木徳神糧<2700>は、米穀の販売を主力とする食品卸会社である。米穀卸としては国内3強の一角を占める。米穀以外には、鶏卵、加工食品、飼料などを扱っている。
1. 2018年12月期第2四半期決算(実績):主力の米穀事業での価格改訂効果等により営業利益は大幅増
2018年12月期第2四半期決算は、売上高が58,484百万円(前年同期比17.2%増)、営業利益528百万円(同88.8%増)、経常利益572百万円(同73.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益369百万円(同42.3%減)となった。主力の米穀事業においては、数量的には伸び悩んだものの価格が比較的高値で推移したことから売上高は増加した。また採算面においても、業務用の品不足が顕著になったことから価格改訂が受け入れられ採算が改善し、セグメント利益が大きく増加した。主力の米穀事業の利益が改善したことから、全社での営業利益は前年同期比で大幅増益となった。親会社株主に帰属する四半期純利益については、前期に旧本社跡地等の売却益などを特別利益として計上したことから、前年同期比では減益となった。
2. 2018年12月期(通期予想):期初予想と変わっていないが、上方修正の可能性大
2018年12月期通期の業績は、売上高110,000百万円(前期比4.4%増)、営業利益750百万円(同15.5%増)、経常利益760百万円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益500百万円(同42.9%減)と予想されている。主力の米穀事業では平成30年産米は豊作の見込みであり、大手外食チェーンやコンビニエンスストア向け需要は引き続き好調が続くと予想されている。さらに上期の実績から価格改訂も進んでいることなどから、この予想はかなり堅めと言え、上方修正の可能性が高いだろう。なお親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に旧本社跡地や仙台の精米工場跡地の土地売却益(特別利益)を計上したことから前期比では減益となる見込み。
3. 日本の米市場の先行きは不透明ながら中長期では追い風
米国のトランプ政権がTPPからの離脱を宣言し、さらに自民党政権と全農等の農業団体との関係も綱引きが続いており、この先の日本の米市場の動向は不透明感が増している。しかし中長期的には米市場の自由化は進むものと予想され、同社のような大手米卸会社にとっては追い風と考えられる。全農が同社と業務・資本提携を行ったことなどは、その傾向の現れとも言えるだろう。
■Key Points
・2018年12月期第2四半期の営業利益は価格改訂効果などにより大幅増
・2018年12月期通期予想は期初と変わっていないが、上方修正の可能性大
・中長期的には国内米市場の変化は大手卸には追い風。全農と業務・資本提携
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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