サンコーテクノ<3435>はコンクリートの壁面に器具や設備を固定する際に使用される「あと施工アンカー」を中心とした建設用ファスニング製品メーカーだ。あと施工アンカーの市場で約40%の市場シェアを有するトップ企業。アンカー工事で使うドリル等の各種工具類の製造のほか、FRP関連商材、各種測定器なども手掛けている。
1. 2018年3月期は3期ぶりの増収増益。土木工事等の伸長で売上高は計画を達成
同社の2018年3月期決算は、売上高16,326百万円(前期比5.3%増)、営業利益1,159百万円(同3.1%増)と3期ぶりに増収増益で着地した。主力の金属系あと施工アンカーが増収となったほか、工事において土木・インフラ設備関連工事が大幅増となり、売上高は計画を上回って着地した。利益については原材料や副資材の価格上昇の影響により、わずかに計画を下回ったものの前期比増益を達成した。
2. 中期経営ビジョンは順調に進捗。2019年3月期は更なる現場力のアップに取組む
同社は中期経営ビジョン『S.T.G VISION 2020』に取組んでいる。チーム人財力、現場力、ブランド力の3つの力をアップさせることで外部環境に左右されず安定成長を実現する基盤・体制を構築することが目標だ。2018年3月期までの3年間で半分を消化したが、これまでのところは順調に進捗している。2019年3月期は、前期に開始したクロスプロジェクトマネジメント(CPM)体制の強化や技術研究所の創設等を通じて、1)ブランド力、2)インフラ・土木関連の売上高構成比、3)新製品開発のスピード、の3点についてアップを狙う方針だ。こうした取組みは、東京オリンピック・パラリンピック後の環境変化を見据えた事業展開とも重なる部分であり、同社が目先の収益以上に長期的な安定成長性の確立を重視していることがうかがえる。
3. 2019年3月期も増収増益を計画。東京オリンピック・パラリンピック関連需要の本格化に期待が高まる
2019年3月期について同社は、売上高16,800百万円(前期比2.9%増)、営業利益1,200百万円(同3.5%増)と連続増収増益を予想している。東京オリンピック・パラリンピック関連事業は2019年中の完工を予定するものが多いが、そこから逆算すると今下期から同関連需要が明確に動意づくと期待される。また、インフラの補修・保全需要も堅調に増加する見込みだ。そうしたなか同社では、金属系あと施工アンカーや工事部門が引続き売上げを伸ばす見通しだ。利益面では引続き原材料価格や運送費等の上昇が想定されるが、状況に応じ、一部製品については価格転嫁を進めながら利益を確保していく計画だ。東京オリンピック・パラリンピック関連需要のピークは2020年3月期になると想定され、今下期から来期にかけての収益拡大が期待される。
■Key Points
・折り返し点を迎えた中期経営ビジョン『S.T.G VISION 2020』は順調に進捗。2018年3月期までに種まきを着実に実施
・2019年3月期はブランド力、インフラ・土木関連の売上高構成比、新製品開発スピードの3つの“アップ”を加速させる
・2019年3月期は機能材事業の利益回復もあり、連続増収増益を予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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