戦時逆行高のテルアビブ市場【フィスコ・コラム】
配信元:フィスコ
投稿:2026/03/08 09:00
*09:00JST 戦時逆行高のテルアビブ市場【フィスコ・コラム】
米国とともにイランを武力攻撃したイスラエルに、マネーの流入が続いているもようです。中東情勢は不透明感を深めるばかりですが、テルアビブ市場はトリプル高。宿敵イランの体制崩壊により、当面のリスクは後退したとの見方が背景にあるようです。
米国とイスラエルは2月28日、イランに対する大規模攻撃に踏み切り、国際金融市場を嫌気させました。イランも反撃し、中東情勢は混とんとした状況に。週明け3月2日の株式市場はアジア、欧州、米国で大幅安が伝播。外為市場では「有事のドル買い」のほか、安全通貨のスイスフランが他の主要通貨に対し強含みました。NY原油先物(WTI)と金相場はさらに騰勢を強めています。
その日のテルアビブ市場は、株価指数TA35が逆行高、通貨シェケルは対ドルでも堅調、10年国債にも買いが入るトリプル高に沸きました。市場では軍事行動がイランの体制を崩壊させたとして好感されたもようです。特に、株式市場ではエルビット・システムズのような防衛関連株を中心に買われ、相場を押し上げました。その後は上昇一服も、相場はいずれも底堅さが目立ちます。
米国とイランによる核問題をテーマとした協議の最中にもかかわらず、戦闘を開始した米国のトランプ大統領はイランの「差し迫った脅威」があったと主張。それに対し、米国際法学会は先制攻撃を正当化する国際法上の根拠はないと指摘しています。イランではハメネイ師の死亡が伝えられると、圧政に苦しむ国民からは歓喜の声が上がりました。一方、その死が外敵に対する結束力を高めた、との見方もあるようです。
イスラエルのネタニヤフ首相は軍事作戦の直前、インドのモディ首相の訪問を受け、首脳会談しました。インドはパキスタンとの敵対関係からイスラエルの軍事力を重視。今回のイランに対する作戦について、モディ首相は「遺憾」としながらも、名指しの批判を避けました。一方、周辺国と対立するイスラエルにとって、中東から遠くないインドとの友好関係は不可欠です。こうした防衛戦略も、イスラエル買いをサポートしているのでしょう。
ただ、今年11月の米中間選挙で共和党が敗北すれば、米国の中東政策は転機を迎える可能性があります。現在の逆行高は、軍事的優位とトランプ政権の関与継続を前提に支えられ、どちらかが崩れれば市場は改めてリスクを測り直すことになるでしょう。作戦の成功による高揚感が持続的な評価へと転じるのか、それとも一時的な織り込みにすぎないのか、答えはまだ出ていません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
<CN>
米国とイスラエルは2月28日、イランに対する大規模攻撃に踏み切り、国際金融市場を嫌気させました。イランも反撃し、中東情勢は混とんとした状況に。週明け3月2日の株式市場はアジア、欧州、米国で大幅安が伝播。外為市場では「有事のドル買い」のほか、安全通貨のスイスフランが他の主要通貨に対し強含みました。NY原油先物(WTI)と金相場はさらに騰勢を強めています。
その日のテルアビブ市場は、株価指数TA35が逆行高、通貨シェケルは対ドルでも堅調、10年国債にも買いが入るトリプル高に沸きました。市場では軍事行動がイランの体制を崩壊させたとして好感されたもようです。特に、株式市場ではエルビット・システムズのような防衛関連株を中心に買われ、相場を押し上げました。その後は上昇一服も、相場はいずれも底堅さが目立ちます。
米国とイランによる核問題をテーマとした協議の最中にもかかわらず、戦闘を開始した米国のトランプ大統領はイランの「差し迫った脅威」があったと主張。それに対し、米国際法学会は先制攻撃を正当化する国際法上の根拠はないと指摘しています。イランではハメネイ師の死亡が伝えられると、圧政に苦しむ国民からは歓喜の声が上がりました。一方、その死が外敵に対する結束力を高めた、との見方もあるようです。
イスラエルのネタニヤフ首相は軍事作戦の直前、インドのモディ首相の訪問を受け、首脳会談しました。インドはパキスタンとの敵対関係からイスラエルの軍事力を重視。今回のイランに対する作戦について、モディ首相は「遺憾」としながらも、名指しの批判を避けました。一方、周辺国と対立するイスラエルにとって、中東から遠くないインドとの友好関係は不可欠です。こうした防衛戦略も、イスラエル買いをサポートしているのでしょう。
ただ、今年11月の米中間選挙で共和党が敗北すれば、米国の中東政策は転機を迎える可能性があります。現在の逆行高は、軍事的優位とトランプ政権の関与継続を前提に支えられ、どちらかが崩れれば市場は改めてリスクを測り直すことになるでしょう。作戦の成功による高揚感が持続的な評価へと転じるのか、それとも一時的な織り込みにすぎないのか、答えはまだ出ていません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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