競合他社との違いとしては、同社が四国・九州エリアを中心に出店していること、フランチャイズ展開において本部との距離感を意識し、過度な依存を避けた柔軟な運営方針を採っている点が挙げられる。例えば、ハードオフやブックオフといったFC店舗については、本部との契約上、自社裁量での価格設定や出店方針に一定の制約を受けることもあるが、同社は単店契約を基本とし、地域ごとの特性に応じた店舗運営を重視している。また、競合であるセカンドストリートやリサイクルマートなどが標準化・大量出店を進める一方で、同社は地域密着と人材育成に重点を置いて差別化を図っている。特にリユース分野では、国内に加えて東南アジアへの出店も展開しており、日本では売れにくい古着をカンボジアやタイで販売するモデルが現地で受け入れられ、手応えを得ている。
2025年2月期の売上高は10,608百万円(前年比9.0%増)、営業利益は880百万円(同21.2%増)と従来予想を大きく上待って過去最高を更新した。原材料費やエネルギーコストの上昇、人手不足などの外部環境の制約がある中で、リユース事業を中心に全セグメントで増収を確保。特にリユース事業では、九州・東南アジア地域への出店や既存店舗の改装が奏功。カンボジアやタイの店舗では、日本国内で販売が難しい古着などを展開し、現地ニーズとの親和性を背景に好調に推移した。フードサービス事業では、主力であるモスバーガーの店舗改装や営業体制の見直しにより安定した集客を維持。業態別ではモスバーガーが全体の7割を占め、安定収益源として機能している。独自ブランド「とり壱」なども地域密着型の戦略で一定の成果を見せた。一方、地方創生事業では、行動制限の解除に伴い来訪者数は回復傾向にあるものの、エネルギーコストや先行投資の負担が大きかった。ただ、稼働率の上昇により、長期的な黒字化に向けた準備は進んでいる。
2026年2月期の売上高は10,700百万円(前期比0.8%増)、営業利益880百万円(同横ばい)と、実質的に前期並みの水準を見込んでいる。リユース事業では国内外での出店加速、フードサービスではモスバーガーを中心とした出店戦略で今期は先行投資の位置づけ。地方創生事業では宿泊事業へのシフトと黒字化の実現がカギとなる。特にリユース事業では、日本だけでなく他国から古着を集め、東南アジアで展開する広域循環型モデルへの拡張も視野に入っており、今後の成長ドライバーとして注目される。
現在の事業環境について、リユース業界は循環型社会への関心の高まりとともに成長が見込まれており、同社も九州など人口10万人規模の地方都市へのリアル店舗展開を推進している。フードサービス業界では物価上昇や人件費増加が懸念されるものの、安定したブランド力を持つモスバーガー事業を軸に経営を下支えしている。地方創生事業においては、自治体との協業を通じた宿泊施設運営が中心であり、観光回復を背景に収益化の可能性が広がっている。
中長期的な成長ドライバーとして注目すべきは、リユース事業の海外展開とフードサービス事業のモスバーガー店舗拡大である。モスバーガーでは20店舗を目指しており、安定収益源としての役割を強化していく方針である。また、今治市で人気の自社ブランド「とり壱」のように、独自ブランドによる新規事業の育成も継続されている。地方創生事業では、鈍川温泉を中心とした施設の黒字化に向け、宿泊需要の開拓や銀行との連携を模索しており、今後は施設の稼働率や宿泊単価などをKPIとして注視すべきである。
株主還元については、2025年2月期の年間配当は135円(前期比10円増)に増配されており、配当性向は24.7%と堅実な水準。2026年2月期も同水準を維持する計画であり、配当を通じて成果を還元する姿勢が見られる。同社は安定配当を基本方針とし、30%程度の配当性向を目安としている。総じて、同社は、堅実なフランチャイジーとして地域密着の店舗運営と多様な業態による分散型ポートフォリオを武器に、安定した成長を志向している企業である。今期の業績は横ばいが予想されるが、海外リユース拡大とフードサービスの店舗戦略が軌道に乗れば、中期的には再び成長トレンドを描く可能性があり、配当利回り4%超えとインカムゲインをメインに十分に待てる状況と言えよう。
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