2016年9月期からの業績を振り返ると、売上高は、従来の「メディア事業」及び「ソリューション事業」(両事業を合わせて、現在の「在庫価値ソリューション事業」におおむね相当)が堅調に推移する一方、従来の「マーケットプレイス事業」(現在の「商品流通プラットフォーム事業」におおむね相当)の伸びが増収に大きく寄与してきた。特に、2015年7月に国内最大級のBtoB仕入れサイト「NETSEA」、2016年1月に法人向け商品流動化支援事業「リバリュー」、2017年11月にお買い得品ECサイト「ネットプライス」を相次いで連結化し、事業基盤の拡大を図ってきたことが売上高の伸びに拍車をかけてきたと言える。
一方、利益面では、過去においては、従来の「メディア事業」を中心に10%以上の営業利益率を確保してきたが、2017年9月期に一旦低下したのは、広告・メディア課金主体からマーケットプレイス主軸へのビジネス展開に伴う売上構成(収益構造)の変化のほか、事業構造の転換に関わる一時的な先行費用によるものである。もっとも、「マーケットプレイス事業」(及び「商品流通プラットフォーム事業」)の本格稼働に伴う利益率の改善や、「インキュベーション事業」による利益貢献により、2019年9月期以降の営業利益率は再び10%を超える水準に戻ってきた。今後も売上高の伸びと利益率の改善の両面で利益成長を加速していく方針である。
財務面では、総資産はほぼ横ばいで推移してきたが、2020年9月期に大きく拡大したのは、「営業投資有価証券」の評価替え(ベンチャー投資先の株式上場に伴うもの)によるものである。一方、自己資本比率も60%前後の水準を確保しており、財務の安全性に懸念はない。また、資本効率を示すROEは、おおむね10%水準を維持してきたが、2020年9月期は「営業投資有価証券」の時価評価に伴う「投資有価証券評価差額金」(自己資本の一部)の増加に伴ってROEは若干低下している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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