3. 期初業績予想との比較
期初の業績予想と比較すると、売上高で2,053百万円、営業利益で1,098百万円の未達となった。未達の第1の要因は、医薬領域で、大口顧客の多くがWeb講演会やイベントを絞り込んだことによる。コロナ禍で同社の業績が大きく拡大した反動減や、薬価改定に伴う価格下げ圧力、円安に伴う日本市場の相対的な地位低下といった要因が、顧客企業の予算の制限につながったと言える。これに伴い、Web・映像・コンテンツ制作を行う子会社も未達となった。第2の要因は、EVC領域で、イベントなど販売関連のリアル回帰が進んだことによる。営業利益の未達に関しては、売上高の減少、特に比較的利益率の高いライブ配信案件や医薬業界向けコンテンツ制作に関わる売上高の減少によって採算が低下したことが要因である。なお、期中に公表した修正予想に対しては営業利益が50百万円上振れたが、設備投資や採用計画の抑制、内製化の推進と外注費の削減などが要因である。
このように期初の業績予想に対して売上高・営業利益ともに未達となったが、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い医薬領域と一部EVC領域でリアル回帰が大きく進行したことが要因と考えられることから、2024年5月以降はこの流れが一巡すると同社では見ている。加えて、これまで以上の企業のDXが進んでいること、企業体制の充実を進めていることから、成長トレンドへの復帰は可能と言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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