研磨材事業の売上高は前年同期比34.87億円増の92.09億円、営業利益は同19.71億円増の21.25億円となった。世界の半導体市場は、2023年前半に底打ちした後、2024年前半にかけて緩やかな回復が続いている。そのような状況の中、主力の超精密加工用研磨材において、半導体デバイス用途(CMP)は、生成AIの急速な普及に伴うメモリや最先端ロジック向け半導体の需要増加、増産に伴う一部ユーザーの在庫水準の引き上げにより、受注が増加した。シリコンウエハー用途は市場の過剰在庫が解消されつつあり、回復基調となった。ハードディスク用途もデータセンター向け需要が戻りつつある一方、液晶ガラス用途は、足元のパネル市況の低迷が長期化するなか、受注が低調に推移した。
化学工業品事業の売上高は同4.34億円増の68.20億円、営業利益は同2.53億円増の5.95億円となった。機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、昨年来の中国経済低調の影響が継続しているものの、半導体を含む電子材料市場の緩やかな拡大と在庫調整の一巡により需要が回復傾向となった。また、新規製品への取り組みが奏功し、工場の稼働は改善した。
生活衣料事業の売上高は同0.94億円増の35.44億円、営業利益は同0.62億円減の3.21億円となった。繊維素材は、物流費やエネルギーコストの高騰に加えて円安が影響し、厳しい環境が続いた。繊維製品は、量販店の店舗減少に加え消費者の節約志向の高まりが影響し苦戦した。ネット販売では、継続的なSNS、検索広告などのWebマーケティングの強化に加え、ネット専用製品を拡充し、効果的な商品訴求を図った。一方、高品質な日本製品が評価され、海外向け販売は好調に推移した。利益面については、円安の進行による原材料や資材などの価格高騰が続いており、粗利率が低下した。
その他の売上高は同0.55億円減の14.85億円、営業損失は0.50億円(前年同期は0.36億円の利益)となった。化成品部門は、医療向けおよび既存先について深耕営業に努めたが、設備投資の償却費負担があり、前年同期比では増収減益となった。金型部門は、自動車メーカーの品質不正問題等により、依然として厳しい状況にある。加えて、事務機器用金型が開発案件の端境期であることや、車載コネクタやスマホ向けホットランナーの引き合いも低調であることから厳しい状況が続いている。貿易部門は、採算重視の取引への改善を進めている。
2025年3月期通期については、半導体需要増に伴い研磨材事業が堅調に推移することを勘案し、連結業績予想の修正を発表した。売上高が前期比21.0%増の437.00億円、営業利益が同112.9%増の60.00億円、経常利益が同89.2%増の62.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同93.6%増の41.00億円としている。
<AK>
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