エクシオグループ、データセンター事業を中心に売上高の中計目標を前倒し達成、新中計に向けて更なる収益向上を目指す

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最新投稿日時:2025/12/22 13:00 - 「エクシオグループ、データセンター事業を中心に売上高の中計目標を前倒し達成、新中計に向けて更なる収益向上を目指す」(ログミーファイナンス)

エクシオグループ、データセンター事業を中心に売上高の中計目標を前倒し達成、新中計に向けて更なる収益向上を目指す

投稿:2025/12/22 13:00

(1)会社概要

岡田健氏(以下、岡田):個人投資家のみなさま、エクシオグループ株式会社経営企画部、コーポレート・コミュニケーション室長の岡田と申します。

この度は、当社をご紹介する貴重な機会をいただき、ありがとうございます。本日は、当社についてみなさまに知っていただけるよう、会社概要から始めまして、事業紹介、中期的な成長戦略、株主還元方針などをご説明します。よろしくお願いします。

まず、会社概要を簡単にご紹介します。当社は1954年5月に創立し、現在72年目を迎えています。2025年3月期の連結売上高は6,708億円、従業員数はグループ全体で1万7,260名です。本社は渋谷に所在しています。

後ほどご紹介しますが、近年はM&Aにも積極的に取り組み、その結果、連結子会社は約140社となり、国内外で幅広く事業を展開しています。

(2)沿革

岡田:スライドでは、当社の創業以来の歩みをご紹介します。当社は1954年に通信建設会社「協和電設」として創業し、日本における通信設備の建設と維持に貢献してきました。1991年には、事業領域の拡大に合わせて社名を「協和エクシオ」に変更しました。

「エクシオ」という名前はラテン語で「自ら殻を破る」に由来し、当時、新たな領域に挑戦し、一層の飛躍を目指そうという思いを込めて名付けられたものです。

2000年代以降は、さまざまなM&Aを通じて事業領域を拡大するとともに、グループを構成する会社数も増加してきました。そして、協和エクシオとなって30年目の節目である2021年に、「自ら殻を破る」という心を大切にしながら、グループ会社とともに大きく成長したいという思いを込めて、「エクシオグループ株式会社」へと商号変更しました。

みなさまのご支援もあり、現在の連結売上高は6,000億円を超え、今年度は7,000億円も視野に入るまで事業規模を拡大しています。

(3)パーパスとビジョン

岡田:2021年の社名変更を機に、ブランドの再定義を行いました。その一環として、エクシオグループの社会における存在意義を表すパーパスを制定しました。このパーパスの策定にあたっては、グループ全社員だけでなく、お客さまやパートナー企業さまなど、ステークホルダーのみなさまのエクシオグループに対する思いや期待の声を集約し、約半年にわたる議論を経て作成しました。

「“つなぐ力”で創れ、未来の“あたりまえ”を。」というフレーズは、これまでに培ってきたさまざまな技術と、当社の事業に関わっている方々をつなぎ、未来のプラットフォームを創造して社会に貢献することが、エクシオグループの使命であると考えています。

このパーパスを、グループ社員一人ひとりの志として事業を進めています。

(4)事業概要

岡田:当社グループの事業をご紹介します。スライドにある図は、当社の事業概要をイメージしたもので、さまざまな分野に取り組んでいることがご理解いただけるかと思います。事業は大きくエンジニアリングソリューションとシステムソリューションに分かれています。

事業の区分としては、通信キャリア事業、都市インフラ事業、システムソリューション事業の3つのセグメントに分類しています。

2024年度末の事業別売上規模は、スライド右下の表に記載のとおり、おおむね通信キャリア事業が40パーセント、都市インフラ事業とシステムソリューション事業がそれぞれ30パーセントとなっています。

これにより、都市インフラ事業とシステムソリューション事業の成長に伴い、創業以来のコア事業であった通信キャリア事業の比率は、すでに50パーセントを下回っている状況です。

(4)事業概要-通信キャリア

岡田:ここからは、セグメントごとに事業をご紹介します。まず、通信キャリア事業についてです。このセグメントでは、通信キャリア向けに各種通信設備の工事を行っています。みなさまの家庭やオフィスから電話局へ、また携帯端末から基地局へ、さらにその先へと通信をつなぐことが、この事業のミッションです。

