明日の株式相場に向けて=全方位型・個別株物色の勘所
週明け16日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比12円安の3万9457円と小幅続落。前週末はメジャーSQ通過後に深押しする味の悪い地合いとなった。きょうは為替が円安方向に振れていることもあって、朝方はリバウンド狙いの買いが先行したのだが、それも束の間、前場中盤以降は値を消した。米国株市場もハイテク株は強さを発揮しナスダック指数は高値圏で売り物を吸収する展開ながら、NYダウの方は気が付けば7日続落。しかも7日連続で陰線を形成し、25日移動平均線を下放れるという典型的な利食い急ぎの兆候がみられる。
今週は米国のFOMCの結果発表を18日(日本時間19日早朝)に控えるほか、半日遅れて日銀の金融政策決定会合の結果が19日の昼ごろに開示される。FOMCでは0.25%の追加利下げの可能性が濃厚とみられる。当然ながら米株市場はこれを織り込んでいるが、マーケットの視線が注がれているのは、来年のFRBの金融政策の舵取りがどういう方向に切られるのかという点だ。
FOMCメンバーの政策金利に対する見方、いわゆるドットチャートがいつも以上にクローズアップされやすい状況にある。ドットチャートは2025年については年間で1%、つまり25ベーシスで4回の利下げが前回時点のメインシナリオだった。これが今回は0.75%(年3回)、あるいは0.5%(年2回)に減じられる可能性がある。更にマーケットの視点は再来年、26年にも向いていて、この年に利下げ打ち止めとなるのは既にコンセンサスといってもよいが、FRBが踵を返し利上げに転じるという思惑が生じるとなると話は別で、センチメントは一気に冷える。来年の話をすると鬼が笑うというが、“再来年”を気にするマーケットに投資家が振り回される構図だ。
一方、日銀金融政策決定会合については12月の利上げあるや無しやで外野がかまびすしい。だが、わざわざ日銀サイドから利上げ見送りのアドバルーンを上げておいて、確信犯で円安誘導してから「やっぱり利上げします」というのであれば、マーケットにもそれなりの不信感が広がるはずである。いつの間にか1ドル=153円台後半まで円安が進んだ。少し前までは1ドル=150円ラインが日銀の追加利上げのトリガーとみなす向きも多かった。そこから4円近く円安に振れた現状は、間違いなく引き金を引く水準である。
しかし、売り方も動けない。今回の12月の決定会合と来年1月の下旬に行われる会合はいわばコインで言えば裏表になっていて、今回利上げが見送られれば自動的に1月は利上げに踏み切るし、今回引き上げれば、1月はコインの裏側で現状維持(利上げ見送り)というパターンが想定される。したがって、実際は今週の会合で利上げがあってもなくても大きな差はないというのが、市場筋の暗黙のコンセンサスとなっているようだ。やはり、経済独り勝ち状態の米国で、株式市場のゴルディロックス環境がいつまで続くのかということが、米国だけでなく世界株市場にとって最大の関心事となっている。
もっとも森を見ていても埒(らち)が明かない。当面は個別株勝負だ。そうしたなか、物色の流れは防衛関連一本槍から、良い意味で広がりが出てきた。全方位型でアンテナを高くする場面である。データセンターの電力設投周辺では光コネクターなどの光関連部品や光電融合技術で実力を発揮する精工技研<6834.T>が依然として上値指向。光半導体関連でデクセリアルズ<4980.T>も新たにマークしておきたい。また、ビッグデータやAI活用のネット広告配信で時流に乗るソニー系の伏兵、SMN<6185.T>も面白い存在だ。米株市場で人気沸騰のテーマとなっている量子コンピューター関連ではレゾナック・ホールディングス<4004.T>に意外性があるほか、低位のユビキタスAI<3858.T>に着目したい。このほか、インバウンド特需を取り込み業績好調なDDグループ<3073.T>も要注目といえる。
あすのスケジュールでは、午前中に20年物国債の入札が予定されている。また、東証グロース市場にリスキル<291A.T>、東証スタンダード市場に黒田グループ<287A.T>がそれぞれ新規上場する。海外では11月の英失業率、12月の独IFO企業景況感指数、10月のユーロ圏貿易収支、12月の欧州経済センター(ZEW)独景気予測調査が注目されるほか、11月の米小売売上高、11月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、12月の全米建設業協会(NAHB)住宅市場指数、10月の米企業在庫などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
