クラボウ<3106>の価値創造プロセスは、蓄積してきた技術やノウハウ、人財等の経営資源を社会課題の解決や成長市場へと展開し価値を創出するものである。これまでの歴史を振り返っても、1) 樹脂加工技術を住宅用建材や自動車部材へと展開した化成品事業、2) 染色工程での「色」制御の自動化から色彩管理及び検査・計測へと広がったエレクトロニクス事業、3) 自社工場の排ガス・排水処理技術などを環境プラント設備に応用したエンジニアリング事業、4) 技術研究所の開発(除粒子減菌ろ過フィルターや核酸自動分離装置の開発等)から発展してきたバイオメディカル事業など、これらは祖業である繊維事業から派生したものである。また、工場跡地の活用による不動産事業が安定収益源となっているほか、技術研究所を中心とするR&D体制※も価値創造を支えている。
※ コア技術を高める基盤技術グループと製品開発を行う応用開発グループで構成されている。数理科学、物理科学、光電工学、情報工学、物質科学、生命科学をコア技術とするとともに、ロボット関連(ロボットセンシング)、半導体薬液計測(In-Situ計測)、ライフサイエンス(遺伝子応用)、新規素材(高機能スーパーエンプラフィルムや繊維強化複合素材)を主な研究開発テーマに新規事業の開発に取り組んでいる。
今後は、半導体製造関連市場、自動化・制御装置市場、メディカル市場といった収益性が高く成長が見込める分野へ経営資源を集中することで、社会課題の解決と持続的な成長を同時実現していく価値創造ストーリーを描いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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