固定通信から無線通信まで、街中で見かける電話工事も含め、まさに通信関連の工事を担当するのがこの領域の業務となります。光ファイバー、5G、6G、IOWNといった通信技術は進化を続けており、私たちも研鑽を重ねながら通信インフラを支えています。

最近では、SNSや動画配信サービスの普及により、大容量のデータ通信が行われ、通信トラフィックが飛躍的に増加しています。それが通信設備の増強につながり、当社の通信キャリア事業の拡大にも寄与しています。

(4)事業概要-都市インフラ

岡田:都市インフラ事業についてです。このセグメントでは、通信キャリア事業で培った技術を活用し、エネルギーや都市土木の分野に応用することで発展を遂げてきました。

具体的には、建物内の電気や空調工事、太陽光発電などの再生可能エネルギー、上下水道の都市土木工事、ゴミ処理などの環境プラント建設と、多岐にわたる事業を展開しています。最近の注目事業は、データセンター関連分野です。

先ほどのスライドで少し触れましたが、通信量の増加に加え、最近では生成AIの登場により、データ処理を担うデータセンターの需要が非常に高まっています。後のスライドでもご説明しますが、この旺盛なデータセンター需要にしっかりと応えられるよう、当社グループでも取り組みを強化しています。

非常に多岐にわたる領域で事業活動を展開している都市インフラ事業ですが、今後も成長が期待できるセグメントだと考えています。

(4)事業概要-システムソリューション

岡田:システムソリューション事業についてです。当事業は、通信設備の構築に関連し、電話交換機のソフトウェア開発などに携わってきました。その過程で蓄積したITソリューション技術を活用し、発展させてきたものがシステムソリューション事業です。

最近では、生産性向上や付加価値創造のためのDX推進、教育や医療現場のIT環境整備など、さまざまな領域で当社のシステムソリューション事業の引き合いをいただいています。

特に、数年前に多くの自治体で導入が開始され、当社が提供している「GIGAスクール構想」に関しては、今年がちょうど更改時期にあたることもあり、大いに期待できる分野と考えています。

システムソリューション事業にはグローバル事業も含まれ、現在では約500億円規模のビジネスへと成長しています。利益貢献を目指し、事業の取捨選択やDX活用などによる事業改革に取り組んでいます。

(5)グループ体制(2025年3月31日現在)

岡田:スライドは、グループ会社の紹介です。現在エクシオグループは、主要5社をはじめ、約140社の企業を傘下に有するグループです。グループ各社がそれぞれの技術や強みを活かして事業を展開し、複数の企業でプロジェクトを組み、営業基盤を活かしてクロスセルやアップセルを行うなど、グループならではのシナジーを活用した事業運営を行っています。

海外事業については、シンガポールにグローバル本社を置き、主に東南アジアを中心に世界各国で事業展開を進めています。

積極的なM&Aによりグループ会社数が増加し、連結経営の重要性がさらに高まっています。事業エリアごとの再編やフォーメーションの見直し、システムの統一、ガバナンスの強化を通じて、グループ全体の発展を目指しています。

(6)近年の業績推移

岡田:スライドは近年の業績の推移を示しています。昨年度は売上高6,708億円と過去最高を記録し、この後ご説明する中期経営計画の目標を1年前倒しで達成することができました。

営業利益は424億円で、こちらも過去最高を記録しました。不採算案件の発生など一時的な要因があったものの、過去最高の業績を達成しています。

今年度の計画は、売上高7,100億円、営業利益470億円です。営業利益については、モバイルの容量対策工事やデータセンターの大型案件、グローバルの収益改善を進めることで、中期経営計画の目標である470億円の達成を目指します。

(1)2030ビジョンについて

岡田:ここからは、長期ビジョンと中期経営計画についてご説明します。当社は2021年5月に、2030ビジョンと2025年までの中期経営計画を発表しました。これまでの事業を通じて培ってきた多様なエンジニアリングをつなぎ、社会課題の解決を図ることこそが当社の普遍的な使命だと考えています。

エンジニアリングの現場力と、ソフトウェア開発を含めたソリューション力の両方を基盤として、当社の強みを活かし、社会貢献ならびに社会課題解決に挑戦し続ける企業グループとして、国内外問わず社会から必要とされる存在であり続けたいと考えています。

