同社グループでは、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の基本方針に「ODKグループ拡大」を掲げ、「新事業ポートフォリオの推進」「グループシナジーの具体化」「M&A・アライアンスの推進」を本年度の重点課題として様々な施策に取組んでいる。
その方策として、2024年10月2日に上位層の学生向け就活塾「Abuild(R)就活」を展開するNINJAPAN株式会社(以下、NINJAPAN)の全株式を取得し、同社の子会社とした。同社グループは、受験生の半数以上が利用する大学受験ポータルサイト「UCARO(R)」を軸に、将来を担う若年層との接点を強みとした事業創出を目指している。NINJAPANの子会社化により、受験生から大学生に留まらず社会人に至るまで伴走する機会を得ることとなり、さらなるビジネスチャンス拡大を見込んでいる。今後の展開としては、NINJAPANが有する就活塾としての豊富な支援実績と、連結子会社の株式会社ポトスにおいて提供している、採用広報支援サービス「キャリポート(R)」が有する大学低年次の学生との関係性を活かし、大学受験から就職活動までシームレスなキャリア形成支援サービスの展開を目指している。
こうしたサービス展開を支える基礎研究として、同社「アプデミー(R)」において、分散型台帳を用いたNFT(※1)等のデジタルバッジやDAO(分散型自立組織)(※2)、生成AI等といったWeb3.0技術の研究開発に取組んでいる。その一環として、ブロックチェーンを活用したスマートコントラクト(※3)技術の実証実験を株式会社電通グループ他と共同で実施した。本実証実験は、今夏に開催された、メディアアーティストの落合陽一氏による特別プログラム「Table Unstable-落合陽一サマースクール2024」(※4)内で小学2年生~高校年生を対象に行われ、NFTを用いたスマートコントラクト技術部分及び参加者の体験実績の証明書発行を同社が実装している。こうした多様な体験実績の証明を通じて、就活支援に加えて、企業の採用ブランディングやマーケティング活動を支援するサービスの拡充を図る。
なお、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2019年1月16日)等に基づき、第3四半期連結会計期間においてNINJAPANを連結対象に追加予定である。これによる本年度業績への影響は軽微となる見込みとしている。
同社単体では、「専門性の強化による新たな価値の創造」を基本方針に、「個別収益管理の深化」「ターゲット市場の拡大」「個人の価値最大化に向けた研究開発成果の活用」を本年度の重点課題として取組んでいる。
主力の教育業務においては個別収益管理の徹底を基本に、近年のコスト増等を踏まえた価格の適正化に継続して取組んでいる。
その他、「UCARO(R)」をデータプラットフォームとして各事業領域をつなぐハブに育成するとともに、外部接点強化やサービス拡張等により保有するデータ量・種類の拡大を目指している。今後も同サービスを軸とした成長戦略により、データビジネスによる新たな価値の創造を継続するとしている。
業績面では、医療関連サービスにおける臨床検査基幹システム開発や証券業務において前期に発生した制度改正対応開発案件にともなう「WITH-X(R)」関連の売上が当期に寄与したこと等により、売上高は増収となった。売上高の増加及び前期に発生した一時的な特殊要因(証券業務における制度改正対応開発原価のソフトウエア資産化)の剥落等にともなう売上原価の増加により、営業損失となった。同社グループの事業は、大学入試業務をはじめとした利益が第4四半期にかけて増加する傾向にあるため、中間連結会計期間の売上高は相対的に少なくなる傾向にある。しかし、人件費等の固定費は四半期ごとに変動する性質ではないため、結果として、中間連結会計期間の利益が、他の四半期に比べ極めて低い水準にとどまり、例年第3四半期まで損益はマイナスであるが、通期では当該マイナスは解消されている。
システム運用の売上高は、大学入試業務等の売上認識等により、前年同期比1.8%増の18.32億円となった。
システム開発及び保守の売上高は、 医療関連サービスにおける臨床検査基幹システム開発や証券業務における制度改正対応等開発案件にともなう「WITH-X(R)」関連の売上等により、同125.9%増の2.24億円となった。
機械販売は、医療システム用プリンタの機器更新により、同41.5%増の0.50億円となった。
2025年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比14.2%増の67.00億円、営業利益が同17.9%減の4.70億円、経常利益が同17.3%減の5.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.4%増の3.40億円とする期初計画を据え置いている。
(※1)NFT:
Non-Fungible Token の略語。ブロックチェーン上でその唯一性が保証されているトークンであり、暗号学的にその保有や来歴を証明することが可能。
(※2)DAO(分散型自立組織):
運営会社や取締役会等の中央管理者を置かずに、参加者全員で意思決定を行う組織を指す。組織管理の観点ではガバナンスの透明性や組織・財産の管理や執行コストの低減につながること、また経営の観点ではトークンによる経済圏の生成を通じて持続的な成長へつながることが期待されている。
(※3)スマートコントラクト:
ブロックチェーン上で事前に設定した所定の条件が満たされたときに自動的に実行される仕組みを指す。
(※4)Table Unstable:
落合陽一氏が主宰する公開討論やプレゼンテーション等で構成される会議体。本プログラムは、その派生プロジェクトとして生まれた小中学生向けの課外学習プログラム。同社は、実行委員会のメンバーとして同スクールを主催している。
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