―レガシーシステム脱却は喫緊の課題、事業機会拡大で関連企業に商機―
2025年は経済産業省がデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を説いたレポートで指摘した転機の年だ。このレポートでは既存のITシステムの課題を各企業が克服できなかった場合のリスクを「2025年の崖」と表現し、この崖を越えられなければ25年以降に大きな経済損失が生じる可能性があると指摘している。あらゆる産業で新たなデジタル技術を利用して、これまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場するなか、将来の成長や競争力強化のためにはDXの推進が必要不可欠であり、企業や自治体の取り組みを支援する関連銘柄に改めて注目したい。
●調査で浮かんだ出遅れ感
経産省はDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。「2025年の崖」は同省が18年に公表した「DXレポート」と呼ばれる資料のなかで登場した言葉で、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システム(レガシーシステム)が残ったままだと国際競争への遅れが生じ、経済が停滞してしまうこと。レガシーシステムによって引き起こされる課題を克服できない場合、25年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘しており、企業が「2025年の崖」を乗り越えて生き残りを図るためにはシステムの刷新が欠かせない。
ただ、企業のDX推進は遅れていると言わざるを得ない。タナベコンサルティンググループ <9644> [東証P]が24年12月に発表した「24年度デジタル経営に関するアンケート」(全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者などが対象)によると、DXの取り組み進捗度について「全体的にまだ不十分」と回答した企業が37.2%と最多で、前年から6.9ポイント増加。背景には自社なりにDXを進めるなかで新たな課題がみえてきたことや、DXの取り組み自体が思うように進んでいないことがあるとみられる。
また、デジタル化を進めるうえで課題・障壁となっているのがデジタル人材の不足だ。ヒューマンホールディングス <2415> [東証S]傘下のヒューマンリソシアが24年11月に発表した「2040年のIT人材予測レポート」は、40年に最大73万3000人のIT人材が不足すると予想しており、DX化を支援する企業の更なる活躍が期待される。
●DX推進を支える企業群
直近ではインターネットイニシアティブ <3774> [東証P]が16日、企業がDXでビジネス変革を加速するための企業IT環境「DXP(DX Platform)」の実現に向け、複数のクラウドを組み合わせて同時運用する「マルチクラウド」を支援するためのサービスを拡充すると発表した。統合運用管理やデータの可視化など、関連サービスを幅広く提供することで顧客を取り込む構えだ。
オープングループ <6572> [東証P]は16日、子会社のオープンがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによって自動化する仕組み)とAI-OCR(人工知能技術を取り入れた光学文字認識機能)の操作について短期間で学び、DX人材育成・組織開発に活用できる自治体向け「DX体感パック」の提供を開始したことを明らかにしている。
プライム・ストラテジー <5250> [東証S]は10日、レガシーシステムのソースコードとドキュメント管理を効率化する大規模言語モデル(LLM)ソリューションを開発すると発表。自社開発した超軽量完全ローカル協調動作LLM「Magatama.AI」をベースに、ソースコード管理や仕様書管理、リスク管理、ソースコードチェック、アラート機能の実現を目指すという。
情報戦略テクノロジー <155A> [東証G]は24年12月、北九州市と立地協定を締結。11月に設立した九州支店を起点として、同市における企業のDX内製化やデジタル人材の雇用創出及び育成を推進し、地域経済の活性化に努めるとしている。
グリーホールディングス <3632> [東証P]は24年12月、2月1日にDX関連の子会社及びその一部事業をグリーエックスに統合すると発表。これにより、クライアント企業へのDX支援強化に注力し、コンサルティングとソリューションの提供を拡充する考えだ。
オービックビジネスコンサルタント <4733> [東証P]と大塚商会 <4768> [東証P]は24年11月、企業のDX推進に向けた協業を開始した。両社は顧客のニーズ喚起・提案・導入まで一気通貫した体制を築き、これまで提案ができなかった新たな顧客へのDX基盤づくりを進めるという。
●グロースxPなどにも注目
これ以外の関連銘柄としては、企業のデジタル化をサポートするシステナ <2317> [東証P]、ITインフラ関連事業を行うスターティアホールディングス <3393> [東証P]、ITコンサルタント養成研修プログラムを提供するチェンジホールディングス <3962> [東証P]、中小企業DX支援プラットフォームを手掛けるココペリ <4167> [東証G]、DXを支援するプロフェッショナルサービスを提供するフレクト <4414> [東証G]、短時間でDXリテラシーを可視化できるツールを扱うエクサウィザーズ <4259> [東証G]、DX企画人材を育成するABEJA <5574> [東証G]、社員のDXスキルを可視化するAVILEN <5591> [東証G]、ITやデジタル技術を駆使して顧客企業の価値を創造する「エンタープライズDX事業」を展開するグロースエクスパートナーズ <244A> [東証G]など。
変わり種では、ワールド <3612> [東証P]が15日、持ち分法適用会社でファッションに特化したデジタルサービスを手掛けるOpenFashionの全株式を取得し、2月28日付で子会社化すると発表。グループ内でのデジタル事業推進を加速させるとともに、他のファッション企業や関連業種にもサービスを展開できるデジタルプラットフォームの構築を目指す構えだ。
株探ニュース
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