「Engineering for Fusion~社会を繋ぐエンジニアリングをすべての未来へ~」というエクシオグループの2030ビジョンには、そのような思いが込められています。あるべき姿を定義し、それに近づくための中期経営計画を作成し、着実に取り組んできました。

(2)2030年に目指すポートフォリオ

岡田:今述べた目標と認識を基に、2030年に目指すべきポートフォリオを考察したのがスライドです。前回の中期経営計画を策定した2015年時点での事業売上高の構成比がスライド左端に示されています。

当時、コア事業としていた通信キャリア事業が約3分の2を占めていましたが、その後、都市インフラ事業やシステムソリューション事業の成長、さらにM&Aによる業容拡大を経て、通信キャリア事業からの売上高はすでに全体の半分を下回る構成になっています。

各セグメントをおおむね3分の1ずつの構成比にすることを目指し、成長分野である都市インフラとシステムソリューションを引き続き伸ばすことで、景気や社会情勢に左右されにくいポートフォリオを実現していきたいと考えています。

(3)ESG目標

岡田:2030ビジョンにおける挑戦の1つとして掲げているのがESGです。環境、社会、ガバナンスの各観点で取り組むべき課題はまだ多く残されていると考えています。サステナビリティ推進室やダイバーシティ推進室の立ち上げ、活動状況のモニタリング、ESG関連の情報開示の強化などに取り組んでおり、中期的な観点からそれぞれの目標を設定して推進しています。

2025年度の中期計画に基づき、スライドに示しているKPIを設定しています。ただし、これらの課題は2030年、さらにその先にも継続していくものだと考えています。個々の目標を達成することはもちろん、ESGへの取り組みを通じてグループ社員一人ひとりの働き方や意識を見直すきっかけにしたいという考えも当社では持っています。

(4)中期経営計画の目標

岡田:2030ビジョン達成に向けたマイルストーンとして、2025年度を目標年度とした中期経営計画を設定しています。具体的には、売上高6,300億円、営業利益470億円、営業利益率7.5パーセント、ROE9パーセント以上、EPS140円以上を目標としています。

今年度は、中期経営計画の最終年度となります。成長分野へのリソースのシフト、DXによる生産性向上、事業統合を含めたグループ経営の強化などの取り組みを推進し、目標達成に向けて稼ぐ力を向上させたいと考えています。

セグメント別の戦略についても触れます。従来のコア事業である通信キャリア事業では、DX化やオフショアの活用、さらにはグループ統合を通じて収益性と生産性を向上させ、安定した収益を獲得しています。NTTが構想している「IOWN」などの新たな技術動向にも注目し、技術を磨いています。

都市インフラ事業では、通信、電気、土木、プラント技術を融合させたかたちでの成長を目指しています。再生可能エネルギーや老朽化インフラ再生といった社会課題にも積極的に対応しています。データセンターなど需要が旺盛な事業については、需要にしっかり応えられる体制を構築して推進しています。

システムソリューション事業では、高付加価値事業への挑戦と同時に、保守・運用などのリカーリングビジネスの拡大に積極的に取り組んでいます。セキュリティや教育、医療などの分野で強みを持つサービスの提供を行い、ワンストップで対応可能なソリューションプロバイダーとして着実に成長を進めています。

スライド右側には、経営基盤ごとの取り組みテーマが記載されています。例えば、DX関連ではAI対応、環境分野ではサステナビリティ経営推進のための取り組みを上期に実行しています。

人財については、エンジニアリングやシステムの両分野で人財不足への対応が急務であると考えています。特に、工事の担い手やSE人財などの確保と育成に関する取り組みを強化していく方針です。

(5)中期経営計画の目標と2025年度計画

岡田:中期経営計画で掲げた目標値についてです。売上高は先ほども少しお伝えしたとおり、昨年度に1年前倒しで計画を達成しており、今年は7,100億円まで伸ばす計画です。

利益計画については、モバイル事業が2022年度および2023年度で中期経営計画を策定した際の想定をやや下回る状況が続いていました。そのため、利益計画の達成は厳しいと考えていましたが、昨年度における各セグメント事業の成長により、現在はなんとか射程圏内に入ってきた状況です。

