円安を追い風に増収増益の見通し
2015年3月期の業績は売上が5.9%増の2兆3766億9700万円、営業利益が26.3%増の1273億4600万円、経常利益が41.7%増の1574億1400万円、純利益が41.1%増の521億9200万円。持分法による投資利益が大きく出ていることから経常利益以下の業績が大きくなっています。
2016年通期予想は、売上が5.3%減の2兆2500億円、営業利益が13.9%増の1450億円、経常利益が1.6%増の1600億円、純利益が53.3%増の800億円と増益の見通しです。同時に、今期の年間配当は5円増の14円に大幅増配する方針です。同社の配当性向は30%程度と高水準です。
液晶ディスプレイ材料やタッチセンサーパネルの販売価格が下落したことによって情報電子化学事業が、薬価改定や後発品の影響により医薬品がそれぞれ軟調な利益推移となりましたが、石油価格の下落により石油化学品価格は下落したものの、原料コストが低く抑えられたので利益の増大に寄与しました。たとえば合成樹脂については価格下落があったものの、シンガポールや国内での出荷が増加し利益を牽引しました。
また農薬事業について合理化を進めています。化学農薬と生物農薬の事業運営を一体化し統治運営し、グローバル農薬事業の体制基盤を整えています。マーケティング、新規開発、事業開発にとどまらず、今後は研究および農薬登録の機能も統合して運営していく方針です。
そして交渉大詰めを迎えているTPP関連有力株として位置づけられていることも株高に寄与しています。
2014年10-12月から原油価格は下落していますが、想定ナフサ価格は1キロリットル=4万7000円なので、今後も原油価格下落の恩恵をフルに享受し、堅調な業績が期待できるのではないかと思います。
想定為替レートは1ドル=115円、原油安の他、円安も利益押し上げに寄与すると見込まれます。