今回のプレスリリースは田原氏の株主提案の経過を伝えるものであり、内容の概要を(1)田中氏による株主提案役員の全員が辞退、(2)田原氏はコンプラ意識(インサイダー情報の取り扱い等)で取締役資質を欠くと判断、(3)田原氏は経営能力で取締役資質を欠くと判断、(4)田原氏の株主提案の理由に対する反論パート1、(5)田原氏の株主提案の理由に対する反論パート2に分けてお伝えする。当記事は(4)田原氏の株主提案の理由に対する反論パート1となる。
田原氏の株主提案の理由の概要は以下となる。
(a)当社の中核セグセグメントである「ブロックチェーンサービス事業」の重要な一部である暗号資産販売所Zaifの運営事業をシークエッジグループに移転させようとする資本政策を決定したこと。
(b)ライツ・オファリングにより調達した資金の相当額をシークエッジグループ関連の暗号資産の購入に使い、前期第二四半期における連結での特別損失9.98億円もの多額の評価損を計上したこと(この数値は前期第二四半期以前の評価損やSkebCoinの評価損を含んでおらず、実態としては更に巨額の評価損を計上している)。
(c)クシムの社員が1名しか駐在していないにもかかわらず、シークエッジグループの代表者である白井一成氏の香港オフィスの家賃(月額250万円)を負担するなど、シークエッジグループの利益を優先して、クシムの企業価値・株主利益の毀損を厭わない経営を行っており、クシムの経営が不振を極めていること。
クシムは、それに対しても1つ1つ反論している。(a)については、株式会社カイカフィナンシャルホールディングス(以下、「カイカFHD」)からの3本の金銭消費貸借契約(準消費貸借を含む)に基づく借入債務の残高が多額であり、支払利息の負担もあって、株式会社ZEDホールディングス(以下、「ZEDHD」)の財政上の負担が小さくないことから実施を検討していたものであり、カイカFHDに対して新株予約権を付与する対価として借入金の金利を0%とするとともに、上記借入債務に係る債権を新株予約権の行使時に金銭に代えて出資する新株予約権を付与することで、カイカFHDが行使した場合には借入債務が圧縮される。当該新株予約権がすべて行使された場合、カイカFHDのZEDHDに対するクシムの所有割合が43%ほどになるが、それでもクシムは48%超の株式を保有しており取締役についても変更する予定がなく、経営権を支配している状況に変わりがない。したがって、Zaifの運営事業の経営権の移転を目的としているという田原氏の主張は全く当てはまらないという。
(b)についても、クシムはライツ・オファリングで調達した資金の具体的な使途を示し、調達時の予定に沿って使われており、田原氏の主張が事実と全く異なると述べている。ライツ・オファリングによって得た資金で50百万円を暗号資産分野への事業投資として暗号資産の取得を行っているが、その後に約100百万円の売却益を計上しており、暗号資産に係る特別損失を計上しているのは事実だが、その原因は2023年11月にM&Aにより子会社化した株式会社Web3キャピタルがM&A前より保有していた暗号資産およびその他の資金により購入した暗号資産の一部の評価減であるという。また、SkebCoinの価値向上に関しては、トークノミクス設計に競争優位のあるチューリンガムがバリューアップの役務を受託するコンサルティング契約を締結しており、田原氏はチューリンガムの取締役であったことに加えて、2023年11月から2024年10月31日まではWeb3キャピタルの取締役の地位にもあったにもかかわらず、上記のような全くの誤解に基づく主張をされていることについて、田原氏の取締役としての適性(基本的な経営管理能力)を欠くことを示すとクシムは述べている。
(c)については、(5)田原氏の株主提案の理由に対する反論パート2にて記載する。
<NH>
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