営業利益470億円に加え、ROE9パーセントおよびEPS140円を達成し、来年度に公表予定の次期中期経営計画につなげていきたいと考えています。

(6)次期中期経営計画の方向性

岡田:現時点での次期中期経営計画についての考え方をご説明します。我々の経営環境は非常に複雑に変化しており、例えばテクノロジーの変化、社会情勢、気候変動といったさまざまな分野にリスクが潜んでいます。

そのような状況の中で、現中期経営計画において課題として残っている収益性の向上やマネジメントの高度化を解決していかなければなりません。そのため、顧客を志向しつつ技術力の研鑽を続け、利益を確保しながら継続的な成長を目指します。

この取り組みを進める結果として、エクシオグループとしての価値創造や社会課題の解決に貢献することで、2030ビジョンの実現につながると考えています。非常に定性的な話になりますが、この考えに基づき、現在社内で次期中期経営計画について議論を進めています。

具体的な内容については、来年5月に発表予定ですので、それまでお待ちいただければと思います。

関本圭吾氏(以下、関本):スライドに関して1点確認したいのですが、次期中期経営計画の詳細については現時点ではお話しいただけないことは承知しています。

ただ、やはりおっしゃったとおり、現段階ではかなり定性的な内容にとどまっているように思われますので、可能であれば現時点で話せる範囲でもう少し具体的な部分を教えていただけますでしょうか?

岡田:事業について、これまでどおりシステムソリューション事業と都市インフラ事業を成長分野として位置づけ、引き続き伸ばしていく方針に変わりはないと思います。

また、スライドに記載の「AIセントリック」にもあるとおり、AIをどのように取り込むかという点が非常に重要であると考えています。社内でAIをどのように活用するか、また、その過程で培った技術力や知見をどのようにお客さまに提供していくかといった点についても、両輪で考え、さらなる本格化を進めていきたいと考えています。

数値的な目標に関しては、申し訳ありませんが、現時点では具体的にお話しできることはありません。ただし、1つ言えるのは、当社が非常に重視している指標がROEであるということです。

現在、目標としてROE9パーセントを掲げ、それに向けて取り組んでいます。5年後には目標を2桁に設定するだけでなく、可能な限り2桁の高い水準を目指し、現在社内で議論を進めています。ぜひご期待いただければと思います。

関本:では、来年の通期のタイミングということですね。

岡田:よろしくお願いします。

(7)取り組み状況(通信キャリア)

岡田:ここからは、セグメント別に具体的な取り組みをご紹介します。まずは、通信キャリアセグメントにおける利益創出に向けた取り組みです。

これまでも順次進めてきた子会社の統合や拠点集約などの事業最適化に加え、培ってきた電気関連のスキルを活かし、データセンターや再エネ関連事業への展開、さらにグローバルに展開している当社の強みを活かしてオフショアを活用した施策を進めています。

グループ内の業務プロセスを標準化することで、業務の効率性と柔軟性を向上させ、これまで各社で個別に行ってきた調達業務についても、グループ全体での見直しを進めています。これらの施策を通じて、より筋肉質な組織運営を実現し、安定的な利益創出に向けて取り組んでいます。

(7)取り組み状況(都市インフラ:エネルギー)

岡田:都市インフラ事業におけるデータセンター関連の取り組みをご紹介します。データセンターについては、スライド左側のグラフをご覧いただくとおわかりのとおり、市場は大きく伸びると予想されています。

また、アメリカの大手クラウド事業者がそろって「日本国内において4兆円ぐらいの投資を行います」という発表を行ったことからも、国内データセンターの市場はますます成長すると想定しています。

以前から数多くのデータセンター構築を行ってきた実績により、当社は多くのハイパースケーラーからの引き合いをいただいており、国内で一、二を争う規模で手がけているとの自負があります。

非常に旺盛な需要に対し機会損失を生じさせないよう、他の事業セグメントやグループ会社からもリソースをシフトし、体制を強化して対応しています。

これまでのところ、データセンター建物内の電気設備工事など、いわゆるFit Out工事を中心に行ってきましたが、建物自体の工事やラック・サーバーなどの設置工事、その先の保守や運用に至るまで、データセンターに関わる事業全体に領域を広げ、ワンストップで受注できる体制を目指しています。

(7)取り組み状況(都市インフラ:エネルギー)

