(2) EC支援事業
EC支援事業では、ECの運営を支援するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」やオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」などを提供している。「カラーミーショップ」は月額固定利用料金が売上の大半を占めるストック型のビジネスモデルとして展開してきたが、2021年5月より新たに初期費用・月額利用料無料で流通額に応じて手数料を得るフロー型ビジネスモデルでのサービス提供も開始した。一方、「SUZURI」は流通額に応じたフロー型のビジネスモデルとなっていることが特徴だ。
a) カラーミーショップ
同事業セグメントの売上高の約6割を占める「カラーミーショップ」は、ネットショップの運営初心者でもブログを作成する感覚で簡単かつ低料金で開店、運営できることが特徴となっており、2005年のサービス開始以降、契約件数は2022年6月末で4.9万件(うち、フリープランは1万件強)となっている。月額有料プランで提供するサービス※としては店舗数で国内最大手で、個人商店から大規模販売店まで幅広いニーズに応える豊富な機能を備えている。売上高は月額利用料や流通額に応じた決済手数料のほか、アプリストアで提供している各種アプリを使用する場合にはアプリ利用料が加算される格好となる。
※月額基本料金プラン(税込)は2022年4月に改訂しており、一部のオプション利用料金も含む形でレギュラープラン4,950円(旧料金3,300円)、ラージプラン9,595円(同7,945円)としている。フリープラン(月額基本料金無料)については、売上(商品代金+送料)の6.6%+30円/件を決済手数料として徴収している。
なお、2022年12月期より新会計基準を適用したことに伴い、初期費用売上の収益認識時点をサービス提供開始時期から、サービス契約期間にわたり収益認識する方法に変更となっている。
b) SUZURI
同事業セグメントの売上高の約3割を占める「SUZURI」は、自身で制作したイラストや写真の画像をサイトにアップロードするだけで、Tシャツ、マグカップ、スマートフォンケースなど様々なオリジナルグッズを手軽に作成・販売できるサービスとなる。初期投資や在庫管理などのリスクがなく、アイテムの作成から配送(製作及び配送は外部委託)までを「SUZURI」で一貫してサポートするため、安心して作品の販売や購入ができることが特徴だ。業界に先駆けたサービスとして需要を開拓し、2014年のサービス開始以降、2022年6月末までで累積会員数122万人、クリエイター数62万人の規模まで拡大している。クリエイターは同社からの仕入価格(製作会社への外注費+同社の売上高)に、自身の利益を上乗せした価格で「SUZURI」上に出品し販売する格好となる。購入者が注文後に外注先に発注するため、在庫リスクもなく、同社の売上高は流通額にほぼ連動したフロー型のビジネスモデルとなる。
2022年12月期より新会計基準を適用したことにより、収益計上方法が総額計上方式(外注費用を売上高及び売上原価に計上)から純額計上方式(外注費用を除く)に変更されており、見かけ上の売上高が減少しているが、利益への影響は無い。
(3) ハンドメイド事業
インターネット上で手軽に手作り作品の出品・販売ができる国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」の事業で、販売手数料(取引額の9.6%(税抜))が主な売上となる。「minne」の特徴は、ホームページ作成経験のない初心者でも簡単に販売機能を備えたギャラリーページを作成できること、決済は「minne」が代行するため作家と購入者は安心して取引できること等が挙げられる。アクセサリー、ファッション、バッグ・財布、食品などのハンドメイド作品のほか、作品の製作に必要となる素材の販売やアンティーク・ヴィンテージ品などの販売も行っている。
また、「minne」は2019年7月に利用規約を改訂し、「CtoCハンドメイドマーケット」から「ものづくりの総合プラットフォーム」へと事業領域を拡大している。ハンドメイド以外の加工品や製作の一部の工程を第三者に委託して作った作品も、「ものづくり」という表現活動の1つであると捉え出品可能としたほか、「ものづくり」にこだわるブランドやメーカー等の企業の出品も可能とし、CtoCからBtoC領域に拡大している。2022年6月末時点の登録作家・ブランド数は83万人、登録作品数は1,531万点、アプリダウンロード数は1,371万DLの規模となっている。
(4) 金融支援事業
2019年2月に子会社化したGMOクリエイターズネットワークが提供する、フリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」の事業となる。同サービスは、フリーランスと取引先の間に立ってフリーランスの請求書(売掛債権)を買い取り、取引先に代わって即日支払いするサービスで、請求書額面(税込/税別の場合は消費税も記載)の3~10%を手数料として利用者から受け取るビジネスモデルとなる。請求書(売掛債権)の買取可能額は1万円からとし、2020年4月から上限額を撤廃している。
2020年11月より、「即日払い」をはじめとする金融支援サービスを外部企業に提供する「FaaS(FREENANCE/Factoring as a Service)」を開始しており、ランサーズ<4484>などフリーランスとの親和性の高い人材サービス業界やIT業界のほか、運送業界などでも導入する企業が増えている。FaaSによる3者間取引に関しては手数料率が2者間取引よりも相対的に低く紹介手数料も発生するため2者間取引と比べて利益率は低くなるが、逆に利用者数を効率的に拡大できるといったメリットがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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