■日経平均は上昇に転じる
前週の日経平均は2週間ぶりに上昇に転じた。12日のNYダウは4日ぶりに反発したものの、週明け15日の日経平均は3日連続安となった。東京都の14日における新型コロナウイルスの新規感染者数が5月5日以来の高水準となったことから一段安で始まり、後場に入るとNYダウ先物の時間外取引での下落や円高進行を嫌気して下げ幅を拡大させた。大引けの日経平均は前週末比774.53円安の21530.95円と下げ幅は4月1日(851.60円安)以来の大きさとなった。米連邦準備理事会(FRB)が広範な社債の買い入れ開始を発表し、15日のNYダウが続伸した流れを受けて、16日の日経平均は4日ぶりの大幅反発に転じた。一段高で始まったのち、後場に入ると米政権が更なる景気刺激策を準備していることが伝わり、大引けの日経平均は前日比1051.26円高の22582.21円となった。上げ幅は3月25日(1454.28円高)以来の大きさで今年3番目を記録した。16日のNYダウは5月小売売上高が過去最大の伸びとなったことから3日続伸したものの、17日の東京市場は前日の大幅高の反動もあって売りが先行し、日経平均は反落した。17日のNYダウは、感染第2波への懸念と大統領選世論調査におけるトランプ大統領の苦戦が報じられたことを受けて4営業日ぶりに反落。18日の東京市場も売りが先行して始まり、日経平均は続落した。前場中頃から日経平均は一段安となり、下げ幅を広げる場面があったものの、米中外交トップによるハワイ会談の実施が伝わると、米中関係に対する警戒感がやや後退して下げ幅を縮小した。週次新規失業保険申請件数が予想を上回り、労働市場の回復が遅れるとの懸念が強まったことで18日のNYダウは小幅続落。ただ、半導体関連やハイテク株が上昇し、ナスダック総合指数は小幅ながら5日続伸をみた。19日の日経平均はこの流れを引き継ぎ反発スタート。前日終値を割り込む場面もあったが、政府による6月の月例経済報告で「景気が下げ止まりつつある」と基調を上方修正されたことが好感されて後場は持ち直し、大引けの日経平均は123.33円高の22478.79円と3日ぶりに反発した。個別では、非開示だった21年3月期業績で好調な見通しを示した東エレク<8035>の一段高が話題となった。クアドプルウィッチング(オプションや先物決済日)にあたる19日の米国市場は、フロリダ州やカリフォルニア州などのウイルス感染者数の連日急増が伝えられたことが嫌気され、NYダウは208.64ドル安の25871.46ドルと3日続落。ただ、小幅ながらナスダックは6日続伸した。
■好悪材料が対立も過熱感は後退
今週の日経平均は、国内新規感染者数や米国市場と為替動向を睨みつつも堅調な展開が見込まれる。新型コロナ感染第2波への懸念や朝鮮半島の地政学リスクの高まり、米大統領選に向けたトランプ大統領の支持率低迷などの警戒材料などからリスクオンムードの後退が、引き続き懸念材料となりそうだ。一方、19日からは都道府県をまたぐ移動制限が全面解除となり、景気回復への期待感も増している。外部材料においては強弱材料が綱引き状態にある。テクニカル的な過熱感がやや後退して、日経平均の25日移動平均線と13週線がともに上昇を維持、5日線も下げ止まりとなったことで、相場の上げ基調は崩れていない。こうしたなか、好感材料として働いてきそうなのが個別銘柄の躍動だ。18日に今3月期予想を増収増益で開示した東エレクが19日に1655円高の24860円と前日比7%を超える上昇率を見せた。アドバンテスト<6857>など周辺半導体株にもツレ高の銘柄がみられ、この半導体関連株人気が持続すると、日経平均は上値を窺う場面が出てくる期待がある。ただ、19日は、日経平均が3日ぶりに反発したのに対して、東証1部の値上がり数と値下がり銘柄数はほぼ拮抗し、TOPIX(東証株価指数)は3日続落だった。この傾向が続くと、日経平均と市場ムードの体感温度が乖離してくる可能性もある。
■アップル、任天堂周辺とIPO再開に注目
物色的には、半導体関連の人気持続と関連性の高い「5G」などへの人気波及が期待される。22日には米アップルがオンラインで世界開発者会議を開催することからアップル関連、また、任天堂<7974>が24日にビッグプロジェクトを発表することから、任天堂周辺株やゲーム関連にも動きが出る可能性もある。このほか、「抗ウイルス・抗菌剤CA1100」の小分けタイプ発売が材料となったキャンディル<1446>が19日にかけて2日連続ストップ高となるなど個別株物色は高まっている。特に、24日に3銘柄、26日に1銘柄とおよそ2カ月半ぶりにIPO(新規上場)がマザーズから再開されることも、個別株の物色意欲を高めることを支援してくる。
■米1-3月期GDP、米5月個人支出
今週の主な国内予定は、22日に5月コンビニエンスストア売上高、24日に6月15・16日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、5月企業向けサービス価格指数、25日に4月全産業活動指数が予定されている。一方、海外では、22日に米5月シカゴ連銀全米活動指数、米5月中古住宅販売件数、23日に米5月新築住宅販売件数、24日に米4月FHFA住宅価格指数、25日に米1-3月期GDP確報値、米5月耐久財受注、FRBは大手金融機関のストレステスト(健全性審査)と包括的資本分析(CCAR)の結果を公表、中国(26日まで)・香港市場休場(端午節)、26日に米5月個人所得・個人支出がそれぞれ予定されている。
<FA>