岡田:データセンターに関する取り組みをご紹介します。スライド左側には、今年竣工し、開所式を行った国内最大級のデータセンターの外観写真があります。電気・空調設備工事一式を当社が元請として施工し、最近の生成AIやGPUによる発熱量の増加に伴い、従来の空調方式ではなく水冷方式に対応した最新型のデータセンターとして完成させました。

スライド右側は、自社システム内で構築しているデータセンターのイメージ図です。こちらは、自社内のシステムに最新技術を取り入れ、その運用ノウハウを蓄積することで、お客さまへの提供を目指した取り組みを進めています。

こちらも水冷方式を採用しており、スライド右下にイメージ図を記載しています。今後、このような最新技術の導入はお客さまのほうでも加速度的に進むと考えられる中で、ご発注いただいた仕事を確実に仕上げるのはもちろん、世の中の動向に敏感に対応し、技術力の向上を図ることが、データセンター事業を進める上で非常に重要だと考えています。

関本:データセンター事業について、いくつかお話をうかがえればと思います。まず、今後の見通しについてです。

現在、そもそもの市場が拡大していると見られており、御社に対しても非常に多くの引き合いをいただいています。この市場拡大に伴い、御社における需要も引き続き伸びていくと考えてよいのでしょうか?

岡田:そのように考えています。当社は高い信頼を得ており、すでに受注規模として今年度は約600億円まで積み上がる見通しが立っています。市場が成長すると言われていることも確実だと思いますし、今後も成長を続ける分野だと考えています。

関本:その中で、御社の競争力についてもお聞かせください。先ほど、水冷式やデータセンター内での自社部門と社内システムを預かる部門の協力体制についてお話がありましたが、この領域には他にも取り組まれている企業があると思います。

「他社さんと比べてうちはこれが強いんです」といった競争力はどのような点にあると思いますか?

岡田:現在、さまざまな新しい技術が登場していますが、いかに早くそれらに取り組めるかが重要です。当社では、積極的に自社内で新しい技術を取り入れるなどの取り組みを進めています。

また、ハイパースケーラー各社が中心となりデータセンターの建設を進めていますが、当社は長年のお付き合いを通じて信頼関係を築いている点が、他社との差別化ポイントだと考えています。

特に水冷式について、従来の空調設備は空冷システムを採用していたところが、AI対応のために急遽水冷式へ変更する必要が生じた際、当社は設計からすべてをやり直すという柔軟な対応を行いました。こうした柔軟性を評価いただけているのではないかと思います。

関本:実績についてのお話をいただきましたが、やはり今後非常に成長が見込まれる重要な分野です。そのため、実績がある企業に依頼したいというのは、ハイパースケーラー側も当然の考えだという理解でよろしいでしょうか?

岡田:おっしゃるとおりです。

関本:市場が成長し、受注も多くいただいている中、今後さらなる成長を目指す上で、御社が取り組むべきことについてお尋ねします。

他のビジネスにおける「やっぱり人手が足りないんです」のような事例や、昨今の御社の動きにおける「建設費や費用面というところが高騰しているんです」のような課題など、成長上のボトルネックがあれば、どのような点に気を配っているのか教えていただけますでしょうか?

岡田:データセンターに関しては、特にご指摘のとおり人財の確保と育成が重要な課題です。現在、データセンターの需要が拡大している中、とりわけ電気工事やそれに関わる技術者の不足が顕著です。この問題は当社に限らず、業界全体の課題であると認識しています。

当社ではグループ会社を活用し、さまざまなところからリソースをシフトすることで、対応可能な人数を増やし、体制を強化しています。

関本:ありがとうございます。非常に市場で注目を集める事業だと思います。

(7)取り組み状況(システムソリューション)

岡田:システムソリューションのご紹介です。こちらでは、システムソリューションにおけるGIGAスクール案件について説明します。

文部科学省が提唱する「GIGAスクール構想」は、1人1台端末や高速大容量の通信ネットワークなど、学校ICT環境を整備して活用することによって教育の質を向上させ、すべての子どもたちの可能性を引き出すことを目的としています。「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現もこの構想の一環です。

当社では、2020年頃から始まった、いわゆる「First GIGA」において、端末の整備や学校のネットワーク構築に携わってきました。そして、今年度からは「Next GIGA」という取り組みが進んでおり、前回導入した端末の更改が中心となります。

