Heartseed、黒字進捗で利益予想を再上方修正 「HS-001」LAPiS試験データを開示、「HS-005」国内治験が前進
免責事項

福田惠一氏:みなさま、こんにちは。Heartseed株式会社代表取締役社長の福田惠一です。本日はご多忙の中、2025年12月期第4四半期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
決算期の変更にともない、今期は14ヶ月の変則決算です。本日のご説明は期末ではなく、第4四半期時点の決算であることをご理解願います。昨日の適時開示をもとにご説明します。
こちらは免責事項です。
本日の目次

本日のアジェンダです。
決算の概要とトピックスの後に、投資家のみなさまのご関心が高い「LAPiS試験」の最新データについて、低用量群1年および高用量群6ヶ月のデータを開示しましたのでご説明します。
2025年12月期第4四半期 決算:P/L

2025年12月期第4四半期のP/Lです。
売上高に関して、提携解消前のNovo Nordisk社との提携にもとづき、第2四半期に19億円、第4四半期に11億円の開発マイルストン収入を計上し、累計で30億2,600万円となりました。本年8月14日に発表した業績予想どおりとなっています。
売上総利益は、現状、売上原価がありませんので、売上と同様となります。
販管費は、事業進捗に向けた先行投資は計画どおりに行いながらも、グローバルパートナーとの提携の解消後、機動的に一部の費用をコントロールしはじめています。
その結果、累計の営業利益は、7億2,600万円となりました。
経常利益は、上期の円高ドル安の進行による為替差損の影響があり、6億9,100万円、純利益は5億9,200万円となり、8月に発表した修正後の業績予想を上回る進捗で、通期での黒字化を目指しています。
2025年12月期 業績予想の修正(2025年12月11日発表)

2025年12月期の業績予想です。
8月に上方修正をしましたが、今一度、利益の上方修正を行う旨を昨日発表しました。売上高に修正はありませんが、販管費に関して、事業進捗に向けた投資は計画どおりに積極的に行うものの、研究開発費における試験費用や心筋細胞製造費用など、一部の費用をコントロールしていく考えです。
その結果として、営業利益は1億8,000万円増の3億1,100万円、純利益は1億2,000万円増の2億2,900万円へと、再度上方修正を行います。
2025年12月期第4四半期 決算:B/S

B/Sです。P/Lでお話ししたように、Novo Nordisk社からのマイルストン収入があったことにより現預金が増え、現預金が資産の90パーセントを占めるという、堅牢なバランスシートを維持しています。
「HS-001」の事業化、くわえて「HS-005」の治験に向けて、外部環境に左右されず、しっかりとアクセルを踏める財務状況です。
2025年12月期第4四半期 開発目標に対する進捗

主な事業進捗についてご説明します。
はじめに、Novo Nordisk社との提携解消についてご説明します。これは単なる解消ではなく、5年近く、Novo Nordisk社も非常に多くのリソースを投入してくれた共同開発の成果である資産の完全な内部化・当社への回帰と捉えています。先方のリストラ策が進み担当者がいなくなる前に、これまでの共同開発で蓄積された技術データやノウハウなどの知的資産を、漏れなく、かつ迅速に当社へ移管することを第4四半期中に集中的に進め、現在までに主要なプロセスは完了しています。
冠動脈バイパス手術との併用で行われる「HS-001」については、「LAPiS試験」における患者投与が完了し、現在経過観察中ですが、承認申請に向けた準備が計画どおり粛々と進んでいます。そうした中、国内における主要な学会において、治験施設の先生方より個別の症例については発表いただいていましたが、後ほど、未発表だった9例目・10例目のデータも加えた高用量群全5例の26週データをまとめて、会社として初めて公表します。
カテーテルによる投与の「HS-005」については、日本ライフラインさまとの協業・提携にくわえ、第4四半期がしまった後の発表ではありますが、国内における治験「EMERALD試験」に関して、治験届の審査が無事完了しました。現在治験施設の選定や契約など、準備が順調に進んでいます。
自家iPS細胞から作製する心筋細胞の「HS-040」は、国からの補助金を基に、技術開発や前臨床試験に向けた準備などを進めています。
製品パイプライン

製品パイプラインのおさらいです。
「HS-001」は、国内治験「LAPiS試験」において患者投与を完了し、現在、経過観察中です。
カテーテル投与の「HS-005」は、虚血性心疾患を原疾患とする心不全にくわえ、拡張型心筋症を原疾患とする心不全を対象とする治験「EMERALD試験」に関して、治験届の当局レビューが完了し、治験開始のGoサインが出ており、2026年の投与開始に向け最終準備を進めています。
免疫抑制剤の使用が難しい患者さま向けである、自家iPS細胞由来心筋球の「HS-040」は、前臨床試験などを粛々と進めています。
メインパイプラインの中長期目標マイルストン(2025年12月11日現在)

