キャピタル・アセット・プランニング、売上高は創立来最高・営業利益も78.4%増 大相続時代に向け新たな戦略構築へ
2025年9月期決算説明
北山雅一氏:株式会社キャピタル・アセット・プランニング代表取締役の北山雅一です。本日は決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。私どもは2025年9月期の決算を終えました。本日は、その詳細についてお話しします。
初めての方もいらっしゃいますので、まずは当社の事業概要をご説明します。当社は、銀行・証券会社・生命保険会社向けのシステムを開発しています。設立は1990年で、今年で35年目を迎えます。2016年に東証JASDAQスタンダード(現・東証スタンダード市場)に上場し、間もなく上場10年を迎える会社です。
主に銀行・証券会社・生命保険会社の受託開発を手掛けていますが、それに加え、「Wealth Management Workstation(WMW)」とゴールベースプランニングの「Design Your Goal(DYG)」という2つのシステムを、AWS(Amazon Web Services)の環境からクラウドコンピューティングを活用して提供する使用料課金のビジネスも展開しています。
現在、社員数は連結ベースで約380名です。その中には会計士・税理士の資格を持つ者が8名ほどおり、その多くが日本証券アナリスト協会検定会員の資格も保有しています。このシステムを用いて、事業承継や財産承継コンサルティングも実施しています。
当社の決算期は9月ですので、2025年9月期の決算状況についてお話しします。
2025年9月期 決算ハイライト

決算ハイライトです。売上高は96億8,900万円となり、創立以来、最高額を記録しました。営業利益は5億3,000万円で、前年度比78.4パーセントの増益となりました。ただし、2019年9月期の営業利益6億2,500万円に次ぐ水準です。
親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比で156.3パーセント増加し、増収増益を達成することができました。
スライド下方に記載のとおり、当社は2025年9月期から2027年9月期を最終年度とする中期経営計画を実行中であり、終了した事業年度の2025年9月期が初年度にあたります。
現在は、顧客基盤を深く掘り下げる段階にあります。当社は売上高の約85パーセントを占める生命保険会社からの売上を増益にさせるとともに、事業ポートフォリオの改革の一環として、銀行・証券会社向けの売上を増加させることを目指しています。この取り組みが、当社の成長戦略における重要なテーマの1つ目および2つ目です。
前年に比べて、売上高は18.5パーセント伸びました。後ほどご説明しますが、生命保険会社向けの顧客管理(CRM)システムの再構築に加え、最近では新NISAの登場を受けて、生命保険会社が資産形成商品を新規にリリースする作業が増えたことが要因です。この結果、前年度比18.5パーセント増の売上高を計上することができました。
この中期経営計画では、特に事業ポートフォリオの改革に重点を置いています。スライド下方にあるように、売上、営業利益率、ROE、配当性向の目標値を設定しており、初年度はこの目標値を達成しました。こちらも後ほどご説明します。
さらに、中期経営計画の2年目以降のストックビジネス向け新プラットフォーム開発にも注力しています。この新プラットフォームは市場でも注目されており、金融商品仲介業者、いわゆるIFA向けのプラットフォーム開発を進めています。
このシステムを活用して、当社の100パーセント子会社であるWealth Engine社がファミリーオフィスビジネスを展開し、事業承継、財産承継、資産運用という観点からプレーヤーとしても事業を拡大していく計画です。
また、スライド下方に記載の合弁会社Trust Engine社は、台湾の銀行において投資一任業務システムで80パーセントのシェアを持つSoftBI社との合弁で設立しました。当社が51パーセント、SoftBI社が49パーセントを出資しています。
Trust Engine社は金融商品仲介業社向けのプラットフォーム構築を行いながら、SoftBI社のシステムを日本語ローカライズして提供する流れとなっています。
このような事業を進めながら、受託売上だけでなく営業利益率も高めるため、銀行・証券会社向けの売上を増やしています。また、「1人月いくら」のビジネスではなく、使用料契約や残高に対するフィー課金のビジネスに転換しようとしています。
その初年度が、終了した2025年9月期でした。その進捗状況も含めて、ご説明します。
2025年9月期通期連結累計業績

2025年9月期の状況です。売上高は前年度比18.5パーセント増の96億8,900万円となりました。営業利益は前年度比78.4パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比156.3パーセント増で、一言で言うと増収増益を達成しました。
売上・営業利益率の推移

当社は増収増益を達成しましたが、営業利益率を2027年9月期の中期経営計画最終年度には9パーセントにまで引き上げることを目指しています。終了した事業年度では5.5パーセントであり、営業利益率を若干引き上げることができました。
特に、営業利益率・営業利益額を増やしていくためには、銀行・証券会社向けの事業を拡大する必要があると考えています。
営業利益増減要因