また、先生方が使用する校務系システムのクラウド化やセキュリティの強化、保守運用などにおいて、当社の強みを活かした付加価値の高い提案を通じて、ビジネスの拡大を目指しています。

(7)取り組み状況(システムソリューション)

岡田:生成AIへの取り組みです。我々は生成AIを次の成長エンジンとして位置づけており、4月に「生成AI推進センタ(AI CoE)」という組織を新たに立ち上げました。これは社内外でのAI活用を両輪で進めるための中核的な組織であり、グループ全体の知見を集約し、人財育成やノウハウの蓄積を進めています。

社内では、社員一人ひとりが自律的にAIを使いこなせる会社を目指して意識改革を図り、議事録の作成やソフトウェア開発支援など、さまざまな業務でAI活用が急速に広がっています。

一方で、社外向けには、社内で培ったノウハウを活かし、AI導入コンサルティングやAIエージェントの提供など、すでに成果を出し始めています。この「生成AI推進センタ」を中心に、グループ全体でAIの力を事業の隅々まで浸透させることで、DXの加速と新たな価値創造を同時に実現していきたいと考えています。

(7)取り組み状況(システムソリューション:グローバル)

岡田:グローバル分野のご紹介です。グローバル分野は主に3つの分野に分かれています。マネージドサービスは、IT機器のリファービッシュや「メーカーサポート終了後の機器を活用したい」というお客さまのニーズに応えるサービスに加え、保守やコールセンター対応を組み合わせた収益モデルを構築しています。

ICTインフラストラクチャは、安定したリカーリング収入を生み出す事業として、収益基盤を強化しています。特にスライド中央に記載されているdhostという屋内基地局のシェアリング事業を展開する企業は、インドネシアでリーディングカンパニーとなっており、堅調に成長しています。今後も現地で基地局取得のための投資を継続していきたいと考えています。

M&Eエンジニアリングは、電気、空調、通信関係のエンジニアリングを展開しており、それぞれ大型案件の引き合いをいただき、堅調に推移しています。多彩な事業展開をしているグローバル分野ですが、今後は国内事業との協業のあり方を模索しながら、安定した事業基盤の構築に取り組んでいます。

(1)ROE

岡田:ここからは、企業価値の向上についてご説明します。当社グループは、中期経営計画で示しているようにROEを1つの指標として掲げています。2024年度のROEは8.5パーセントでしたが、2025年度は9.2パーセントを計画しており、新中期経営計画に向けてさらなる向上を目指します。

スライド右側にはROEツリーの要素ごとの取り組みを記載しています。2025年度以降もROEの改善に向けて、利益の向上と資本効率の向上を追求し、取り組みを強化していきます。

(2)キャッシュアロケーション

岡田:キャッシュアロケーションの状況です。事業成長で生み出されたキャッシュと有利子負債を活用し、R&Dや社内のDX、人財育成、M&Aなど、持続的な成長に向けた投資に振り向けています。

また、DOE基準に基づいて配当を決定し、株主還元に適切に配分することで、企業価値の向上を目指していきます。

(3)M&Aの取り組み

岡田:企業価値の向上に資するM&Aを継続的に実施しており、今年度も2件をリリースしましたのでご紹介します。

1社目は、エスエーティという会社です。この企業は、当社の事業領域であるシステムソリューション事業のサービスユニットに属し、IT機器の第三者保守に強みを持っています。お客さまのITシステムをワンストップで提供する際に、当社のラインナップを補完する役割を担い、シナジーが期待される会社です。

2社目は、Olivierです。この企業もシステムソリューションセグメントに属し、金融分野を中心としたお客さまのニーズに応える柔軟な開発体制と技術力を強みとしたシステムインテグレーションの会社です。

また、今年度にアライアンス推進部を新設し、M&A関連の業務を担当する部署を独立させました。M&A後のPMI実行を含めて包括的に対応することで、これまで以上にスピード感のある対応を実現することを目指しています。

この部署の取り組みを通じて、より早い投資回収と収益貢献を目指しています。

(4)株主還元等

岡田:株主還元に関するご紹介です。当社では、株主のみなさまへの利益還元を経営上の重要課題の1つとして位置づけています。配当金については従前よりDOE基準を採用していますが、2023年度から基準値を4パーセントに引き上げました。これにより、2025年度は1株あたり66円の配当を計画しており、14期連続増配を予定しています。

