保合いが長ければ長いほど、放れは大きくなる
2012年12月にリチャード・W・フィッシャー(ダラス連銀総裁)が、「中央銀行は、「ホテル・カリフォルニア的金融政策」と呼ぶリスクに瀕している。チェックアウトはいつでも好きなときにできるが、ここから立ち去ることはできない。この措置はいつでも終了できるが(バランスシートの肥大化ゆえに)脱出できないことを恐れている。」と述べた状況に陥っているかのように見える。
雇用統計でビッグサプライズがなければ、中国勢が国慶節で長い休場に入っており、8日の9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や、中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)での景気刺激策の動向を見極めようとする動きが堅調になるかもしれない。12日がメリマンの重要変化日。13日が新月。120円水準は、昨年末から5ヶ月ほど保合った水準で、6月を中心に左右対称形が描かれるなら、12月のFOMC辺りまで保合いを続けてもおかしくはない。保合いは長ければ長い程、放れた際の値動きは大きくなるもので、10月に放れを見せるよりは、12月まで保合って放れた方が、トレンドは上にしろ下にしろ大きくなるであろう。
ドルと逆相関のNY金も、上値が重い状況が続いているが、これはドル高を示唆していると言うよりも、リーマンショックの時と同じように、リスク資産売りの中で換金売りを含めた売り圧力が掛かっていると見た方が良いだろう。
スイスの資源大手グレンコアは、株価が1ヶ月間で35%以上も下落しており、米石油・ガス開発会社サムソン・リソーシズは2週間前に連邦破産法11条の適用を申請。アルミ大手の米アルコアも事業分割を発表するなど、ここ数年の商品価格下落が大きく響いており、今後の市場に与える影響も不透明だ。既に、独VWとグレンコアの株価下落を受けて、2銘柄を大量に保有するカタール投資庁(QIA)を始め、オイルマネーを中心とした各国の政府系ファンドの資金引き揚げが各市場で観測されるようになっている。
リーマンショック以降、相関の高まったNYダウとNY原油だが、NY原油の足元の堅調も、NYダウの上昇暗示ではなく、ハリケーン「ホアキン」が来週初めにかけて米東海岸沿いの製油所密集地域に影響を及ぼす恐れを反映しているだけだろう。
リスク資産全般に上値が重い展開が続くかもしれない。