―経済指標は世界景気の緩やかな回復継続を示唆、日本株のEPS切り上げに期待―
トランプ関税の発動後も、世界景気のモメンタムは殊に頑強ぶりを発揮している。衆院解散・総選挙の検討報道後に史上最高値圏まで水準を切り上げた日経平均株価は、目先のところスピード調整の展開が続くことが見込まれるものの、選挙という「宴」を通過した後は、ファンダメンタルズの観点でシクリカル(景気敏感)関連への物色意欲が顕在化するシナリオが横たわる。
●世界貿易モメンタムは昨年8月を底に持ち直し
年が明けて間もなく、衆院解散・総選挙の検討報道が9日夜に伝わると、3連休明けの13日の日経平均は1609円高と気を吐き、翌14日には5万4341円23銭で終え最高値を連日で更新した。債券市場では財政懸念が広がり、長期金利が上昇。20日に新発10年債利回りは2.3%を突破し、27年ぶりの高水準で推移している。
通常であれば金利上昇は円高要因となりやすい。だが今回は様相が異なる。財政拡張による国債の信認低下懸念が意識されるなかで、円買いの姿勢は限られ、ドル円相場は14日に一時1ドル=159円40銭台まで円安が進行。足もとでは円安に一服感があるものの、株高・金利高・円安が同時に進行する状況は、日本経済が構造転換局面にあることを象徴していると言える。
海外では米国が年初からベネズエラに軍事行動を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束した。反政府デモが広がるイランにも米国が軍事介入するとの観測が出て、金価格や原油価格が一時動意づくなど、マーケットに大きな影響を与えている。こうした目を引く材料に市場参加者は振り回されることとなるが、マーケットは時間をかけてファンダメンタルズに収斂していくのが世の常である。
オランダ経済政策分析局が公表する「ワールドトレードモニター」をみると、昨年10月時点の直近3カ月間の世界貿易量は、その前の3カ月間との比較で0.7%増。9月時点の1.1%から鈍化しているもののプラス圏を維持している。3カ月の移動平均ではトランプ関税が打ち出された後の5月に2.4%をつけてから右肩下がりとなり、8月に一時マイナス圏に沈んだが、その後は持ち直した。
また、国際通貨基金(IMF)が1月19日に発表した世界経済見通しによると、2026年の成長率は3.3%となり、昨年10月時点の予測である3.1%から上方修正された。27年は3.2%となっている。更に、経済協力開発機構(OECD)景気先行指標であるコンポジット・リーディング・インディケーター(CLI、長期平均=100)をみると、世界経済の動向を示すG20のデータは、22年秋を底に緩やかな回復基調を示しており、24年10月以降は中立水準(長期平均)である100を上回る状態が定着しつつある。この経済統計は各国の景気循環の転換点を6~9カ月程度先行して示す指数で、将来の経済動向を予測するための重要なシグナルとして利用されている。GDP(国内総生産)などに関連する複数の経済指標を組み合わせて作られ、数値が上昇すれば景気拡大、下落すれば景気後退を示唆する。ただ、毎月の公表時に過去のデータを修正する点に注意が必要である。
●決算発表シーズン経てEPS上昇なるか
日本の工作機械受注も似たようなすう勢を示している。日本工作機械工業会が公表する工作機械受注統計を確認すると、四半期ベースで受注総額は23年4~6月期の前年同期比19.2%減を底にして回復基調となり、24年10~12月期以降はプラスとなっている。月単位でみると、25年6月に前年同月比0.5%減となったが底堅さを発揮し、最新の11月は同14.8%増となっている。
世界の主力工作機械メーカーのうち約半数が日本企業であり、日本の工作機械受注の約3分の2が海外からの受注である。それゆえ、日本の工作機械の受注額は世界景気の「先行指標の先行指標」と位置付けられている。実際に同統計は世界景気先行指標となるグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)に連動するほか、東証株価指数(TOPIX)の予想1株当たり利益(EPS)にも連動する。
これらを踏まえると、予期せぬ事態が起きない限り、この先の世界経済は「緩やかな拡大局面」が続くと言えるだろう。世界の景気敏感株と言える日本株のEPSも拡大が期待される。日経平均は昨年4月の安値から今年1月高値まで76.9%も上昇した。その大きな原動力となったのはEPSの回復というよりも、PBR(株価純資産倍率)の改善効果と言うべきかもしれない。企業の決算発表シーズンを経て、日本株の予想EPSが切り上がれば、目先の材料に振り回されながらもリスク選好の地合いが継続することとなりそうだ。特に機械や自動車、電気機器などに代表されるシクリカル業種に対しては、物色意欲の更なる高まりが期待できる。
●三井E&Sやマルマエに注目
三井E&S <7003> [東証P]は高市政権下で脚光を浴びる造船関連銘柄で、船舶用エンジンのほか港湾クレーンも展開。昨年11月に26年3月期の利益予想を引き上げ、経常利益は減益予想から一転して2ケタ増益の見通しに修正した。業績予想の修正にあわせ、それまで15円としていた期末配当予想について増額を前提として未定に変更。配当予想は確定後、ただちに公表する方針としている。
マルマエ <6264> [東証P]は 半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置向けの真空部品を製造。昨年、半導体スパッタリングターゲット用の超高純度アルミニウム製品などを手掛けるKMアルミニウムを子会社化した。26年8月期の売上高予想は前期比5割増、営業利益と経常利益は3割増で過去最高益更新を計画する。
守谷輸送機工業 <6226> [東証S]は荷物用エレベーターを主力として製造・販売から保守・修理にかけてワンストップで対応。船舶用の製品も持つ。足もとで企業の設備投資の拡大や高単価案件が増加しており、受注残高は豊富。26年3月期は売上高、各利益が2割増と急成長が継続する見通しだ。事業拡大に向けて生産能力の増強にも取り組んでいる。
アルトナー <2163> [東証P]は大手自動車メーカーや半導体製造装置メーカーなどを主要な取引先とし、技術者派遣を展開。研究開発や設計開発領域の配属比率の高い企業であり、モノづくりの上流工程を攻略することで技術者単価と利益率の上昇につなげるビジネスモデルを構築している。業況は堅調で、昨年12月に自動車・航空宇宙向け研究・開発支援の情報技研(栃木県宇都宮市)の子会社化を発表した。
マクロ景気の改善は企業による広告出稿の増加に寄与する。独立系で国内最大規模のPR会社のベクトル <6058> [東証P]が1月14日に発表した26年2月期第3四半期累計(3~11月)決算は、経常利益が前年同期比85%増となり、通期計画に対する進捗率は88%と順調。発表翌日に同社株はストップ高を演じた。タクシーサイネージが好調。ショート動画領域にリソースをシフトするなど、広告市場の構造的な変化にあわせて事業拡大を図っている。
株探ニュース
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