スコットランド住民投票が波乱要因
さらに、ルー米財務長官が、FOMC声明を受けて、最近のドル高傾向に関連し、「市場の状況についてコメントしないが、強いドルは米国にとって良いことだ」と述べた事にも注目したい。今年の1月、日銀の異次元緩和と円安傾向に関連し「日本は為替レートの利点だけに依存した戦略で長期成長を目指すべきではなく、( 為替政策を)注視し続ける」と述べた事がドル円の上値を抑えた一因であったが故に、市場は米財務省のお墨付きをもらったととらえる向きもあろう。「ドル円のメイントレンドを決めるのは米財務省」との思惑が一部参加者には強い。
夏場まで記録的な長い保合いが続いていたが故に上放れた際の動きも大きくなっている。心理的節目110円や、一目均衡表からの上値ターゲットN=110.65円、E=111.26円などが意識されそうだ。1998年8月高値~2011年10月安値までの下げ幅に対する半値戻しは111.56円水準だ。一旦、デッドクロスとなっていた90日と200日移動平均線も再びゴールデンクロスしかかっている。ジム・ロジャーズもFOMC前に「基本的に利上げ方向なのだから、中期的にドル買い」とのコメントを発している。
足元の波乱要因は、スコットランドの住民投票の行方だ。日本時間の19日(金)夕方には結果が判明しそうだが、接戦が伝えられており、ヘッドラインで相場が大きく動く可能性が高い中、初報と続報の内容が異なるなどの可能性もあり、乱高下には注意したい。独立派が勝利となれば、リスク回避が一気に高まりそうだが、独立反対派の勝利となれば、ドル円の押し目買い基調に変化はないとの声が高まろう。ただし、心理的節目110円水準は、2002年1月高値と2007年6月高値を結んだ下降トレンドと重なる抵抗線で、同水準では利食いの動きも出そうだ。ドル円と逆相関のNY金はレンジ下限で押し目買いの動きも出ており、完全には崩れてはいない。52週移動平均線との乖離率は、2014年1月高値時と接近している。110円近辺では達成感からのテクニカル的な調整も出るだろう。下値支持は基準線~転換線水準。