【QAあり】長栄、2Qは家賃収入や売買仲介手数料の増加等により増収 収益不動産の取得・譲渡により通期予想を修正
2025年3月期第2四半期(中間期)決算発表
長田修氏(以下、長田):株式会社長栄、代表取締役の長田です。本日は弊社の中間決算発表にご参加いただき、ありがとうございます。
当社は京都府を中心に、賃貸マンションの管理を受託する不動産管理事業と、自社物件の賃貸運営を行う不動産賃貸事業を展開しています。
当中間期のトピックスとしては、8月に福岡県初出店となる「ベルヴィ北九州」をオープンしました。さらに、9月には埼玉県で初となる自社物件の取得を行いました。また後ほど詳しくご説明しますが、本日、通期業績予想の修正を発表しています。
業績予想の修正に関して
それでは、株式会社長栄の第37期中間決算について発表します。中間決算の報告に先立ち、本日開示した通期業績予想の修正についてご説明します。補足説明資料の4ページをご覧ください。
10月18日に開示した「収益不動産の取得」及び「収益不動産の譲渡」の影響などを踏まえて、通期の業績予想を修正しました。
修正後の通期業績予想は、売上高は、前回予想から0.8パーセント増加の98億300万円としました。営業利益は、前回予想から23.3パーセント減少の15億1,100万円としました。経常利益は、前回予想から28.1パーセント減少の11億6,600万円としました。当期純利益は、前回予想から67.3パーセント増加の18億2,200万円としました。
修正の主な要因は2点であり、収益不動産の取得に伴う初期費用の発生と、収益不動産の売却に伴う特別利益の計上です。
具体的には、11月中に滋賀県草津市にて総戸数540戸の大規模マンションを取得する予定です。この物件の取得により売上が増加する一方で、取得費用の計上と初期改修等の先行投資の実施を見込むため、営業利益及び経常利益は前回予想から減少しています。
また、2025年3月には現在保有している大阪のオフィスビルを売却する予定です。この売却により特別利益を計上しますので、先にお伝えした物件取得による費用増加の影響がありつつも、当期純利益は前回予想から増加しています。当物件は3月まで家賃収入が発生しますので、当期の売上への影響はありません。
なお、今回は配当予想の修正は行っていません。配当については、決算が近づいてから判断していきたいと考えています。
2025/3期 中間期実績
それでは、中間決算の発表をします。説明資料の7ページをご覧ください。売上高は、前期から6.1パーセント増加し48億7,400万円となりました。営業利益は、前期から0.6パーセント減少し10億5,100万円となりました。経常利益は、前期から0.3パーセント増加し9億1,600万円となりました。中間純利益は、前期から7パーセント減少し6億2,400万円となりました。
5月13日に公表しました中間業績予想と比較しますと、売上高の達成率は102.3パーセント、当期純利益の達成率は127.3パーセントとなりました。売上高、利益ともに業績予想に対して好調に推移しています。
増収の主な要因は、家賃収入と売買仲介手数料の増加です。前期は合計12棟、戸数でいうと512戸を取得しましたので、これらの物件が通年稼働したことで家賃収入が順調に増加しています。
前期にホテル用途の物件を売却したために、そこから得られる家賃収入がなくなりましたが、新たに取得した物件の家賃収入が減少を上回り、増収となりました。
さらに、当期取得の物件についても、神奈川県で購入した物件が満室で稼働するなど、売上の増加に貢献しています。
また、当期は売買仲介も好調であり、仲介収入が増加しました。仲介収入は直接原価のかからない売上であるため、売上の増加だけではなく、利益にも大きく貢献しています。
中間純利益の減少要因としては、前期に計上していました物件売却による特別利益がなくなったことです。この前期の特別利益の影響を除きますと、おおむね前年並みとなりました。
セグメント別:不動産管理事業
続いて、セグメントごとの業績を発表します。資料の9ページをご確認ください。まずは不動産管理事業セグメントについてご報告します。売上高は、前期から9.5パーセント増加し19億7,800万円となりました。営業利益は、前期から35.6パーセント増加し2億9,000万円となりました。
管理受託戸数の増加により管理収入や工事売上が順調に増加したほか、利益に直結する売買仲介が好調であったことから、大幅な増収増益となりました。また、マンスリーマンションの需要が増加するなど、周辺の業務も堅調に推移しています。
セグメント別:不動産賃貸事業
次に、不動産賃貸事業セグメントについてご報告します。資料の10ページをご覧ください。売上高は、前期から4パーセント増加し28億9,600万円となりました。営業利益は、前期から9.8パーセント減少し7億6,000万円となりました。
前事業年度に取得した物件が通年稼働したほか、当期に取得した物件の運営が順調であったことから家賃収入が増加し、増収となりました。
その一方で、前期に取得した物件を含む自社物件の大規模な改修工事を行ったことで売上原価が増加し、営業利益は減少しました。
以上が当期の決算の概要です。私からの説明は以上です。
質疑応答:滋賀県草津市で取得予定の物件について
質問:滋賀県草津市で取得予定の物件ですが、540戸とはかなり大きなものですね。収益にもかなり貢献するのではないでしょうか?
長田:1棟で540戸のシングル向け賃貸マンションは、建築当時は日本国内でもトップクラスの規模でした。現状で90室ほどが空室になっているので、しっかり埋めていきます。これまでは学生専用マンションとして運用されていましたが、当社の購入後は一般向けにも賃貸を行っていきます。
質問:ファミリー物件でしょうか? 空室が90戸はかなり多いのではないですか?
長田:シングル向けの物件です。すでに募集を開始しています。学生の限定も外し、すべて埋めますのでご安心ください。
質疑応答:金利や家賃の上昇について
質問:金利や家賃が上昇すると考えられますが、影響はありますか?
