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2022/08/29 - サイオス(3744) の関連ニュース。■今後の見通し2. 今後の成長戦略サイオス<3744>は今後の成長戦略として、既存製品・サービスの強化並びに新製品・サービスの投入等によって事業基盤の強化を推進するとともに、財務基盤の強化に取り組むことで、KPIとするEBITDA及びROICの向上を図り、収益成長により創出されたキャッシュ・フローをさらなる事業投資や株主還元等に充当していく方針を掲げている。(1) 注力事業の取り組み同社は持続的な成長を目指し、引き続き成長性の高いSaaS事業への投資を強化する。このうち、特に注力する製品・分野として、BtoB向けの「G

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サイオス Research Memo(4):SaaS事業を成長ドライバーとして育成し、持続的成長を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2022/08/29 15:04
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
サイオス<3744>は今後の成長戦略として、既存製品・サービスの強化並びに新製品・サービスの投入等によって事業基盤の強化を推進するとともに、財務基盤の強化に取り組むことで、KPIとするEBITDA及びROICの向上を図り、収益成長により創出されたキャッシュ・フローをさらなる事業投資や株主還元等に充当していく方針を掲げている。

(1) 注力事業の取り組み
同社は持続的な成長を目指し、引き続き成長性の高いSaaS事業への投資を強化する。このうち、特に注力する製品・分野として、BtoB向けの「Gluegentシリーズ」「Med Tech」「HR Tech」の3分野を掲げている。

a) Gluegentシリーズ
「Gluegentシリーズ」については、さらなる成長を図るため、マーケティング強化と製品開発強化を推進する。

従来は直販のほか、主にソフトバンクグループ<9984>の販売代理店を活用して顧客獲得を進めていたが、販売代理店頼みのところがあった。このため、マーケティング人材の採用強化やデジタルマーケティング施策の継続により市場での認知度を向上させ、Webサイト流入によるリードを獲得することで売上成長を図っていく。デジタルマーケティングとしては2022年12月期からSEO対策やリスティング広告などを強化しており、リードの獲得件数も増加基調にある。

製品開発については、ユーザーの期待に応える製品をタイムリーに提供することを目指し、エンジニアを拡充し開発体制を継続強化する。直近では、IDaaS※の「Gluegent Gate」と日本コンピュータビジョン(株)の顔認証システムを連動させた「顔認証シングルサインオン(SSO)」を連携開発し、2022年5月にイオンファンタジー<4343>に導入した。同サービスの導入によって、Webシステムのログイン画面で従業員番号入力後に必要となるパスワード入力を顔認証で代替することが可能となり、セキュリティのさらなる強化とログイン時間の短縮化につながっている。

※クラウド経由でID認証並びにIDパスワード管理、シングルサインオン、アクセス制御等を提供するサービス。


「Gluegentシリーズ」については「Gluegent Flow」などを中心に導入が進んでいる。ARR※の推移を見ると2022年6月は前年同月比8.7%増の624百万円、直近4年間の年平均成長率は17.0%と順調に拡大しており、マーケティング強化及び開発体制強化により、さらなる成長が期待される。

※ARR(Annual Recurring Revenue)=月末におけるMRR(サブスクリプション契約等に基づき毎月継続的に得られる収益の月間合計)×12ヶ月


b) Med Tech
Med Tech分野では、都内で精神科病院を運営する医療法人社団成仁の監修・設計の下、精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE」を開発し、提供開始した。電子カルテサービスは従来、独自のデータ保存形式での管理が主流であったが、同製品は愛媛大学医学部医療情報講座との共同研究の下、次世代医療情報交換規約「HL7®FHIR®(Fast Healthcare Interoperability Resource)」を国内で初採用し、処方や検査結果などは厚生労働省標準規格に準拠して記述することで、データの二次利用性も確保した。さらに、クラウドサービスでの提供となるため初期導入コストが軽減されている。特に、精神科病院では病院や自治体等と情報連携する機会も多く、今後国内で普及が見込まれる国際標準データ規格「HL7®FHIR®」をいち早く採用したことは、先行企業に対するアドバンテージとなりえる。ちなみに、同サービスはGCP(Google Cloud Platform)上で提供されるが、国際的にも「HL7®FHIR®」に対応したサービスは珍しいようだ。

現在は、改善点等を抽出し品質向上に取り組んでいるほか、ユーザビリティ向上に向けた機能改修を進めている段階である。今後もエンジニアの拡充による開発体制の強化と提供サービスの拡充を図る方針であることから、「INDIGO NOTE」の本格的な営業活動は2023年以降と予想されるが、効率的に拡販を進めていく方針だ。

厚生労働省の「医療施設調査(2020年)」※によると、国内の精神科病院は2020年時点で1,059施設、一般病院の精神科は1,763施設、診療所も含めると7,223施設となっている。電子カルテの普及率は2017年時点で46.7%(一般病院)であったが、直近はIT導入補助金などの施策もあり7割超と推定される。なお、精神科用の電子カルテサービスに関しては10社程度が参入している。業界トップは(株)レスコで、精神科病院向けではパッケージ品「Alpha」を221施設に、診療所向けではクラウド型サービス「Warokuクリニックカルテ」を96施設に導入しているほか、精神科病院向けクラウド型サービス「Warokuホスピタルカルテ」を2022年2月にリリースした。

※出所:厚生労働省「令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」及び「電子カルテシステム等の普及状況の推移」


c) HR Tech
HR Tech分野では、2021年末にフリーアドレス座席管理システムを「YourDesk(ユアデスク)」にリニューアルし、ユーザビリティが大幅に向上したほか、企業価値の持続的向上につながる人材戦略を支援するエンゲージメントサーベイ「OurEngage」を開発し、2022年6月より提供開始した。「OurEngage」は、5分間の簡単なサーベイ(設問数は最大24個)で多角的な分析が可能で、直感的で見やすいUIにより個人と組織の状態を可視化できることが特長だ。設問に対して「回答」「分析」「改善」のサイクルを回していくことで、エンゲージメントの向上を目指す。

今後の施策として、「YourDesk」については、デジタルマーケティングの強化や製品サイトの充実によりリード獲得を目指すほか、パートナー戦略強化による販路拡大、追加機能の開発や他システムとの連携強化によりUI/UX向上に取り組んでいく。一方、「OurEngage」については、デジタルマーケティングや販路拡大のための代理店戦略の強化、並びにユーザビリティ向上のための追加機能の開発を推進していく。

(2) 中期経営計画
企業のDX投資が継続しSaaS市場の拡大が続くなか、同社はSaaS事業をけん引役として持続的な成長を目指していく戦略だ。2022年2月に公表した中期経営計画では、経営指標の目標値として2024年12月期にEBITDAで850百万円(2021年12月期は448百万円)、ROICで21.5%(同10.0%)と、2021年12月期の実績からそれぞれ約2倍増の過去最高水準を掲げていたが、既述のとおり、2022年12月期の業績予想を下方修正したことで目標達成のハードルは高くなった。しかしながら、2023年12月期は半導体不足が少しずつ解消される見込みであること、SaaS事業での先行投資の効果が顕在化することなどから、2023年12月期以降は利益成長ステージに回帰する可能性が高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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