―新たなマーケティング手法として定着、ビジネスや選挙などでも活用広がる―
トランプ米大統領は就任したばかりの1月20日、中国バイトダンス社傘下のTikTokに対する「外国敵対勢力支配下のアプリに関する米国民保護法」の執行を75日間停止する大統領令に署名した。TikTokを利用する若年層の支持拡大を狙ったものとされるが、それだけに米国での浸透ぶりがうかがえる。
日本でもTikTokをはじめとするSNS(交流サイト)のユーザー数は増加の一途をたどっており、それとともに企業のマーケティング活動のなかでも活用が広がっている。また、昨年11月に行われた兵庫県知事選挙でも、前知事が再選した要因の一つとしてSNSによる情報発信があったとされるなど重要度も増している。今年は参議院議員選挙も控えていることから、再びSNS関連への注目が高まりそうだ。
●ソーシャルメディア利用者は増加の一途
「X」(旧ツイッター)や「LINE」「インスタグラム」「フェイスブック」「YouTube」といったSNSは、今やコミュニケーションツールとして日々の暮らしに欠かせないものになりつつある。総務省の「令和6年版情報通信白書」によると、SNSを含む日本のソーシャルメディア利用者数(ソーシャルメディアサイトやアプリケーションを月1回以上利用する人)は、2023年の1億580万人から28年には1億1360万人に増加すると予測されている。若者中心のコミュニケーション手段からあらゆる年代におけるコミュニケーション手段へと変化しているという。
SNSは、世界中のユーザーが日常的に利用するプラットフォームであり、情報を発信したい企業や行政、個人がこれを活用する動きは、今や特別なものではなくなっている。SNSを活用することで、企業は商品やサービスの認知度アップやブランディングが可能になることから、SNSを活用したマーケティング手法であるSNSマーケティングは、現代のビジネスにとって欠かせない要素となっている。
●市場規模は29年に1.8倍へ
インフルエンサー を主力としたプロモーション支援やSNSアカウント運用代行などを行うサイバー・バズ <7069> [東証G]が、デジタルインファクト(東京都文京区)と共同で行った24年の国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査では、企業によるソーシャルメディアを活用したマーケティングを目的とする年間支出額を「ソーシャルメディアマーケティング市場」と定義。その24年の国内ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は1兆2038億円(前年比12.8%増)になったと見込んでいる。
同社によると、近年では表現力豊かなクリエイティブフォーマットの登場と、eコマースとの連携による購買導線の強化が進んだことで、企業にとって魅力的な販売チャネルとしても注目を集めているという。それに伴い広告主のソーシャルメディアへのマーケティング投資は今後も増加が期待できるとしており、29年には24年比77.0%増の2兆1313億円に拡大すると予測している。
●SNS運営会社に注目
企業のマーケティングにおける不可欠なチャネルとして成長を続けるソーシャルメディアだが、これに関連する企業のビジネスチャンスも拡大している。SNSに限っても関連銘柄は開発・運用を行う企業のほか、広告配信を行う企業、データ分析を行う企業、投稿監視を行う企業などさまざまな企業が存在する。上場企業にも前述のサイバーバズをはじめ関連銘柄は多く、より社会的発信力が強い企業にビジネスチャンスが拡大する期待がある。
SNSを運営する企業で注目されるのは、まずMIXI <2121> [東証P]だろう。04年に国産SNS「mixi」のサービスを開始し一世を風靡したが、昨年12月には「mixi2」をリリースして再び話題を呼んだ。「招待制」によるクローズドな環境は維持しつつ、ビジネス利用も視野に入れた新しいSNSとして注目されている。1月14日に発表した9月中間期連結営業利益は87億4800万円(前年同期比2.3倍)で着地。投資事業の貢献などで社内計画を上回って着地したとしているが、25年3月期通期業績予想は同185億円(前期比3.5%減)の従来予想を据え置いている。
エムアップホールディングス <3661> [東証P]は、音楽アーティストのファンクラブ/ファンサイト運営を手掛けるほか、過去にはインターネットを通じた政治家のサイト運営や後援会(資金管理団体)の会員募集システムの運営を手掛けたこともある。足もとでは、ファンクラブ事業の有料会員数が増加しており、これを要因として昨年11月には25年3月期連結業績予想を営業利益で34億円から39億円(前期比38.1%増)へ上方修正している。
ウォンテッドリー <3991> [東証G]は、414万人のユーザーと4万2000社(昨年11月末時点)が登録する「“ココロオドル”シゴトと出会える」ビジネスSNSを運営。新規契約単価の向上により、基本プランの利用料であるストック収益が順調に積みあがっており、25年8月期第1四半期連結営業利益は4億3700万円(前年同期比10.8%増)と増益となった。通期では同16億円(前期比0.4%増)と4期連続で最高益更新を見込む。
●ドリコム、エニマインドなどにもチャンス
また、ドリコム <3793> [東証G]はスマートフォン向けゲームアプリの開発が主力だが、「X」や「YouTube」「TikTok」などを活用したファンコミュニティー促進サービスを展開している。25年3月期業績は、昨年10月リリースの新作ゲーム「Wizardry Variants Daphne」が想定以上の滑り出しとなったことから、第2四半期決算発表時に通期予想を未定に修正しており、業績への期待感も高い。
AnyMind Group <5027> [東証G]は、マーケティング事業の一環として、各SNSインフルエンサーの投稿頻度やエンゲージメント、フォロワー数やデモグラフィック分析などのデータを活用したインフルエンサーマーケティングを展開している。足もとの同事業はグローバル全地域で成長し業績を牽引。会社側では第3四半期決算発表時に24年12月期業績予想のうち利益予想を上方修正したが、修正値に対しても第3四半期時点の進捗率は前の期の実績を上回っていることから、2月14日発表予定の決算への期待も高まっている。
イー・ガーディアン <6050> [東証P]は、SNSの投稿監視サービスを提供するほか、各種SNSのメディアポリシー作成から運用・分析までをサポートするSNS運用代行サービスを提供している。24年9月期連結決算で営業利益は17億500万円(前の期比4.1%減)と従来予想を下回って着地したが、第4四半期は営業増益に転じており、会社側では25年9月期から再び成長軌道へ向かうと予想。25年9月期営業利益は18億1900万円(前期比6.7%増)を見込む。
ベクトル <6058> [東証P]は、PRを起点にSNSや動画などを用いて認知度向上を図るデジタルマーケティングを提供しており、SNSの戦略設計からコンテンツの作成・配信などを手掛けている。1月14日に発表した25年2月期第3四半期連結決算は、営業利益40億800万円(前年同期比14.6%増)と2ケタ増益で着地。通期は同85億円(前期比22.5%増)を見込む。
このほか、SNSアカウントの運用方針策定からコンテンツ作成、ハッシュタグ設置、レポートなどSNS運用の全てを代行するグリーホールディングス <3632> [東証P]や、SNS分析やコンサルティングを手掛けるデータセクション <3905> [東証G]、SNS分析・運用ツールを手掛けるユーザーローカル <3984> [東証P]、足もとでライブ配信「ふわっち」におけるアイテム販売の好調が続くjig.jp <5244> [東証G]などにも注目したい。
株探ニュース
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