~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
欧州中央銀行が12月3日に発表した追加緩和の内容が肩透かしに終わり、大規模な金融緩和を見込んでいた投資家の売りを浴び、4日の株価は急落。日経平均株価は約3週間ぶりに一時19500円を割り込む場面がありました。
今週は週間でも380円ほど値下がりし、週間の連騰記録は7週で途絶える結果となりました。
■ほぼ全面安の中、日本郵政が上場来高値を更新。
業種別で全33業種が下落するほぼ全面安の中、(6178)日本郵政が朝安後に切り返し、上場来高値を更新しました。
同社はグループ傘下の日本郵便が、豪物流大手トール・ホールディングスを買収し、国際物流に参入したとはいえ、屋台骨は国内事業です。
また、上場間もない日本郵政は、時価総額が9兆円に迫る巨大企業にも関わらず、日経平均株価はおろか、東証株価指数にもまだ組み入れ対象にはなっていません。
外部環境の影響を受けにくいディフェンシブ性が評価され、日経平均株価とは逆相関する動きが見られています。
■リスクヘッジは「インバース型の投信」
11月4日の上場後、12月4日までに日経平均株価は7回下落しましたが、下げた日すべてで日本郵政株は値上がりしているのです。
投資信託の中には、先物やデリバティブを組み入れることで、日経平均株価と逆相関を目指すインバース型の投信も登場しています。
現物株のリスクヘッジのため、これらインバース型の投信などを保有している投資家も多いと思われますが、相場が下げたら買われる日本郵政も、同じような効果が期待できるでしょう。
■リスク回避資金の受け皿として資金流入が続くか?
今月15日、16日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ゼロ金利政策を解除し、9年半ぶりの利上げに踏み切るかが焦点になっています。
米国が利上げに動けば、2008年10月のリーマンショックによる金融危機から完全に立ち直ったといえ、「米国経済は復活した」として株高に向かうシナリオも描けます。
ただ、利上げがあるかどうか、更には利上げによって株高に向かうかは不透明で、市場が弱気に傾くようであれば、リスク回避資金の受け皿となる日本郵政への資金流入は続きそうです。
小野山 功