1. 「ヨコレイ事業ビジョン2030」
横浜冷凍<2874>は、2030年9月期を最終年度とする中長期的な経営方針として「ヨコレイ事業ビジョン2030」「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」を公表している。同社は、事業ごとに社会に提供する価値(ありたい姿)を定義しており、冷蔵倉庫事業では「伝統と革新を融合したスマートコールドサービスの提供」を目指す。「環境配慮No.1を強みとした低温物流事業の更なる強化」「多機能物流センターで高効率とダイバーシティをけん引」「ステークホルダーに選ばれ続けるヨコレイ品質で世界へ」という3つの指針により社会に提供する価値をより強化する方針だ。食品販売事業においては、事業を通じて「顧客とともに食の独自価値を実現し、生産者に寄り添い守り、世界の食卓を豊かにする」ことを目指していく。「過去から脱却し時代の変化に対応し、顧客とともに独自価値を実現」「あらゆる資源を活用し、グローバル展開を加速」「持続可能な食と地域づくりの実践を強みにした事業展開」の3つの指針を軸に事業活動を推進していく。
2030年9月期には連結売上高1,700億円、連結営業利益100億円、EBITDA170億円を達成する計画である。事業別の定量目標としては、冷蔵倉庫事業がセグメント売上高400億円、セグメント利益100億円(配賦不能営業費用控除前の数値。以下同)、「多機能&オートメーション化」を設備した低温物流センターを10センター新設(庫腹約25万トン増)するとしている。食品販売事業においては、セグメント売上高1,300億円、セグメント利益率3.0%以上を計画している。そのほか、持続可能な社会の実現に事業活動を通じて貢献するために、自然冷媒導入率を85%以上(2023年9月期末時点で69.0%)、太陽光発電能力20MW(同9.3MW)を目指している。弊社としては、食品販売事業の収益性の高まりを期待している。ノルウェーサーモン事業を2021年9月期末に非連結化したことに加えて、量から質への変革が着実に進展していることが理由だ。冷蔵倉庫事業は引き続き堅調な推移が想定でき、業績と利益率の向上が期待できると弊社は見ている。2030年9月期の目標を達成するために、2024年9月期からは新・中期経営計画第II期「繋ぐ力」がスタートしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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