今週は米国のFOMCの結果発表を18日(日本時間19日早朝)に控えるほか、半日遅れて日銀の金融政策決定会合の結果が19日の昼ごろに開示される。FOMCでは0.25%の追加利下げの可能性が濃厚とみられる。当然ながら米株市場はこれを織り込んでいるが、マーケットの視線が注がれているのは、来年のFRBの金融政策の舵取りがどういう方向に切られるのかという点だ。
FOMCメンバーの政策金利に対する見方、いわゆるドットチャートがいつも以上にクローズアップされやすい状況にある。ドットチャートは2025年については年間で1%、つまり25ベーシスで4回の利下げが前回時点のメインシナリオだった。これが今回は0.75%(年3回)、あるいは0.5%(年2回)に減じられる可能性がある。更にマーケットの視点は再来年、26年にも向いていて、この年に利下げ打ち止めとなるのは既にコンセンサスといってもよいが、FRBが踵を返し利上げに転じるという思惑が生じるとなると話は別で、センチメントは一気に冷える。来年の話をすると鬼が笑うというが、“再来年”を気にするマーケットに投資家が振り回される構図だ。
一方、日銀金融政策決定会合については12月の利上げあるや無しやで外野がかまびすしい。だが、わざわざ日銀サイドから利上げ見送りのアドバルーンを上げておいて、確信犯で円安誘導してから「やっぱり利上げします」というのであれば、マーケットにもそれなりの不信感が広がるはずである。いつの間にか1ドル=153円台後半まで円安が進んだ。少し前までは1ドル=150円ラインが日銀の追加利上げのトリガーとみなす向きも多かった。そこから4円近く円安に振れた現状は、間違いなく引き金を引く水準である。
しかし、売り方も動けない。今回の12月の決定会合と来年1月の下旬に行われる会合はいわばコインで言えば裏表になっていて、今回利上げが見送られれば自動的に1月は利上げに踏み切るし、今回引き上げれば、1月はコインの裏側で現状維持(利上げ見送り)というパターンが想定される。したがって、実際は今週の会合で利上げがあってもなくても大きな差はないというのが、市場筋の暗黙のコンセンサスとなっているようだ。やはり、経済独り勝ち状態の米国で、株式市場のゴルディロックス環境がいつまで続くのかということが、米国だけでなく世界株市場にとって最大の関心事となっている。
もっとも森を見ていても埒(らち)が明かない。当面は個別株勝負だ。そうしたなか、物色の流れは防衛関連一本槍から、良い意味で広がりが出てきた。全方位型でアンテナを高くする場面である。データセンターの電力設投周辺では光コネクターなどの光関連部品や光電融合技術で実力を発揮する精工技研<6834.T>が依然として上値指向。光半導体関連でデクセリアルズ<4980.T>も新たにマークしておきたい。また、ビッグデータやAI活用のネット広告配信で時流に乗るソニー系の伏兵、SMN<6185.T>も面白い存在だ。米株市場で人気沸騰のテーマとなっている量子コンピューター関連ではレゾナック・ホールディングス<4004.T>に意外性があるほか、低位のユビキタスAI<3858.T>に着目したい。このほか、インバウンド特需を取り込み業績好調なDDグループ<3073.T>も要注目といえる。
あすのスケジュールでは、午前中に20年物国債の入札が予定されている。また、東証グロース市場にリスキル<291A.T>、東証スタンダード市場に黒田グループ<287A.T>がそれぞれ新規上場する。海外では11月の英失業率、12月の独IFO企業景況感指数、10月のユーロ圏貿易収支、12月の欧州経済センター(ZEW)独景気予測調査が注目されるほか、11月の米小売売上高、11月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、12月の全米建設業協会(NAHB)住宅市場指数、10月の米企業在庫などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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