自己株式の取得と消却については、資本効率および株主利益の向上を目的として、継続的かつ機動的に実施しています。昨年4月には「1:2」での株式分割を実施しました。より多くの投資家のみなさまに当社株式を保有して応援していただきたいこと、そして流動性を高めることで株主のみなさまにとっての利便性を向上させることを目的としています。

このように、さまざまな施策を組み合わせながら、より多くの投資家のみなさまに当社の魅力を感じていただけるよう努めていきたいと考えています。

(宣伝)当社「公式YouTubeチャンネル」、「Web CM」について

岡田:最後に、少しだけ宣伝させてください。当社の社員の働く姿や事業、サービスの紹介などをYouTube公式チャンネルで公開しています。また、新たな取り組みとして、YouTubeやTVerを中心にWeb CMを展開しています。

これまでに配信したWeb CMもYouTube公式チャンネルで公開していますので、ぜひご覧ください。今後も積極的に情報を発信していきますので、チャンネル登録をよろしくお願いします。

以上で、当社のご紹介を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:人財採用と育成の取り組みについて

荒井:「採用と育成は順調でしょうか? 好調な業績が採用の追い風になっているのでしょうか?」というご質問です。

岡田:人財の確保と育成は、我々だけでなく業界全体の大きな課題になっていると思います。業績が右肩上がりである一方、状況は決して順調とはいえません。やはりさまざまな課題があり、担い手不足が指摘されていますが、新しい人財をどう確保し、育成していくかについて現在取り組んでいるところです。

先ほどお伝えした不足部分に対しては、社内で人財をリソースシフトする取り組みを行っています。一方で、新たな人財の確保に向けては、キャリア採用やリファラル採用、退職者の再雇用といった仕組みを導入し、多くの人財を確保できるよう努めています。

また、初任給の見直しを行い、世間相場よりも少し高めに設定することで、新卒採用にも力を入れて取り組んでいます。

荒井:先ほどお話しされたYouTubeなどに広告を出しているのは、知名度を上げ、採用につなげたいという意図があるのでしょうか?

岡田:おっしゃるとおりです。ご覧いただければおわかりになると思いますが、当社が展開しているこのWeb CMは、若い方々に当社がどのような取り組みをしているのか、どのように社会貢献をしているのかを理解していただくことを目的として公開しています。

質疑応答:中期経営計画の売上目標前倒し達成について

関本:「今回、中期経営計画の売上目標を前倒しで達成されたということですが、2025年度の利益率7.5パーセント、ROE9パーセント以上を達成するために最も重視されていることはいったい何でしょうか?」というご質問です。

岡田:やはり今年は、利益の改善に向けて一生懸命取り組む必要があります。収益改善に関しては、社内の業務プロセスの見直しや、拠点の集約、グループ会社の統合といった施策に取り組んでいきます。

関本:そもそも、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画が上振れし、売上高が1年前倒しで達成となりましたが、何が要因で超過達成や前倒し達成が実現したのでしょうか? 全体的な市況が良かったのか、それとも御社の取り組みが特に成功した結果なのか、この点はどのように捉えていますか?

岡田:2026年3月期を最終年として、2025年3月期に前倒しで達成した要因としては、やはりデータセンターの需要にしっかりと応えられたことが大きいと考えています。当初計画していた以上にデータセンターの需要が伸び、特にここ2、3年はAI需要が出てきたことで、さらに加速したと認識しています。その需要に応えられたことが上振れした原因といえるでしょう。

関本:そちらが重要なポイントとなると、次の中期経営計画においても市場環境としては追い風が強いと見られるわけですね。

岡田:おっしゃるとおりです。

質疑応答:データセンター関連事業と技術対応について

関本:「データセンター関連事業について、工事から運用保守まで幅広く展開されてらっしゃいますが、今後特に利益成長に寄与する領域などはあるのでしょうか?」というご質問です。

岡田:当社が関わっているのはデータセンターの工事の部分で、いかに新しい技術に取り組めるかという点だと思います。現在のデータセンター事業では、特にAI需要に応えるためにGPUを搭載することにより、大量の電力を消費し、それに伴って発熱量も大幅に増加しています。

そのため、従来のデータセンターよりもいかに効果的に冷却できるかが課題となっています。先ほど少し触れましたが、冷却技術の進展は非常に速く、これらの進歩に迅速に対応する必要があることが重要だと思います。

関本:この部分では、やはり御社内でしっかりと技術研究を進めていることや、設計力が問われるということでしょうか? 