営業利益の増減要因についてです。営業利益額は、2024年9月期が2億9,700万円、2025年9月期は5億3,000万円となりました。
特に売上高は、前年度比15億1,000万円の増収となっています。この増収には、生命保険会社向け顧客管理(CRM)システムの再構築や、ゴールベースによる資産形成商品(変額保険・変額個人年金保険)に関する設計書・申込書システムの作成が寄与しています。
さらに、IFA向けの顧客管理プラットフォームを中堅証券会社に提供したこともあり、売上高は前年度比で15億1,000万円の増収となりました。
一方で、現在プログラマーはどの業界でも引っ張りだこの状況です。そのため、当社でも人材の離脱を防ぐためにベースアップを実施し、特別賞与を支払いました。加えて、外注費も増加させた結果、労務費・外注費は前年度比で19.1パーセント増加しましたが、売上原価の増加は11億1,600万円となりました。
また、販売費および一般管理費も若干増加しました。こちらには、研究開発費、特に生成AIに関連する研究開発費の増加が含まれています。結果として、営業利益5億3,000万円を達成することができました。
クライアント別売上

先ほどもお伝えしましたが、当社の2025年9月期の売上の構成比は、生命保険会社向けが83.7パーセント、また、銀行・証券会社およびFP・会計事務所向けを合わせて16.3パーセントとなりました。今期は銀行・証券会社向けの売上をさらに拡大したいと考えています。
Wallet Share(ウォレットシェア)と言われる、銀行・証券会社向けの売上シェアも増やしたかったのですが、スライド下部に記載のとおり、生命保険会社向けの売上が大きく、2024年9月期の69億円から最終的に81億円まで増加しました。銀行・証券会社向けの売上も前年度比で増加しましたが、それ以上に生命保険会社向けの売上が伸びた状況です。
資産形成商品、変額保険・変額個人年金保険に関する各社のリリースが増加し、それに伴うシステム開発を当社が受託したことが大きな要因です。
サービス別売上

サービス別売上には、受託開発、使用料契約、それ以外のコンサルティングという分類があります。受託開発については、前年の92.9パーセントから94.1パーセントに増加しました。
生命保険会社向けの売上、特に資産形成商品向けの売上が増加したことに加え、富裕層向け資産管理プラットフォームや、地方銀行のゴールベースプランニングで、当初の想定以上に受託売上高が増えました。その結果、受託開発が92.9パーセントから94.1パーセントへと増加しました。
連結経営成績

営業利益額は5億3,000万円と、前年に比べて大幅な増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益ですが、法人税等の金額が2024年9月期の8,200万円から、2025年9月期には1億4,600万円となっています。
賃上げ税制に関わる税額控除や、試験研究費が前年に比べて増加したことによる税額控除があり、法人税等の実効税率が若干下がった結果、親会社株主に帰属する当期純利益が増加し、4億100万円を計上しました。
政府の資産運用立国実現プラン

2025年9月期のトピックとして、日本では2023年から「資産運用立国実現プラン」が策定されました。岸田政権から石破政権、さらに今回の高市政権においても、この「資産運用立国実現プラン」が継続して進められています。
勤労所得を増やすことに加え、資産所得の増加も目指しており、家計の安定的な資産形成を目標としています。キャピタル・アセット・プランニングは、政府の「資産運用立国実現プラン」をデジタルの力で支える会社です。どのようなシステムでそれを支えているのかを、以降でご説明します。
変額個人年金保険関連のシステム開発

変額個人年金保険関連のシステム開発についてです。生命保険会社においては、日本の人口構成上の問題があります。現在、日本の国民平均年齢は50歳だと言われています。これは今後、日本では生命保険商品の販売が難しくなっていくことを意味しています。
一方で、「人生100年時代」と言われるように、資産運用はますます重要なテーマとなっていきます。新NISAは、まさに「人生100年時代」に対応する政策です。
生命保険会社は銀行・証券会社を中心とした新NISAに対抗し、昨年あたりから資産形成商品として、変額保険、変額個人年金保険を投入しており、特に変額個人年金保険が非常に売れています。
当社はソニー生命の変額個人年金保険「SOVANI」のシステム開発を最初から支援しています。また、「SOVANI」の設計書・申込書システムもすべて当社が提供しています。
生命保険各社は資産形成に向けた新商品を次々と投入しており、その中で当社が設計書・申込書システムを受託開発して提供している状況です。これが、今回の増収要因の1つであると考えています。
現在、新NISA制度が活用されており、多くの投資が行われています。それに対応し、生命保険業界では資産形成商品として、変額保険、変額個人年金保険の新商品を投入し始めているということです。そして、私どもがそのシステムを構築する状況は、今後数年間続くと考えています。
メガバンク向け資産管理プラットフォームの開発

