3. 市場環境と強み、収益構造
動画配信市場は成長期にあるため、Jストリーム<4308>に類似する企業が少なくない。動画配信プラットフォームでは米Brightcove(ブライトコーブ
こうした強みをフルに使い、同社は動画配信市場で拡大する需要を取り込んでいる。例えば近年では、医薬領域のデジタル化を背景に医薬メーカーから医師・病院へ向けたWeb講演会の需要が急増しており、大規模・双方向性に強みがあり高品質な(失敗しない)ライブ配信を得意とする同社に需要が集中する格好となっている。また、2020年6月、ライブ配信を使ったバーチャル株主総会の取扱いが急増した。提携先の信託銀行大手3社が、新型コロナウイルス対策として株主総会集中時期の「3密」を避けるため、同社サービスをパッケージ化して販売したことが背景にある。同社が以前よりバーチャル株主総会に取り組んできた実績があるための提携だが、2022年3月期以降も期待できる分野と言える。
このため、同社の業績が急伸している。売上高の伸びは、新型コロナウイルスの影響で動画配信利用の流れに加速が付いたためである。また、売上高以上に利益が伸びたのは、同社の収益構造に起因する。同社の大まかなコスト構造は、固定費が社内の営業や制作、運用、管理部門の費用、及び「J-Stream Equipmedia」の償却費とCDNの通信料である。変動費はライブ配信等における外注費などである。このため、売上高が大きく伸びたとき、レバレッジが効いて利益が売上高以上に伸びる構造になっているのである。ここ数年の投資先行期間を経て、コミュニケーションのデジタルシフトという同社のビジョンに現実が追い付いてきた2020年3月期に業績が立ち上がり始め、新型コロナウイルスをきっかけとした動画利用の急進展で需要が開花し、大幅増益につながった。今後、体制整備のための固定費の増加は必要だろうが、好調の流れが続くこと予想されるため、上方シフトした利益率が大きく落ちることはないと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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