今週の新興市場は大幅反発。米10月雇用統計はまちまちな内容となったが、失業率が予想以上に上昇したほか、米連邦準備制度理事会(FRB)高官から利下げペース減速を追認する発言も聞かれたため、米長期金利の動きが安定する中、週前半からが買いが先行した。米中間選挙では、野党・共和党が下院で過半数議席を獲得すれば財政赤字が縮小し、金利低下・株高につながるとの見方も後押しした。週後半は騰勢一服となったが、米10月消費者物価コア指数(CPI)が予想以上に減速したことを好感して11日のナスダック総合指数が7%超と急伸すると、週末12日の東京市場でもグロース株買いが活発化、新興株も時価総額上位銘柄を中心に上値を伸ばした。一方、時価総額の小さい小型株では動意に乏しいものが散見され、パフォーマンスに差が出た。なお、週間の騰落率は、日経平均が+3.91%であったのに対して、マザーズ指数は+3.96%、東証グロース市場指数は+3.86%。
時価総額上位銘柄では、週間でJTOWER<4485>が+19.6%と急伸。上半期決算はサプライズに乏しい内容だったが、地合いの好転が買いを後押ししたようだ。サンウェルズ<9229>は好決算を材料に急伸、週末は利益確定売りに押されたが、週間で+12.6%となった。週末のグロース株高の地合いのなか急伸したウェルスナビ<7342>は週間で+8.8%。ほか、プラスアルファ・コンサルティング<4071>が+8.4%、アイドマHD<7373>が+7.6%、フリー<4478>が+5.8%となった。週間騰落率ランキングでは直近、eスポーツ関連として人気化しているカヤック<3904>が+30.6%と急伸し上位に入った。
■米長期金利を注視、週初14日に注目決算多数、IPOは2社
来週の新興市場は強含みか。15日に米10月卸売物価指数(PPI)が発表予定だが、市場予想を大きく上回らない限り、米CPI後のグロース株買いの流れが続きそうだ。今週末の米債券市場はベテランズデーで休場だったが、10日のCPI発表後には金利が軒並み急低下し、米10年債利回りは3.82%と、4%を大幅に下回る水準にまで低下した。米国では資金調達を目的とした企業による起債の動きが多く観測されており、債券市場の流動性の枯渇なども問題視されている中、利回りの動きには注意が必要だが、米長期金利が週明けも4%を下回った状態を維持すれば、グロース株優位の展開が続きそうだ。
一方、来週はエヌビディア(16日)やアプライド・マテリアルズ(17日)の米半導体企業の決算が予定されている。内容次第ではあるものの、半導体を中心に東証プライム市場のハイテク主体の上昇相場になる可能性がある。ナスダックの上昇基調が続けば新興株もしっかり買われるだろうが、今週末のように、時価総額が小さすぎる銘柄は蚊帳の外に置かれる可能性があるため、選別の必要性があろう。
個別では、決算に注目したい。14日に多くの決算が予定されているが、中でもこれまで好調な業績を続けているところでAppier Group<4180>、クラウドワークス<3900>、BuySell<7685>、トレンダーズ<6069>、インパクト<6067>、ハイブリッドテクノロジー<4260>、ワンキャリア<4377>などが注目される。ほか、直近の新規株式公開(IPO)銘柄でメンタルヘルスT<9218>、グラッドキューブ<9561>なども注目だ。
また、来週は15日にPOPER<5134>、ベースフード<2936>が東証グロース市場に新規上場する。教育事業者等向け業務管理プラットフォームを手掛かけるPOPERの注目度が高く、人気化しそうだ。ほか、すでに始まっているが、tripla<5136>が15日まで、ウェルプレイド・ライゼスト<9565>が17日まで、それぞれブックビルディング(BB)期間となっている
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