長田:金利の上昇を家賃に転嫁できる内容の賃貸借契約となっています。家賃は急には上げられないため、2年毎の契約更新のタイミングで少しずつ上げていきたいと考えています。所得が上がらなければ家賃だけ上げられないため、様子を見ながら進めます。大きく上げることはしません。
質疑応答:福岡の拠点について
質問:福岡に拠点を出されていますが、状況はいかがでしょうか?
長田:地場の業者に委託していたものを長栄流の自主管理に変更し、良くなってきています。入居率も京都並みの水準となりました。九州の自社物件戸数は、現時点で約300戸あります。
質疑応答:今後注力するエリアについて
質問:全国的にみて、今後注力するエリアはやはり九州でしょうか?
長田:そうではありません。当社の構想する「カリタス」(注:長栄の入居審査を通過した契約者は、長栄が管理する物件であれば追加の審査・契約をすることなく転居が可能な契約形態)を実現するため、全国大都市圏で15エリアに進出することを目指しています。日本海側は人が少ない、雪が多いなどの事情があるためフランチャイズで進めていきたいと考えており、サービス名として「カリタスクラブ」という名前も決まっています。
賃貸借契約は手続きが非常に煩雑で、転居の度に印鑑証明の取得や入居審査、保証人手続きなど大変な手間がかかります。これをもっと簡単に自由に転居できるようなシステムを作っていきたいと考えています。
質疑応答:「カリタス」について
質問:「カリタス」は長栄独自のサービスでしょうか? いつから始める予定ですか? 転居にかかる手間が減るのは魅力的に思えます。
長田:長栄独自のサービスであり、サービス自体はすでに始めています。転勤の多い方など、賃貸契約に苦労されてきた方々を中心に、みなさまによろこんでもらえるサービスだと考えています。
質問:「カリタス」はいつから開始され、現状の契約はどの程度でしょうか?
長田:まだ始まったばかりですので、これからという状況です。これから認知を取っていきたいと思っています。
質疑応答:競合他社について
質問:貴社のようなサービスを行う賃貸管理会社は他にありますか?
長田:ないと思います。他の管理会社の多くは本業が不動産屋であり、仲介手数料が主な収益源です。仲介手数料の獲得を目的として、物件を囲い込むために管理を行っています。そのためサービスに力を入れておらず、家賃の入金管理ぐらいしかしていないことが多いと思います。
当社は仲介ではなく管理を本業としていますので、入居者対応などを細やかに行っています。同じような会社は他にないと自負しています。当社のような管理手法は儲かりにくいため、他社は参入しづらいのではないかと思います。
質問:では、なぜ貴社はうまくいくのでしょうか?
長田:経営者が優秀だからです。というのは冗談ですが、当社には独自のノウハウがあります。また、家主ではなく入居者に向いた仕事をしていることも重要です。
例えば、トイレが詰まったと連絡を受けて2日後に行くようでは「遅い」と怒られてしまいます。しかし、当社の場合は、京都であれば社員が30分以内に駆け付けてすぐに修理します。そうすると入居者さまからは感謝していただけますので、家計の中で家賃の優先度が上がることになります。家賃がしっかり回収できることで、結果的に家主さまの満足度も向上します。
質疑応答:他地域への進出について
質問:他地域への進出はどのように行われますか?
長田:各地域には地元の不動産屋がありますので、いきなり行っても管理は取れません。まずは自社物件を取得して、地元に浸透してから出店しますので、10年単位の計画になります。名古屋がこの方法で成功していますので、他の地域でも同じ方法で進めています。
地域の不動産屋には仲介などでお世話になりますので、揉めてはいけません。家主が自主管理している物件を中心に管理獲得を狙っていきます。
質疑応答:次に狙う地域について
質問:次に狙う地域はどこでしょうか?
長田:関東地方を考えています。
質問:関東の中で、具体的なエリアはありますか?
長田:横浜です。神奈川は家賃が高く、同じ間取りで京都の倍近い家賃収入が見込めます。東京は利回りが低くなってしまいますので、東京の周辺で買っていきます。家賃が高いということは人が多いということですので、つまり需要があるということです。逆に、利回りが高い物件であっても需要が見込めない地域では購入しません。今後、少子化が進んでも一定の需要が見込める地域で取得を進めます。
質疑応答:純利益が伸びている要因について
質問:純利益が伸びているのは物件売却の影響が大きいのでしょうか?
長田:そのとおりです。物件の売却については、当社の物件を購入したいと要望をいただいた場合に検討します。自社物件は基本は売却しませんが、今回のように大きな売却益が出るなど、メリットが大きい場合は売却します。当然その分の家賃収入が減少しますので、新しい物件をしっかりと購入し、売上を伸ばしていきます。
質疑応答:米国や日本の金利の影響について
質問:米国や日本の金利の影響はどう見込まれますか?
長田:金利が上がるのは仕方がないことですので、家賃の値上げなどで対応していきます。日本の家賃は米国の高い地域に比べると10分の1程度ですので、日本に住みたいという外国人の需要がこれからどんどん増えるとみています。日本に住む場合は、物件の購入よりも賃貸で考えることが多いと思います。
質疑応答:家賃を上げる余地について
質問:家賃を上げる余地はありますか?
長田:あります。結局は需給のバランスです。いまは建築費が高騰しており、新築物件はこれからどんどん家賃が上がっていきます。新築物件はこれから借りづらい状況になっていきますので、既存の物件の需要も高まってくるものと思います。
それでは、これにて株式会社長栄の第37期中間決算発表を終了します。本日はご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
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