今回、メガバンクおよび関連証券会社が使用する資産管理プラットフォームの開発を実施しました。この開発は今後も継続する見込みです。
地銀向けに総資産営業ツールを提供

地方銀行向けの総資産営業ツールについてご説明します。
こちらはすでにプレスリリースを行っています。静岡銀行向けには、全支店で総資産営業を実現するシステムとして、ゴールベースプランニングシステム「S-Bridge」を提供し、受託開発と使用料課金を行っています。
証券会社より投資商品発注サポートシステムを受託開発

中堅証券会社に注目されている、IFA向けCRMついてご説明します。CRM、注文機能、ポートフォリオ分析・提案書作成システムですが、私どもは今期、こちらの受託開発に関わることができました。
これまで当社は、証券会社向けには、ファンドラップや相続に関連するシステムを提供してきました。具体的には、相続税の軽減や納税準備の支援など、ファイナンシャルプランニングの観点からシステムを提供していました。
今回初めて、証券会社向けに、顧客ポートフォリオの管理や売買・発注の前工程の部分を支援するシステムを提供することになりました。
このように、銀行・証券会社向けの売上高を2025年までに計上できました。生命保険会社に偏っていた売上高を、銀行・証券会社向けにも広げることで、「事業ポートフォリオの改革」という、中期経営計画の1つのテーマが進捗し、実現しつつある状況です。
生成AIを活用したサービス開発を推進(1)

生成AIを活用したサービス開発についてです。当社は昨年、生成AIの分野で最も知られている東大松尾豊研究室のスタートアップ、Elith社との業務提携を発表しました。
当社はAI-OCRを活用した新しい開発を進めています。これは、決算書を文言から科目、数値まで精緻に読み込むものです。こちらをElith社と協力して開発し、今回、生命保険会社向けの売上として計上することができました。
生命保険会社がこのAI-OCRを何に利用しているかについてですが、生命保険会社は銀行のように法人の決算書をテキストデータで管理しているとは限りません。むしろ紙の決算書であることが多く、その紙の決算書を効率的に読み込み、自社株評価に活用するシステムをElith社と当社で開発しました。
相続税法財産評価通達に基づく、非上場株式の評価の効率化にAI-OCRを活用しているという状況です。
生成AIを活用したサービス開発を推進(2)

スライドには、事業承継、財産承継、相続財産承継において何が問題であるのか、どのような対策を講じるべきかについて記載しています。
相続税の納税準備、円滑な財産分割、そして相続税法上の課税価格の軽減、資産運用の観点から、現状の問題点や、どのような対策でその課題をカバーしていけばよいのか、生成AIが自動的に文言を生成します。
現在、このシステムは開発中ですが、ある生命保険会社への提供がすでに決定しています。進行事業年度である2026年9月期には、相続・財産承継に関わる生成AIを活用した提案書の実装が可能となる予定です。
特に、資産運用や税務に関わる分野では、お客さまにわかりやすい文章を作成するのが難しいと言えます。それを生成AIで実現することが、今回の私どものサービスの内容です。
アセットマネジメント事業に向け新会社設立

台湾のSoftBI社についてご説明します。台湾では銀行が投資一任業務を行うことができます。スイスでは、プライベートバンクとよく言われていますが、投資一任による資産運用業務を行っています。
そこで台湾のウェルスマネジメントプラットフォームでトップシェアを持つSoftBI社と当社が合弁会社を設立しました。
Trust Engineという会社で、キャピタル・アセット・プランニングが51パーセント、SoftBI社が49パーセントを出資しています。
Trust Engine社は、顧客管理(CRM)システム、ポートフォリオ管理システム、さらにはファイナンシャルプランニングを手掛けています。
ファイナンシャルプランニングとは、相続やゴールベースプランニングの観点から、投資運用商品をどのように活用するかを考えるものです。
このCRM、ポートフォリオ管理、ファイナンシャルプランニングの統合システムを、日本の金融商品仲介業者に提供するためのプラットフォームを開発しました。
このプラットフォームを提供・構築しているのがTrust Engine社です。同社は開発会社です。そこから派生しているWealth Engine社は当社の100パーセント子会社であり、プレーヤーです。
まず、このTrust Engine社が、金融商品仲介業者向けのプラットフォームシステムを提供します。もちろん、このシステムは使用料課金であり、日本の金融商品仲介業者がより大きな会社になるためのシステムプラットフォームという位置づけです。
「IDC FinTech Rankings 2025 TOP 100」に選出

