(4) 転貸借物件数
同社は積極的な店舗開拓を推進しており、転貸借物件数は安定的に増加基調である。コロナ禍の影響で一時的に伸び率が鈍化する局面があったものの、2024年3月期末の転貸借物件数は2010年3月期末の148件に比べて16.5倍の2,445件となり、2025年3月期第2四半期末時点では同17.2倍の2,545件まで増加している。そして転貸借物件数の積み上げによって売上高も増加基調である。
安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
(5) 安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。競合や競争が少ない独自の事業であることに加え、一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、ストック型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。
店舗の総合プロフェッショナル集団
(6) 特徴・強み
同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に絞り専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資での出店や起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。
さらに、店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、常時100件以上のリーシング可能な物件を保持するとともに、「居抜き店舗.com」において日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めている。こうしたことも、出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。物件管理面では、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化・仕組化などノウハウの組織化も推進し、物件管理活動の質の向上によって賃料等の回収率は実質的に100%近い水準を維持している。
サブスク(ストック)型収益モデルであり、飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性を有していることも勘案すれば、安定的かつ成長性の高いビジネスモデルと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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