岡田:おっしゃるとおりです。設計の考え方も進化しています。新たな需要に素早く対応することが求められており、それには当社が持つ長年の実績を基盤に、技術研鑽しながら進めていく方針で取り組んでいます。

質疑応答:教育DX領域における「First GIGA」以降の展望について

関本:「教育DX、『Next GIGA』や生成AIについて、一過性のところではなくて継続的な収益にもつながるのでしょうか? あるいは、つながりうる仕組みをどのように考えているのでしょうか?

前回の内容では、いわゆる『First GIGA』の際に需要が急激に高まり、その後に少し落ち着いたシステムインテグレーターもいらっしゃったと思うのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

岡田:「First GIGA」の際には学校や教育現場にデジタル機器を導入し、それに付随する通信設備などを構築していく取り組みを行っていました。現在は、その更改時期を迎え、主に機器の交換にとどまってしまっているのは事実です。

しかし、当社がシステムソリューション事業で進めているのは、その先の部分にあたります。具体的には、学校内で講師が使用するシステムのデジタル化や、そのクラウド化、さらにはセキュリティを強化する仕組み作りです。

このようなシステムインテグレーションの分野において、当社のノウハウを活用しながら、自治体への提案を強化しています。そして、それを我々にとっての次の事業として拡大する取り組みを進めています。

質疑応答:事業セグメントの考え方と成長戦略について

関本:「2030年に向けて、通信キャリア事業、都市インフラ事業、システムソリューション事業をまんべんなく、バランス良く成長させることを方針に掲げられていると思います。最も収益の柱になるのは、どの事業でしょうか?」というご質問です。

岡田:難しいご質問ですが、現時点でお伝えすると、都市インフラにおけるデータセンターが中核であることは間違いありません。今後はシステムソリューション分野において、高付加価値のサービスをいかに提供し、それによって利益をどのように確保していくかが課題です。その成長が進むことで、全体の拡大につながると考えています。

関本:通信キャリア事業、都市インフラ事業、システムソリューション事業、さらにグローバル分野といった事業分野に関して教えてください。

事業ポートフォリオの考え方として、例えば、あまり市場の成長は取れないけど安定的にいく、都市インフラ事業の中でデータセンターは成長ドライバーになる、このセグメントは社内としてはこういう位置づけで事業ポートフォリオを置いているといったようなコンセプトが存在するのでしょうか?

岡田:収益ベースで3つの分野をバランス良く展開していく方針です。もともと通信キャリアセグメントへの依存度が高かったため、その依存を低減し、事業の多角化を図って成長を目指してきました。そのため、1対1対1のバランスを実現しようという考えです。

これから成長を牽引したい分野についてお伝えすると、やはり利益を重視する観点から、システムソリューションの事業をどのように強化していくかが最も重要だと考えています。

関本:システムソリューション事業の強化には、具体的にはITのノウハウや技術力の向上、あるいは生成AIの活用といった領域が含まれてくるのでしょうか?

岡田:おっしゃるとおりです。これらを含めてシステムインテグレーションの領域として、いかにコンサルティング力を高め、付加価値の高いサービスを提供し、お客さまからの信頼を得て収益を上げていくかが重要になると考えています。

質疑応答:中長期で懸念されるリスクについて

関本:「人手不足など外部環境の変化がありますが、中長期で最も意識されているリスクはどこにあるのでしょうか?」というご質問です。

岡田:国内における人手不足が日本全国の社会課題だと考えています。それに対する当社の取り組みとして、例えば外国人の採用の推進や、グローバル事業への積極的な取り組みを行い、日本の収益基盤に依存せず、海外でも収益を上げる仕組みを構築しています。やはり最大のリスクは、日本の人口減少という社会課題だと考えています。

岡田氏からのご挨拶

岡田:本日はあらためてお時間をいただき、ありがとうございました。今後もさらなる成長を実現し、みなさまからご評価いただけるような取り組みを続けていきます。ぜひご理解とご期待をいただければと思います。これからもよろしくお願いいたします。

配信元: ログミーファイナンス

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