AOI TYO Holdings<3975>の2019年12月期上期の業績は、売上高が前年同期比0.7%減の30,636百万円、営業利益が同53.2%減の816百万円、経常利益が同62.1%減の637百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同78.0%減の257百万円と減収減益となり、売上高、各利益ともに計画を下回る進捗となっている。
主力の「動画広告事業」は、プリント売上の減少が続くなかで、大手広告会社からの受注増により前年同期並みの売上高を確保。一方、「広告関連事業」については、イベント関連の新規連結子会社の寄与により大きく拡大した。ただ、売上高全体が伸び悩んだのは、戦略分野である「ソリューション事業」においてメディア売上が大きく減少したことや、「海外事業」についても不採算子会社の整理を行ったことが理由である。特に、売上高が計画を下回った要因は、業績不振の子会社によるところが大きい。
顧客別の売上高では、電通向けが減少したものの、博報堂向けが大きく拡大したことから、対大手広告会社全体では増加しており、業界における「働き方改革」の影響は一巡したものとみられる。また、注力する広告主との直接取引についても、スポット的なメディア売上の減少(約9億円の減収要因)を除けば、前年同期比で着実に伸びている。
利益面では、利益率の高いプリント売上の減少による影響のほか、「働き方改革」対応による業務委託費の増加、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により大幅な営業減益となった。特に、営業利益が計画を下回ったのは、売上高が未達となった影響に加え、新システムにかかる追加費用の発生等が要因とみられる。また、不採算子会社の整理により特別損失(約279百万円)を計上した一方、含み益のある政策保有株式の売却により特別利益(約281百万円)を計上している。
財政状態は、システム投資の一巡や減価償却の開始等により固定資産が減少した一方、長期借入金により「現金及び預金」が増加したことから、総資産は前期末比2.0%増の56,717百万円に微増。一方、自己資本は、配当金の支払い等により同2.1%減の24,590百万円に減少したことから、自己資本比率は43.4%(前期末は45.1%)とほぼ横ばいで推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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