きょうの東京株式市場で話題となったのは「
東芝<6502>のストップ安や、
シャープ<6753>の急落が全般相場に大きくは波及しなかった。これは、全般相場地合いの強さを象徴する現象。地合いの芳しくないときであれば、“東芝ショック”、“シャープショック”と呼ばれるような、全体相場の下落につながる危険性もあったのでは」(市場関係者)との指摘だ。
□東芝には証券会社のレーティング一時停止の動き相次ぐ
同社は8日引け後、インフラ関連工事進行基準についての会計処理に調査を必要とする事項が判明したことで第三者委員会を立ち上げ、15年3月期の業績予想を取り消すことなどを公表した。これに対して、証券会社によるレーティング一時停止の動きが出ている。
SMBC日興証券は8日、「合理的な投資評価および目標株価試算が困難な状況」として投資評価を一時停止した。同証券では投資評価「2」、目標株価を610円に設定していた。バリュエーションが正常に機能し始めた段階で評価を再開する方針としている。野村証券も8日、レーティングを保留するとした。同証券では東芝株を「バイ」、目標株価650円としていた。この日の同社株は、前週末比80円ストップ安の403.3円で引けた。
東芝プラントシステム<1983>、
東芝テック<6588>、東芝機械
<6104>、
芝浦メカトロニクス<6590>といった東芝が筆頭株主の企業には何等かの影響は避けられないものの、現在までのところ、それ以外の波及は出ていない。
□シャープは99%減資報道を嫌気
一方、
シャープ<6753>も急落。一時、前週末比80円ストップ安の178円まで売り叩かれ、終値は同68円安の190円で引けた。9日付の日本経済新聞が「(同社は)主力2行に対する優先株発行などで資本を拡充する一方、1200億円以上ある資本金を1億円に減らし、累積損失を一掃する」と報じたことが嫌気された。
この報道についてシャープでは「資本政策については、優先株式の発行や減資を含めた様々な検討を進めている。が、決定した事実はない。なお、現在、資本政策を含む新中期経営計画を策定中であり、5月14 日午後3時に公表する予定」とコメントしている。
市場では、大幅減資報道で資本政策の先行きに対する不安心理が増幅され、個人投資家を中心に目先筋の投げ売りが集中する格好となった。ただし、信用取組は売り残も高水準に積み上がり、1日申し込み現在で信用倍率は0.96倍と1倍を下回っており、空売り買い戻しも作用して時価は200円近辺の攻防となっている。