前週の日経平均は2週間ぶりに上昇に転じた。12日のNYダウは4日ぶりに反発したものの、週明け15日の日経平均は3日連続安となった。東京都の14日における新型コロナウイルスの新規感染者数が5月5日以来の高水準となったことから一段安で始まり、後場に入るとNYダウ先物の時間外取引での下落や円高進行を嫌気して下げ幅を拡大させた。大引けの日経平均は前週末比774.53円安の21530.95円と下げ幅は4月1日(851.60円安)以来の大きさとなった。米連邦準備理事会(FRB)が広範な社債の買い入れ開始を発表し、15日のNYダウが続伸した流れを受けて、16日の日経平均は4日ぶりの大幅反発に転じた。一段高で始まったのち、後場に入ると米政権が更なる景気刺激策を準備していることが伝わり、大引けの日経平均は前日比1051.26円高の22582.21円となった。上げ幅は3月25日(1454.28円高)以来の大きさで今年3番目を記録した。16日のNYダウは5月小売売上高が過去最大の伸びとなったことから3日続伸したものの、17日の東京市場は前日の大幅高の反動もあって売りが先行し、日経平均は反落した。17日のNYダウは、感染第2波への懸念と大統領選世論調査におけるトランプ大統領の苦戦が報じられたことを受けて4営業日ぶりに反落。18日の東京市場も売りが先行して始まり、日経平均は続落した。前場中頃から日経平均は一段安となり、下げ幅を広げる場面があったものの、米中外交トップによるハワイ会談の実施が伝わると、米中関係に対する警戒感がやや後退して下げ幅を縮小した。週次新規失業保険申請件数が予想を上回り、労働市場の回復が遅れるとの懸念が強まったことで18日のNYダウは小幅続落。ただ、半導体関連やハイテク株が上昇し、ナスダック総合指数は小幅ながら5日続伸をみた。19日の日経平均はこの流れを引き継ぎ反発スタート。前日終値を割り込む場面もあったが、政府による6月の月例経済報告で「景気が下げ止まりつつある」と基調を上方修正されたことが好感されて後場は持ち直し、大引けの日経平均は123.33円高の22478.79円と3日ぶりに反発した。個別では、非開示だった21年3月期業績で好調な見通しを示した東エレク<8035>の一段高が話題となった。クアドプルウィッチング(オプションや先物決済日)にあたる19日の米国市場は、フロリダ州やカリフォルニア州などのウイルス感染者数の連日急増が伝えられたことが嫌気され、NYダウは208.64ドル安の25871.46ドルと3日続落。ただ、小幅ながらナスダックは6日続伸した。
■好悪材料が対立も過熱感は後退
今週の日経平均は、国内新規感染者数や米国市場と為替動向を睨みつつも堅調な展開が見込まれる。新型コロナ感染第2波への懸念や朝鮮半島の地政学リスクの高まり、米大統領選に向けたトランプ大統領の支持率低迷などの警戒材料などからリスクオンムードの後退が、引き続き懸念材料となりそうだ。一方、19日からは都道府県をまたぐ移動制限が全面解除となり、景気回復への期待感も増している。外部材料においては強弱材料が綱引き状態にある。テクニカル的な過熱感がやや後退して、日経平均の25日移動平均線と13週線がともに上昇を維持、5日線も下げ止まりとなったことで、相場の上げ基調は崩れていない。こうしたなか、好感材料として働いてきそうなのが個別銘柄の躍動だ。18日に今3月期予想を増収増益で開示した東エレクが19日に1655円高の24860円と前日比7%を超える上昇率を見せた。アドバンテスト<6857>など周辺半導体株にもツレ高の銘柄がみられ、この半導体関連株人気が持続すると、日経平均は上値を窺う場面が出てくる期待がある。ただ、19日は、日経平均が3日ぶりに反発したのに対して、東証1部の値上がり数と値下がり銘柄数はほぼ拮抗し、TOPIX(東証株価指数)は3日続落だった。この傾向が続くと、日経平均と市場ムードの体感温度が乖離してくる可能性もある。
■アップル、任天堂周辺とIPO再開に注目
物色的には、半導体関連の人気持続と関連性の高い「5G」などへの人気波及が期待される。22日には米アップルがオンラインで世界開発者会議を開催することからアップル関連、また、任天堂<7974>が24日にビッグプロジェクトを発表することから、任天堂周辺株やゲーム関連にも動きが出る可能性もある。このほか、「抗ウイルス・抗菌剤CA1100」の小分けタイプ発売が材料となったキャンディル<1446>が19日にかけて2日連続ストップ高となるなど個別株物色は高まっている。特に、24日に3銘柄、26日に1銘柄とおよそ2カ月半ぶりにIPO(新規上場)がマザーズから再開されることも、個別株の物色意欲を高めることを支援してくる。
■米1-3月期GDP、米5月個人支出
今週の主な国内予定は、22日に5月コンビニエンスストア売上高、24日に6月15・16日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、5月企業向けサービス価格指数、25日に4月全産業活動指数が予定されている。一方、海外では、22日に米5月シカゴ連銀全米活動指数、米5月中古住宅販売件数、23日に米5月新築住宅販売件数、24日に米4月FHFA住宅価格指数、25日に米1-3月期GDP確報値、米5月耐久財受注、FRBは大手金融機関のストレステスト(健全性審査)と包括的資本分析(CCAR)の結果を公表、中国(26日まで)・香港市場休場(端午節)、26日に米5月個人所得・個人支出がそれぞれ予定されている。
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