(3) ライブ配信
撮影から運用、配信まで、Jストリーム<4308>はプロフェッショナルなライブ配信サービスを提供している。配信技術の進歩を背景に、株主総会・IRイベント、専門セミナー、スポーツ・コンサート、プロモーション、社内情報共有・研修など、インターネットを利用したライブ配信の利用機会が急速に拡大している。また、モバイル端末の普及で視聴者が情報にアクセスする場所を選ばなくなったことも、ライブ配信の活用を後押ししている。しかし、「失敗できない生放送」であるライブ配信を確実に成功させるには、現場での対応力が重要な要素となる。
同社は、回線を始めカメラ・エンコーダーといった機材や、ライブ専門のディレクターやエンジニア、撮影クルー、ネットワーク技術者といった人材、そして安定した配信ネットワークを、ニーズに合わせ最適な構成にカスタマイズし、企画演出やライブイベントの進行などミスのないオペレーションとともにトータルで提供している。さらに、街頭ビジョンからスマートフォンまで2DからVR(仮想現実)、360度動画といった多様な様式に対応する機能、アンケートや掲示板などを利用したイベント最中の視聴者とのコミュニケーション機能、ライブチャットなど視聴者の反応をリアルタイムに可視化する機能、追いかけ再生など顧客や視聴者にとって便利な機能を満載している。もちろん「撮影のみ」や「配信のみ」など、必要な機能を単独で提供することも可能である。このようなノウハウや技術力、現場対応力は、総合力となって非常に高い優位性を発揮している。特に現場での対応力は他社にない大きな魅力であり、年間のライブ配信1,800件以上(2021年3月期には更に伸長が見込まれる)という豊富な実績につながっている。
ところで近年、テレワーク化の進展に伴って各企業でWeb会議が急速に普及している。同社では代理販売を通じ「双方向ライブ(Web会議)」のサービスも提供している。ただし、同社が独自のサービスとして実施する「ライブ配信サービス」の基本構成は、比較的少数の出席者が等しく発言する“Web会議”とは異なり、中心となる講演者が存在し、講演者と多数の講演視聴者がチャットや掲示板を通じて質疑応答を行うような“Web講演会”に適している。同社の「ライブ配信サービス」と「双方向ライブ(Web会議)」はコミュニケーションの形態によって使い分けることができるようになっている。
(4) 制作・開発
同社は動画配信システムを提供するだけでなく、グループ子会社の機能をフル活用することで、動画制作、Web制作・運用、システム開発も行っている。動画の制作では、企画・制作から運用までを顧客のニーズに合わせトータルプロデュースすることができる。Webサイトの制作・運用では、企画立案からコンテンツ・素材調達を含めたサイト制作、安定した運用に至るまでの制作体制を完備している。また、動画やWebサイトを適切に配信・運用するために必要なシステムの開発部隊と運用部隊も擁している。さらに、六本木の自社スタジオでは、背景を合成するバーチャルセット、ライブ配信に必要な設備、オペレーターを配備し、スタジオのレンタルサービスも行っている。機材のない場所でもスタジオと同レベルの動画を制作できる、リモートバーチャルスタジオというサービスもある。同社のエンコードチームは常に最新の端末や配信技術、コーデックを取り入れる一方、短納期や大量の依頼にも対応が可能であり、コンテンツホルダーやメディア企業のニーズに対応している。ほかにも、スマートフォン向け高画質動画の編集アプリケーションプラットフォーム「Videolicious」、動画とスライドを連携する「ePreCreator」など、誰でも簡単に動画を制作できるアプリも提供している。
(5) その他のサービス
同社は、動画eラーニングやコンテンツ保護・DRM、動画広告といった動画配信周辺のサービスも提供している。「J-Streamミテシル」は、動画を取り入れた学習・情報伝達を手頃な費用で手軽に始められるeラーニングサービスとなっている。LMS※の基本機能を始め、動画プレイヤーや視聴状況の確認、メールでの一斉連絡や修了証の発行といった運営支援機能も備えている。コンテンツ保護・DRM関連サービスでは、スマートフォン向け音楽・動画配信におけるアクセス制限や不正コピー対策ができる「SecureCast Plus」、ユーザー認証やコンテンツ視聴ログの機能が付いた認証・セキュリティサービス、海外からのアクセスを制限する国内外判別サービスなども提供している。広告関連サービスでは、広告の企画制作を始め、コンテンツマーケティングの支援、動画アドネットワーク「MovieAD」の提供などを行っている。なかでも「MovieAD」のコンテンツシンジケーションはユニークなサービスで、広告挿入可能な動画コンテンツをコンテンツホルダーから調達し、「MovieAD」を経由してパートナーメディアに配信(シンジケーション)することができる。
※LMS(Learning Management System):eラーニング管理システム。
(6) グループ企業
同社の主力商品・サービスは「J-Stream Equipmedia」とCDNだが、前述したように、コンテンツの企画制作やWebサイトの構築・運用、システム開発など顧客の業種やニーズに応じてカスタマイズした商材、サービス、ソリューションをトータルで提供している。周辺でこうした事業を支えているのがグループ企業各社である。(株)CO3は、フジ・メディア・ホールディングスの出資(800株、44.4%)を受け入れており、課金や会員認証などの機能も含めたコンテンツ配信プラットフォームの提供を行っている。クロスコ(株)は、映像制作やプランニング、マーケティングプロモーション事業を行っている。(株)Jクリエイティブ ワークスは、主にWebサイトの制作や運用支援、各種データベースとの連携プログラムやアプリケーションの開発を行っている。(株)イノコスは、多チャンネル事業者やCATV事業者にエンコード設備を輸入・販売、エンコードシステムのインテグレーション業務も行っている。2019年8月に完全子会社化したビッグエムズワイは、インターネットで医師に医薬情報を提供する「eディテーリング」の黎明期から累計2,000本の映像コンテンツを制作している。医療系デジタルコンテンツの制作に強みを持ち、高いシェアを誇っている。近年では、製薬業界特化型クラウドCRM「Veeva CRM」のコンテンツ制作や医療系Webシステムの開発など、医療業界におけるマーケティングソリューションの変化に対応したサービスも提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<EY>
この銘柄の最新ニュース
Jストリームのニュース一覧- Jストリーム Research Memo(10):2025年3月期は、1株当たり14.0円の配当を予定 2024/12/09
- Jストリーム Research Memo(9):業績好調につき、2025年3月期は上振れて着地する見込み 2024/12/09
- Jストリーム Research Memo(8):EVCとOTTに続いて、医薬もコロナ禍の影響を脱する気配 2024/12/09
- Jストリーム Research Memo(7):想定を上回る増収増益で業績に底打ち感 2024/12/09
- Jストリーム Research Memo(6):2024年以降にはオンライン動画が成長力を取り戻す見込み 2024/12/09
マーケットニュース
- 10時の日経平均は659円高の4万31円、アドテストが101.54円押し上げ (12/12)
- <注目銘柄>=ヌーラボ、新規事業創出などに注力 (12/12)
- 巴工業が5連騰で4000円台に乗せる、連続最高益更新計画を好感 (12/12)
- キヤノンMJは上場来高値を連日更新、自社株買いの発表を好感 (12/12)
おすすめ条件でスクリーニング
Jストリームの取引履歴を振り返りませんか?
Jストリームの株を取引したことがありますか?みんかぶアセットプランナーに取引口座を連携すると売買履歴をチャート上にプロットし、自分の取引を視覚的に確認することができます。
アセットプランナーの取引履歴機能とは※アセプラを初めてご利用の場合は会員登録からお手続き下さい。