「HS-001」と「HS-005」の具体的なタイムラインです。
「HS-001」に関しては、10例目の患者投与が今年1月末に完了しましたので、年明け2026年1月末に、全10例の術後1年が経過することになります。申請準備に多少時間を要しますが、2026年内の承認申請、2027年内の承認および販売開始を目指し、1日でも早く患者さまにベストなかたちでお届けできるよう、最善を尽くしていきます。
「HS-005」については、日本ライフラインさまとの協業・提携について9月上旬に発表しました。後ほど詳しく触れますが、臨床医としての目線をふんだんに取り入れ、安全性や確実性を追求しつつ、使い勝手の良いカテーテルを目指し共同開発しました。
国内開発については、第4四半期後の発表ではありますが、第1/2相治験「EMERALD試験」に関して、届出の提出およびPMDAさまのレビューが完了した旨を11月4日付でリリースしました。現在、治験開始に向けて、治験施設の選定や各施設さまにおける倫理審査委員会対応などを進めています。一部の施設の医師のみなさまに対しては、すでに投与手法に関するトレーニングを実施しています。
「HS-005」の海外の臨床開発については、これまで提携先のNovo Nordisk社が中心となり欧米当局との議論を進めてきましたが、今後は弊社がそれを引き継ぐかたちで議論や調整を進めていきます。
新たなグローバル戦略の構築へ

2025年12月期第4四半期における主なトピックについてお話しします。
弊社は2021年5月から2025年9月までの間、パートナーリング戦略をとり、Novo Nordisk社との提携のもと、先方からの契約一時金やマイルストン収入を受領しながら、企業ステージを「Pre-clinical」から「Pre-commercial」へと上げることができました。
中長期の事業戦略に関して、国内の商業化は当初の計画どおり弊社自身による展開を図っていきます。海外展開に関しては、これからご説明する良好な治験データを背景に、事業ステージが大きく進んだ状態で、開発・販売権が100パーセント手元に戻ったことは、選択肢の幅が広がることとなり、我々としてはポジティブに捉えています。決して焦らず、企業価値が最大化する中長期戦略を構築していきたいと思います。
確実な再生心筋細胞の投与を目指し日本ライフライン社とカテーテル・システムを共同開発

「HS-005」のカテーテル・システムについてご説明します。9月上旬に発表しました日本ライフラインさまとの協業・提携が順調に進み、PMDAさまのレビューもクリアしました。
このシステムの強みは、外科手術と違って直接目で見えない心臓の中で「確実に狙った場所に細胞を届ける」技術にあります。
カテーテル・システムは2つのカテーテルから構成されています。ひとつはマッピング・カテーテルで、日本ライフラインさまが強みを持つ不整脈のアブレーション術に使用される技術を応用したものです。先端部についている複数の電極の位置を3Dマッピング・システムに反映させ、左心室内の形状を立体的に構築しモニター表示するとともに、カテーテルの位置情報を得ることができます。
もう1つの構成要素が、マッピング・カテーテルの内腔を通し、突出させ、狙った部位に再生心筋細胞をデリバーする投与カテーテルです。先端には心臓の壁の中に穿刺するための専用針がついており、その少し手前の側面には複数の穴があり、そこから心筋細胞が出てきます。穴のさらに手前には電極が組み込まれていて、心臓の壁の中に電極が到達すると、心電図の変化から、電極の先に位置されている穴が壁の中にあることを確認できる仕組みとなっています。
カテーテルは外科術と異なり直接目視で行うことができませんので、カテーテル位置の把握や心筋の中での確実な細胞投与が鍵になるわけですが、それらを可能とする仕様となっています。
グローバルな学会において低用量のまとめデータおよび高用量の途中経過を会社発表

私自身が米国心臓協会のAHAなどを含む複数の国際学会から招聘され、国内学会における治験施設の先生方のご発表をもとに会社発表を行いました。これも本領域のグローバル・リーダーとして、またパイオニアとして、当社が世界的に認められているからではないかと、自信を深めたところです。
この後、学会では発表していないデータも含めて、最新の解析結果についてご説明します。
LAPiS試験の低用量群における術前と術後1年の臨床指標の比較

