―世界野球プレミア12いよいよ決勝ラウンドへ、過去の物色動向を参考に人気化候補銘柄を狙え―
野球の世界一を決める大会「プレミア12」が開催中だ。同大会は昨年に日本優勝で歓喜に沸いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)と同じく野球の国際大会に位置づけられる。日本は予選を突破し、スーパーラウンド(決勝ラウンド)への進出を決めており、再びの歓喜に向けて期待が膨らむ。こうしたスポーツに関する話題が出てきた際には、株式市場では スポーツ関連株に関心が向かうことが多い。関連銘柄は直近の決算で概ね業績の好調さが確認されており、この点からも注目できる。
●五輪効果アリ、各社好決算が続々
今夏に開催されたパリオリンピックは大きな盛り上がりをみせた。日本はレスリングや柔道をはじめ、フェンシング、スケートボード、更に今大会で初採用されたブレイキンなどで金メダル20個を獲得。銀・銅を含めた総数では45個となり、金メダル数、メダル総数ともに海外開催の五輪として最多を記録した。
五輪の盛り上がりはスポーツへの関心を高め、関連消費を促すなど大きな経済波及効果が見込まれる。 スポーツ用品大手のヨネックス <7906> [東証S]が今月初めに発表した通期上方修正では、その理由として国内外での堅調な需要や円安に加え、「国際大会の開催等による市場の盛り上がり」に伴う効果を挙げた。同社は主力のバドミントン、テニス、ゴルフを含む各分野で数多くの選手と契約を結んでおり、テニスの大坂なおみ選手などが有名だ。上方修正では25年3月期最終利益を前期比13%増の100億円と従来の最高益予想(93億円)から更に上乗せ、また配当予想も増額した。
ミズノ <8022> [東証P]も今月発表した4-9月期決算短信の中で、スポーツ市場の動向について「世界的なスポーツイベントが開催されたこともあり、広くスポーツへの機運が高まった」とした。国内外で販売を伸ばし、最終利益は前年同期比4%増の80億9700万円で着地。最高益予想の通期計画(150億円)に対して順調な進捗となった。
更に、関連用品を取り扱う専門店からも五輪効果が指摘されている。最大手アルペン <3028> [東証P]の7-9月期決算短信では、業界動向について「スポーツ需要の回復に加え、パリオリンピックの開催などスポーツへの注目が高まる機会もあり比較的堅調」とした。最終損益はコスト増で赤字となった前年同期から黒字に転換。通期では88%増益を見込む。
このほか関連各社の決算も比較的良好で、アシックス <7936> [東証P]は1-9月期決算で最終61%増益を達成し、同決算の発表とあわせて通期見通しを従来の最高益予想から更に上乗せする形で上方修正。ゴールドウイン <8111> [東証P]は4-9月期決算が上振れ最終利益はプラスを確保、デサント <8114> [東証P](TOB成立で上場廃止へ)も4-9月期最終増益で着地した。専門店のゼビオホールディングス <8281> [東証P]は通期増益見通しに対して足もと順調に推移、ヒマラヤ <7514> [東証S]は在庫正常化やコスト増の影響で前期まで2期連続で業績が落ち込んでいたものの今期は回復を見込む。
●ここ数年スポーツの話題相次ぐ
スポーツ関連株は株式市場において折に触れ注目を浴びるテーマの一つだ。五輪のような大きなイベントや話題となる出来事があると関心が高まりやすく、ここ数年では昨年のWBCやプロ野球・阪神タイガースの38年ぶり日本シリーズ優勝、2022年のサッカーワールドカップ(W杯)・カタール大会の際に関連銘柄へ物色が向かう場面があった。
W杯カタール大会の開催時には前述のスポーツ用品メーカー各社をはじめ、傘下で運営するネットテレビ「ABEMA(アベマ)」で全試合を無料生中継したサイバーエージェント <4751> [東証P]に投資家の視線が集中。スポーツ観戦ができる英国風パブを展開するハブ <3030> [東証S]も買いのターゲットになった。WBC開催時もスポーツ用品メーカーやハブが注目されたほか、試合を中継したテレビ朝日、TBSをそれぞれ保有するテレビ朝日ホールディングス <9409> [東証P]、TBSホールディングス <9401> [東証P]に関心が向かった。阪神タイガース優勝時は球団親会社の阪急阪神ホールディングス <9042> [東証P]やスポンサーの上新電機 <8173> [東証P]、優勝セールを行ったエイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]に光が当たった。
目下、世界野球プレミア12が開催されている。21日から行われる決勝ラウンドでの日本の活躍が期待されるが、それとともに株式投資の観点からはWBC時の物色動向を参考に各銘柄に狙いを定めておきたいところ。今回も試合を中継するテレビ局はテレビ朝日とTBSだ。
野球、サッカーと、やはり物色の手掛かりになるのはこの2大メジャー競技だが、これら以外でも手掛かり材料視されたことがある競技を最後に紹介したい。それは、 ゴルフだ。21年に男子メジャーのマスターズ・トーナメントで松山英樹選手が優勝した際に関連銘柄が人気化した経緯がある。ゴルフ関連に位置づけられる上場企業は意外とあり、ゴルフボールを手掛ける大手タイヤメーカーはもちろん、ゴルフシャフトを製造するグラファイトデザイン <7847> [東証S]や藤倉コンポジット <5121> [東証P]、ゴルフクラブヘッドを生産する遠藤製作所 <7841> [東証S]のほか、専門店を展開するゴルフ・ドゥ <3032> [名証N]、ゴルフ関連サイトを運営するゴルフダイジェスト・オンライン <3319> [東証P]やバリューゴルフ <3931> [東証G]などがある。
株探ニュース
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