<話題の焦点>=セメント需要拡大で見直し機運高まる5銘柄
安倍政権は失われた求心力を取り戻すべく内閣改造を行ったが、これだけで支持率を回復できるほど簡単ではない。ここは、おざなりになっていた経済政策に再注力して国民に応える必要に迫られている。今回の内閣改造について、菅義偉官房長官は今月1日の記者会見で、「引き続き経済再生を最優先に、国民の安全と平和な暮らしに万全を期す。安倍政権の政策を前に進める内閣」と説明している。また、安倍首相も3日の会見で「最優先は経済再生だ」と言及している。こうしたなか、市場関係者の間では内閣改造によるイメージアップ効果が色褪せる前に、秋の補正予算などで財政出動に舵を切る可能性がまことしやかに囁かれている。
また、2020年の東京五輪関連工事も本格的に動き出している。インフラ分野では小池都知事が注力姿勢を示す電線地中化が加速するほか、民間の都市再開発の動きも引き続き活発であり、中長期的な追い風を建設業界にもたらしそうだ。そして、当然ながら建設資材であるセメントの需給は逼迫感が強まることになる。
2016年度のセメントの国内需要は前年度比2.1%減の4178万トンと3年連続で前期実績割れとなったが、17年度は五輪特需も利いて16年度比2.9%増の4300万トン程度に拡大する見通し。これが東京五輪直前の19年度には4500万トン近くまで膨らむとの試算もある。今後セメント需要の拡大に伴いセメント価格の値上げも通りやすくなり、セメントメーカーにとっては恩恵が大きい。
関連銘柄としてはまず、国内シェア4割近くを有する業界最大手の太平洋セメント<5233.T>。同社は米国でも積極展開しており、ともすればトランプ政権の打ち出す巨額のインフラ投資と合わせ、日米経済政策のダブル恩恵を享受する可能性がある。また、販売シェア国内3位の住友大阪セメント<5232.T>も注目。新素材事業にも展開しており、リチウムイオン電池材料分野での活躍も軌道に乗りそうだ。
このほか、セメント事業を手掛ける宇部興産<4208.T>やトクヤマ<4043.T>、さらに内壁材「セグメント」を強化中の日本コンクリート工業<5269.T>なども要注目となる。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)
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