奇妙な安心感
著者:藤本誠之
投稿:2013/07/11 08:54
今回の問題は米国のリーマンショック、欧州のギリシャショックとは異なり、金融危機は起こらないと考えます。過去の金融危機は、米国ではサブプライム絡みの債券、ギリシャショックではギリシャを始めとする南欧諸国の国債が暴落したことにより、世界中の金融機関が大きな損失を被ったことによる信用不安から始まったものです。しかし、中国に関しては規制によって外国人が自由に中国の国債や株式に投資することが出来ないため、経営に影響を及ぼすほどの大きなポジションを抱えた海外の投資家はいません。と言うことは、どれだけ中国の国債や株式が暴落しても、世界全体で見れば大きな影響はでないことになり、中国発の突発的な金融危機は起こりにくいと思われます。
実体経済への影響
しかし、実体経済については大きな影響が出る可能性があります。特に個別の企業では資金調達が困難になる企業も出てくることから、実体経済への悪影響がありそうです。特に、日本の個別企業の中にも中国の企業との合弁事業などにおいて、思わぬ損失が出るケースも考えられ、意外な銘柄が大幅安することもあるでしょう。
奇妙な安心感
突発的な金融危機がないとするならば、実体経済への悪影響が出るには時間がかかるはずです。そうなれば、問題を解決するための時間があることになり、中国政府により何らかの対応策が出てくる可能性が高いと思われます。
また、米国・欧州とは異なり政権が民主的な選挙で決まらない体制であることも重要なポイントです。国民にとって厳しい施策をとった場合、米国・欧州では政府与党が選挙で負け、その施策が進まなくなる可能性が高いです。しかし、中国の現状の政治体制の中では、そのような可能性は考えにくいでしょう。
中国については、本質的な解決方法ではないものの何らかの施策をとって今回の問題を先送りして、うやむやにしてしまう「奇妙な安心感」があると言えるでしょう。
また、米国・欧州とは異なり政権が民主的な選挙で決まらない体制であることも重要なポイントです。国民にとって厳しい施策をとった場合、米国・欧州では政府与党が選挙で負け、その施策が進まなくなる可能性が高いです。しかし、中国の現状の政治体制の中では、そのような可能性は考えにくいでしょう。
中国については、本質的な解決方法ではないものの何らかの施策をとって今回の問題を先送りして、うやむやにしてしまう「奇妙な安心感」があると言えるでしょう。
個人投資家の対応法は?
マーケット全体の暴落はないと考えられるため、個人投資家は今回の問題について短期的には大きな心配をする必要はないでしょう。
しかし、個別銘柄については実体経済の悪化による影響が考えられるため、中国へのビジネスを積極的に行っている企業については、十分に吟味して投資するスタンスが良いでしょう。
また、スケジュール的に考えると、8月15日の終戦記念日付近では「靖国参拝問題」の可能性があるため、それまでは中国関連銘柄への投資は避けたほうが無難かもしれません。
しかし、個別銘柄については実体経済の悪化による影響が考えられるため、中国へのビジネスを積極的に行っている企業については、十分に吟味して投資するスタンスが良いでしょう。
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