米国IDCのグローバルランキング「IDC FinTech Ranking 2025 TOP 100」についてです。
毎年開示されているのですが、キャピタル・アセット・プランニングが50位から100位にランクインしました。
2026年9月期 連結業績予想

当社は2025年9月期において、5つの成長戦略のうち、既存の事業ポートフォリオの深耕をすでに生命保険会社で実行中です。また、事業ポートフォリオの改革として銀行や証券会社向けの売上増加にも取り組んでおり、こちらも進行中です。
この5つの成長戦略を実行しながら、売上高103億円、営業利益6億3,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益4億1,000万円(2025年12月16日に業績予想修正を適時開示)を、2026年9月期の目標数値として掲げています。
2026年9月期 連結業績予想のシナリオ

連結業績予想のシナリオです。当社は売上高100億円企業を達成します。売上高103億円を目指し、売上総利益は前年度比19.2パーセント増の25億3,000万円を予想しています。営業利益は2019年9月期の6億2,500万円を上回る、6億3,000万円の達成を目標として掲げています。
2026年9月期の重点施策(1)

2026年9月期の重点施策についてです。成長戦略1として、生成AIを活用し、開発効率を改善させます。生命保険会社向けの売上は、「1人月いくら」という仕事が多いため、生成AIを活用して開発効率の省力化を図ります。
成長戦略2の事業ポートフォリオの改革については、今期、金融商品仲介業者向けのポートフォリオマネジメントシステム、CRMシステム、プラットフォームシステムのリリースを予定しています。
また、それらのシステムを活用しながら、ファミリーオフィスビジネスに参入します。ファミリーオフィスビジネスとは、日本でいう事業承継、財産承継、資産運用です。これまで事業承継や財産承継のビジネスがありましたが、さらに資産運用を加えたビジネスとなります。
このビジネスは、富裕層向けのサービスですので、税務・タックスマネジメントが重要です。そのため、税理士法人とのアライアンスを通じて、タックスマネジメントとアセットマネジメントの統合を進めていきます。これにより、ファミリーオフィスビジネスに本格的に参入する考えです。
2026年9月期の重点施策(2)

IFA向けの資産管理プラットフォームをTrust Engine社が提供し、使用料課金を行っていく予定です。これは、いわゆるストックビジネスです。
受託ビジネスは、売上を計上するために人が必要です。一方で、人が必要でない使用料課金を増やすために、Trust Engine社がIFA向けのシステムプラットフォームを提供し、使用料課金を実行しています。
スライドの一番下に、「キャピタル・アセット・プランニングの金融システムソリューション分野のバリューチェーン」と記載されています。
私どもは、この戦略設計からプラットフォーム提供、ファミリーオフィスまでを行います。これまではライブラリ提供と受託開発を中心に進めてきましたが、今後は戦略設計やファミリープラットフォーム、ファミリーオフィスサービスなど、両側にも力を入れて取り組んでいきます。
2025年9月期~2027年9月期業績推移予想

今期の売上高は103億円、営業利益は6億3,000万円です。中期経営計画の最終年度である2027年9月期は、売上高を110億円、営業利益を10億円、営業利益率を9パーセントとし、ROEを13パーセントにすることを目標としています。
中期経営計画の進捗状況

中期経営計画の進捗状況についてです。2025年9月期の売上高は、目標の87億円に対して96億円を達成しました。営業利益率は5.1パーセントの目標に対し、5.5パーセントを達成しました。
ROEは8パーセントの目標に対して11.6パーセント、配当性向も20パーセントから50パーセントの目標に対して25.7パーセントを達成し、すべてにおいて目標をクリアしました。
中期経営計画の最終年度である2027年9月期に向けて、まずはよい滑り出しとなりました。2026年9月期も引き続きがんばっていきます。
北山氏からのご挨拶
私どもは、2019年9月期の営業利益をクリアできず、以降、コロナ禍で非常に苦しんできました。しかし、終了した事業年度の2025年9月期において、「ポストコロナ」の時代が終わりつつあります。
そして始まったのが、「大相続時代」です。これは、「大資産組替え時代」の始まりであると考えています。
このような環境下で、私どもは国際的なポートフォリオマネジメントシステム、CRMシステム、資産運用システムを国内に導入し、それをローカライズしながら当社の強みを活かしていきます。
キャピタル・アセット・プランニングが得意とする相続・財産承継のシステムとの統合により、大相続時代に向けた、新たな戦略を構築することが可能と考えています。
今後とも、ご支援を賜りますようよろしくお願いします。ありがとうございました。
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