前日2日の米国株式相場は大幅続伸。ダウ平均は475,57ドル高の30687.48ドル、ナスダックは209.38ポイント高の13612.78で取引を終了した。投機的な売買による市場混乱が収束に向かうとの見方から安心感が広がり、また、企業業績や追加経済対策への期待感や、新型コロナワクチン普及が加速していることなども好感され、株価支援要因となった。米国株高を受けた今日の東京株式市場は買いが先行した。発表が続く20年4-12月期決算や米追加経済対策への期待が株価支援要因となった。一方、昨日までの2日間で日経平均が700円近い上昇となった後ということもあり、利益確定売りが出やすく、前場中頃から日経平均はやや伸び悩んだが、概ね買いが優勢の展開だった。
個別では、四半期決算を発表したEPS<4282>、三菱自<7211>、MRO<3064>が10%を超す大幅高となったほか、同じく決算発表のタカラスタン<7981>、ニチレイ<2871>、イリソ電子<6908>、豊田通商<8015>、日電硝<5214>、パナソニック<6752>などが高かった。決算発表銘柄以外では、親会社のヤマダHD<9831>が大量出店するとの報道を受け業績改善が期待された大塚家具<8186>がストップ高となり、子会社が画像処理業界向けの産業用カメラ大手の韓国社と正規代理店契約を締結したと発表したテクノホライゾン<6629>が一時ストップ高まで買われたほか、データ分析を手掛けるスイス社と資本業務提携を結んだと報じられたDガレージ<4819>、屋外で楽しめるフィットネス事業を本格的に始めると報じられたルネサンス<2378>が上げた。
一方、四半期決算を発表した日本ユニシス<8056>が13%超の大幅安となったほか、FCC<7296>、東京エネシス<1945>、テクノプロHD<6028>、日本精工<6471>、東京精密<7729>などが安かった。決算発表銘柄以外では、第3四半期間の技術支援料の計上がないと発表した田中化研<4080>が10%超下げた。
セクターでは、空運業、輸送用機器、陸運業、保険業、不動産業などが値上がり率上位。一方、電気機器、その他製品、パルプ・紙が値下がりした。東証1部の値上がり銘柄は全体の70%、対して値下がり銘柄は24%となっている。
昨日、東京商工リサーチが、新型コロナ関連の経営破たんが累計1000件になったと発表した。これに関し今朝の日本経済新聞では、1000件のうち外食が182件で最も多く、コロナ失業でも外食が全体の13%を占めサービス業で最大だと報じており、外食産業の雇用の厳しさが指摘されている。
パウエル議長が「金融緩和政策のスタンスは雇用とインフレ目標が達成されるまで続ける」としているように、雇用は、米国はじめ各国の金融政策に大きく影響する。
今回は日本の雇用について少し見てみる。先週末1月29日に総務省が発表した20年12月の労働力調査。就業者は全体で6666万人。コロナ前の19年12月と比べて71万人減少した。産業規模に対して就業者の減少が目立つのは、やはり宿泊業・飲食サービス業で、1年前から29万人減少して385万人。他に分類されないサービス業が21万人減少して442万人。逆に就業者数の増加が目立つのが医療・福祉で32万人増えて871万人。情報通信業が21万人増えて257万人、公務が13万人増えて241万人など。
この数字だけで結論づけることはできないが、統計を見ると、宿泊業・飲食サービス業などから医療・福祉などに労働力が移動している可能性が浮かび上がる。もしそうであれば、ワクチン普及により経済活動が本格化し、宿泊業・飲食サービス業などで再び雇用が増え始めると、失業率が短期間で大きく低下する可能性もある。また、情報通信業が増加しているのは、コロナ禍をきっかけにDXなどが広がり、就業構造が変化していることを示唆している。アフターコロナの雇用情勢は、これまでの延長線上で考えない方がよいかもしれない。いずれにせよ、上述のように、雇用は金融当局が政策を決定する際に拠り所となる重要な指標だ。機会があればさらに考えてみたい。
さて、後場の東京市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。発表が続いている20年4-12月期決算への期待は大きく、前場も好業績銘柄が値を上げた。一方、今週に入ってからの全体相場の急ピッチな戻りにやや警戒感も意識され、前場は日経平均はやや上値が重かった。目先小休止が欲しいとの指摘もあり、後場はやや様子見ムードが強くなる可能性もありそうだ。今日は、国内ではZHD<4689>、日立<6501>、ソニー<6758>、三菱商事<8058>などが20年4-12月期決算を発表し、海外ではスポティファイ・テクノロジー、バイオジェン、クアルコム、イーベイ、ペイパル・ホールディングスなどが20年10-12月期決算を発表する。
(小山 眞一)
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