「プレステVR登場、VR市場は開花するか?」 SBI証券・鈴木英之氏に聞きました!<直撃Q&A>
●鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)
Q1 プレステVRが販売されました。これを機にVR市場は本格開花しますか?
日本で最も知名度の高い企業の1社であるソニーが「プレイステーション4(PS4)」という人気ゲーム機を活用して、VRを家庭で楽しむことを可能にした意味は大きいと思う。値段も、「PS VR」と「PS4」を合わせて買っても10万円を切る程度と手の届く範囲であり、市場拡大を後押しすることは確かだろう。今後、ゲームに限らず医療現場や建設、エンジニアリング関連など幅広い用途で使われることが予想される。その意味で、VR市場にとっては重要な転換点となると見ている。
Q2 VR市場の将来性をどう見ていますか。また、課題は?
一部調査会社によるとAR(拡張現実)を加えたVR/ARの市場規模は2020年に1620億ドル(約16兆7600万円)に成長するとも予想されている。足もとの規模は52億ドル(約5380億円)前後であり今後、年率で約180%の成長が見込まれている。潜在成長力は高く、市場は急拡大が予想される。課題は、魅力のあるコンテンツが提供されるかどうかであり、当面はゲーム以外の用途がどう開拓されていくかだろう。映画などへの応用も期待されているが、想像していない分野に応用されていくという期待感もある。
Q3 注目できる関連銘柄は。特に、ソニー株は本格復活に向かいますか?
VR関連株は幅広く、ピクセラ<6731.T>やサイバネットシステム<4312.T>、コロプラ<3668.T>といった関連銘柄は今後より関心を集める可能性があると思う。VRのヘッドマウントディスプレー(HMD)には有機ELが使用されており、同関連のジャパンディスプレイ<6740.T>や保土谷化学工業<4112.T>などにも追い風となるだろう。
また、ソニーが他社に先行してマーケットを作りに行くのは、久しぶりのことだと思う。その意味で、このVR市場での先行者メリットを生かせるかがポイントになる。ソニーは、「PS」や「PS VR」というハード部門と、映画・音楽事業というコンテンツ部門を持ち、両部門で相乗効果を上げることも期待できる。同社株を見るうえでのポイントは来期の営業利益5000億円が視野に入るかどうかだろう。合理化を推進し利益は出やすくなっている。それだけに、業績拡大への確信が高まれば、来年にかけて株価5000円を目指す展開も期待できるかもしれない。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)
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