる仕組みがあるため、SMSよりも安全性と信頼性が高いとされています。
この点は、特に金融業界での評価が高いです。動画や画像の送信だけでなく、督促などにも利用できることから、銀行や保険会社などで非常に好評をいただいています。テキストを送る場合でも、RCSを使いたいというニーズが増えてきています。RCSの業界は、今後さらに拡大が見込まれる状況です。
一方で、AIサービスについては、先ほどもお話ししたとおり、製造業が圧倒的に多いです。それ以外のターゲティングや、SMSの顧客業界については、現在どの業界が特に強いということではなく、多岐にわたっています。
向井:確かに「カードの利用が停止されました」というようなメッセージが届くと、「認証がついていないが本当に信じていいのか?」と、私自身もフィッシング詐欺を疑うことがあります。RCSの認証がついていると、公式な発信元から送られているのだと認識できて、とても安心できます。
原田:特に問題視されていたのが、SMSのURLをクリックしないという点です。知らない送信元からのメッセージでURLが添付されていると、なかなかクリックされないのが現状です。しかし、RCSであれば、URLで外部サイトに飛ばす必要がありません。
SMSはテキストだけのため、何かを伝える際にWebページへ誘導することがほとんどでしたが、RCSではその中でやり取りが可能で、画像や動画も直接表示できます。この部分については、私たちも非常に期待しているところです。
質疑応答:国内SMS市場の現状と差別化戦略について
塩谷:「国内のSMS市場について、競合も多いと思いますが、その中で御社が堅調に売上を伸ばしてきた要因を教えてください。また、その伸びは市場成長に伴った伸びなのか、それとも御社が市場シェアを拡大しているためでしょうか?」というご質問です。
原田:大前提として、SMS市場は成長市場であったということが挙げられます。成長市場の中で、SMSはさまざまな要因により参入障壁が非常に高いものとなっています。
年間で3割から4割も成長していると、スタートアップを含む多くの企業が参入してきますが、
SMSはインフラですので、まず携帯キャリアと確実に接続する必要があり、キャリアの厳しい接続テストなどをクリアしなければなりません。また、何千万通、あるいは何億通ものデータを送信するような配信テストが難しいため、送信量が増えるほどインフラは安定しますが、新規参入が難しい状況もあります。
また、価格という点においても、当社は携帯キャリアに対してコミットしているため、新規参入よりも当社から仕入れるほうが安いという状況が続いています。
この成長市場の中で、当社が差別化できていた要因の1つは、AIへの早期からの取り組みです。AIによる差別化を早くから打ち出してきたことが挙げられます。また、他社よりも代理店向けのサービスを手厚く行ってきた点も大きな特徴です。代理店からは、他社よりもサービスが厚いとの評価をいただいています。
SMSのみに特化している競合他社がいる中で、当社はAIサービスやその他の事業も過去に展開してきました。これらのソリューションの提供が、当社の差別化につながっていたと思います。
質疑応答:「Android」および「iPhone」のRCS対応状況について
塩谷:「RCSは『Android』には対応させない方針などあるのでしょうか?」というご質問です。
原田:「Android」についてはすでに対応済みです。日本ではまだ半分以上が「iPhone」ですので、「iPhone」対応を待っていたということです。
「Android」は、Googleがかなり前にRCS配信会社を買収するほど力を入れています。私たちを含め、全世界のSMSサービス会社はAppleの対応をずっと待っていたという状況です。
質疑応答:中期経営計画における営業利益18億円達成の前提とリスクについて
原田:御社の中期経営計画「AIX2027」における営業利益18億円は、かなり意欲的な目標に感じます。RCSの普及スピードが遅れる点が懸念事項かと思っていましたが、今のお話では、「iPhone」でRCSが利用可能となれば問題ないと感じます。
それ以外に、営業利益18億円の達成前提が崩れる要因として、どのようなことが考えられるでしょうか?
原田:一番影響が大きい要因は、AppleがRCSの導入を決定したものの、各携帯キャリアの対応時期については私たちがコントロールできない点です。普及率に関しては、外部要因による不確定性が大きいと考えています。
ただ、全携帯キャリアが揃わなくても、RCSは現在、既存のお客さま基盤を起点として確実に広がっています。また、SMS単体でも市場はまだ成長しているため、そこで十分に補えると見ています。
塩谷:現在の市場環境を前提とするならば、営業利益18億円の達成見込みは、来年度にも期待してよいのでしょうか?
原田:はい。その見込みがあると考えて、取り組んでいます。
原田氏からのご挨拶
原田:みなさま、本日は長時間にわたりありがとうございました。株主優待に関するさまざまなご意見をいただきました。また、今後のさらなる成長を見込んで、応援のお言葉も頂戴しました。
今年は業績面で着実に実績を上げることで、みなさまの期待に応えていきたいと考えています。引き続きどうぞよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
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