~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~
先々週の大荒れだった相場から手の平を返したように、先週は1日も下げることなく、日経平均株価は5日続伸しました。中国株安やギリシャ債務問題への警戒で760円下落しましたが、下落分をすべて埋め戻しています。
ただ、リスクオンに傾いたかと言えば、必ずしもそうではないようです。中国経済の減速懸念から中国関連株の戻りは鈍く、代表的な中国関連株(5401)新日鐵住金、(6301)コマツ、(7201)日産自動車の週間の上昇率は、日経平均株価の上昇率(4.4%)の半分以下にとどまっています。
資金流入を集めたのは、(9432)NTT、(9020)JR東などいわゆるディフェンシブ銘柄でした。まだ、外部環境への警戒感が払しょくされたわけではないため、低リスク銘柄が選好されました。
■今週より決算発表が本格化。
連休明けの本日、21日に(6506)安川電機が先陣を切って決算を発表し、いよいよ3月期企業の決算発表が本格化します。
輸出企業は今期の業績予想の前提となる想定為替レートを「115円」程度としており、保守的な見通しを出している企業も多いため、想定レートの修正による上方修正も期待できるでしょう。
また、23日(木)の(4063)信越化学や、翌週の(5401)新日鐵住金のように、今期予想をまだ開示していない企業もあります。通期の見通しが明らかになれば、警戒感払しょくにつながりそうです。
■今後の注意点は国内政治。
一方、注意しなければならないのは、内閣支持率低下です。集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈の変更、安保法案の強行採決などで、内閣支持率が低下しています。
NHKが実施した世論調査によると、安倍内閣を「支持しない」と答えた人が、先週「支持しない」という回答を上回りました。
NHKの調査で不支持率が支持率を上回ったのは、2012年12月に第二次安倍政権が発足して初めてのことです。
これまで、景気回復や株価上昇を受けて高い支持率を維持していたため、大胆な経済政策を打ち出すことが可能でしたが、支持率が低下するようであれば、政策運営に支障が出かねません。
8月には戦後70年の首相談話の発表や原発の再稼働が見込まれており、支持率が一段と低下する恐れがあります。
中国やギリシャ情勢など外部環境ばかりに目を奪われがちでしたが、国内にも波乱の火種がくすぶっています。
小野山 功