「LAPiS試験」について、高用量群の6ヶ月データを、10例目まですべて揃った状態で、株式市場のみなさまに、初めて包括的に共有したいと思います。
まずは低用量群5例の1年データです。今回はじめて5症例を統合したかたちでお示しします。
表の見方ですが、濃い緑色が著しい改善、中程度の緑色が軽度な改善、薄い緑色は状態維持、グレーが悪化を示しています。患者背景は、LVEFの平均は約25パーセントで、全例がNYHAクラスは3で、NT-proBNPも高い、待ったなしの重症な心不全患者さまたちでした。
1年後の結果は、心筋の動きが改善したにもかかわらず、僧帽弁閉鎖不全症とCOVID-19罹患の影響を受けた2例目を除き、いずれの指標も著しい改善あるいは軽度の改善を示しています。
各指標を見ると、NT-proBNPが非常に高い数値だった症例でも大きく減少し、5例中3例が日常生活では症状がないNYHAクラス1にまで改善しています。中でも5例目の方はEFが46パーセント、NT-proBNPは100未満と、収縮不全による心不全の診断基準から外れるレベルまで改善されています。安全性に関しても、腫瘍形成、難治性の心室性不整脈、また治験を止めないとならなくなるような有害事象はありませんでした。
心不全患者さまは、一般的に頻回な入退院を繰り返すのですが、この5例において、再入院が必要となったのは、先ほど申し上げた僧帽弁閉鎖不全症とCOVID-19罹患の影響を受けた症例2の患者さまのみでした。これは医療経済的にも極めて大きな意味を持ちます。
LAPiS試験の高用量群における術前と術後6カ月の臨床指標の比較

高用量群5例の6ヶ月データです。
こちらも重症の患者さまが組み入れられており、ベースラインのLVEFの平均は20パーセント台前半とかなり低い値です。ベースラインのNT-proBNPがあまり高くないのは、治験施設で移植前に限界までコントロールしていただいた結果であり、裏を返せば既存治療ではこれ以上の改善が見込めない患者さまたちです。
移植から6ヶ月後には、全例でLVEFが改善したことに加え、5例中4例で日常生活では症状がないNYHAクラス1になり、同じく5例中4例で6分間歩行も高齢日本人の平均的な500メートルを超えており、健常者に近い生活レベルを取り戻されています。総じて、低用量群と同様、良好な改善を示しました。安全性に関しても、腫瘍形成、難治性不整脈、また治験の存続に関わるような重篤な有害事象は発生していません。
8例目に悪化を示すグレーの指標が3つほどありますので、もう少し詳しくお話します。この患者さまは術後3ヶ月において非常に良い改善を示していましたが、自覚症状が大きく改善し、早々に学童擁護員のお仕事に戻られ、急激に活動量を上げたことによって、心臓への負担が増え、幾つかの指標において悪化が現れたと、治験施設の先生が学会報告をされていました。これは「患者さまが以前と同じように働けるレベルまでQOLが回復した」ことを示すエピソードでもあります。
高用量群では6ヶ月現在の時点において、心不全患者さまによくある頻回な入退院がなく、再入院が必要となった症例はありませんでした。
LAPiS試験の高用量群:治験施設による学会発表からの中間的な知見

こちらは高用量群である治験7例目と8例目のストレイン解析と呼ばれる、心臓の部位ごとの収縮を評価したものです。
上は7例目のMRI画像解析で左心室の壁をマップ化したもので、赤色の線の丸印の部位に心筋細胞が移植されていて、青色が強い収縮を示します。術前と術後6ヶ月を比較すると、移植部位では、バイパス術が施されてない場所や、梗塞により心筋壁が薄くなった部位においても収縮が改善していることが確認されました。お時間のある際に、個々の移植部位ごとに、数値が低下していることをご確認ください。単に心臓の負荷を下げる既存の飲み薬ではまず起きえない改善であると考えています。
下は8例目の心エコーによるマップで、緑色の線の丸印が移植部位です。術前と術後6ヶ月を比較すると、冠動脈バイパス手術が施されていない部位を中心に、強い心臓の収縮を示す赤色のエリアが増えていることをご確認いただけるかと思います。
弊社の心筋補填療法は、再生心筋細胞を患者さまの心筋に直接生着させるものですので、このように画像技術を用いた心筋局所の壁運動を解析することは、当治療法のメカニズムを証明するにあたり、極めて有用であると考えています。
治験や事業の進捗に関して、今後も、株式市場のみなさまへのコミュニケーションを積極的に図っていきたいと思います。
最後になりますが、Novo Nordisk社との提携の解消の件では、大変ご心配をおかけしたことと思います。この解消は先方の全社的な戦略変更によるものであり、「LAPiS試験」のデータそのものは、先ほどお示ししたとおり極めて良好であり、先方もその価値を認めていたからこそ、丁寧なデータ等の移管が行われていると理解しています。1例1例を丁寧に解析・評価することで、既存治療では難しかった改善を、なしえる可能性が見えてきました。
今後は、このデータを武器に、自社主導での開発と、幅広い選択肢の中から、企業価値の最大化につながる中長期グローバル戦略の構築を図っていきます。株主のみなさまには、引き続きご支援をお願いします。ご清聴誠にありがとうございました。
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