3. カジュアルウェディング事業
カジュアルウェディング事業の主要サービスは、カジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」シリーズ、フォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」、結婚式二次会プロデュース「2次会くん」である。
カジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」シリーズは、予算内で高クオリティな結婚式をしたいという要望に応じて、安く・美しく・自由なカジュアルウェディングをプロデュースする。全国約250の提携会場での挙式披露宴をプロデュースし、当日の運営は挙式披露宴会場のプロのスタッフが行う。提携会場の日程の空き枠の有効活用やアイテムの大量発注・自社内製など会場費用を抑える独自の仕入ノウハウにより、一般的な挙式披露宴費用約327万円(ゼクシィ「結婚トレンド調査2023」)に対して、「スマ婚」の平均費用は約200万円(2024年3月期実績)となっている※。2022年8月には2022年オリコン顧客満足度(R)調査「格安ウエディング」総合ランキングで「スマ婚」が第1位を獲得した。
※出所:事業計画及び成長可能性に関する事項
従来の「たくさんのゲストを招待して挙式+披露宴を行う」形式だけでなく、「本当に大切な人に感謝を伝えるための小規模な結婚式を行う」形式に対する新郎新婦のニーズが高まっていることに対応して、新たなプラン・サービスの企画開発・提供も推進している。2021年11月には「スマ婚少人数挙式ライトプラン」を、2022年2月にはスマ婚少人数挙式と家族写真(和装後撮り)をセットにした「スマ婚フォト+挙式」を、さらに2023年1月には新郎新婦が思い描く美しさとおもてなし演出のイメージを叶える「スマ花 フラワー&テーブルコーディネート」の提供を開始した。今後も多様化するニーズに対応して様々なプラン・サービスを拡大していく方針だ。
フォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」は全国6ヶ所のフォトスタジオなどにおいて、フォトを主軸としたウェディングを行っている。理想の花嫁姿を写真に残したいという要望に応えて、洗練されたスタジオセット、格式高いチャペルや邸宅など本物のロケーション、最先端のフォトレタッチ技術、自社育成の正社員カメラマンにより美しい花嫁姿を実現する。プロデュース・撮影費用は平均約30万円であり、一般的な挙式披露宴費用の約10分の1の予算で実現できる。また「和装前撮り特別プラン」など付加価値サービスを追加することで、平均単価が上昇傾向にあるようだ。
フォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」を運営するタメニーアートワークス(2023年3月に吸収合併)は2020年11月にブライダル事業のエスクリ<2196>と業務提携した。首都圏のみで提供していたフォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」の撮影会場にエスクリの高クオリティなチャペルや会場が加わり、全国展開が可能になった。また2021年12月には、婚礼衣装の企画・製造販売を展開(本場英国の上質なウェディングドレスなどのドレスショップを全国62店舗展開)するフォーシス アンド カンパニーと資本業務提携し、結婚式の決定要因として重要な役割を担う婚礼衣装を強化した。2022年12月には、現代での家族の形を、写真を通して記憶し続ける「アニバーサリーフォトプラン」と「ワンモアフォトプラン」の提供を開始した。それぞれ、ライフステージごとの記念を形に残したい層や、もう一度ドレスを着て2回目の撮影を楽しみたい層を取り込んでいく方針だ。2023年6月にはフォトウェディングブランド「studio LUMINOUS」が日本初(リザライ調べ)のLGBTs向けパートナー紹介サービス「リザライ」を運営する(株)リザライと提携した。2023年7月にはフォトウェディングスタジオ「LUMINOUS Odaiba」をリニューアルオープンし、3つのスタジオセットを新設して和装撮影も可能にした。2024年3月には北陸地方の旗艦店となる「LUMINOUS Toyama」をオープンした。
なおフォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」については、競争激化や挙式披露宴型に回帰する動きの影響などが見られたが、2023年7月以降にフォトウェディングスタジオ「LUMINOUS Odaiba」のリニューアルやエリアごとの戦略最適化を実施したことにより足元では施行件数が回復基調である。今後もスタジオリニューアルによるサービスの高品質化やエリアごとの戦略最適化を継続する方針だ。
結婚式二次会プロデュース「2次会くん」は二次会幹事代行サービスである。プロのプランナーによるプロデュースで、飲食店など全国480以上の提携会場からニーズに合わせて会場を紹介し、当日はプロの幹事・運営スタッフを会場に派遣(飲食は会場に委託)する。平均費用は約40万円となっている。
カジュアルウェディング事業の事業KPIの状況は以下のとおりである。カジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」シリーズ、及び結婚式二次会プロデュース「2次会くん」は、コロナ禍の影響で成約件数、施行件数とも一時的に大きく落ち込んだが、徐々に回復しており、2025年3月期は回復が加速する見込み(カジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」シリーズの成約件数が前期比38.3%増の1,018件、結婚式二次会プロデュース「2次会くん」の成約件数が36.3%増の2,111件)としている。なおカジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」シリーズについては、成約から施行まで約7ヶ月のタイムラグがある。フォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」については、競争激化や挙式披露宴型への回帰の動きなどにより伸び悩む形だが、スタジオセットの高品質化などにより2025年3月期は回復に転じる見込み(成約件数が前期比17.6%増の5,177件)としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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