フィード・ワン、2024年度最終益53億円と過去最高 2033年度販売数量シェア20%・EBITDA160億円超を目指す
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窪田和男氏(以下、窪田):みなさま、こんにちは。ただいま、ご紹介いただきました、取締役常務執行役員の窪田です。本日はどうぞよろしくお願いします。
まず、簡単に自己紹介します。
私は、1965年の横浜生まれの横浜育ちで、1987年に横浜銀行に入行し、2021年に縁あって当社に入社しました。現在は、管理本部長、並びに経営企画本部と水産飼料部の管掌をしています。
それでは、当社の会社内容についてご説明します。
恐らく配合飼料業界は馴染みがなく、フィード・ワンという会社名もご存じない方も多いと思います。今日の説明会でみなさまのご理解が進み、今後の投資判断の材料となれば幸いです。
会社概要

本社は、横浜市西区みなとみらいに所在しています。
会社設立は、2014年10月、上場会社2社の合併によりスタートした会社となります。
筆頭株主は三井物産であり、約25パーセントの出資をいただいており、同社の持分法適用会社となっています。
社長は庄司英洋、三井物産で長く食料事業に携わっていた人物で、2022年に社長に就任しています。
統合10年を経て、昨年、次の10年に向けたスタートを切ったのですが、それにあわせ、社員から公募し、PURPOSE「飼料で食の未来を創り、命を支え、笑顔を届ける」を設定しました。
関係会社概要

組織の概要です。
配合飼料の販売会社・製造会社、鶏と豚の農場、卵と豚肉の食品会社、海外はベトナム、インドに進出しており、連結子会社16社、関連会社11社、合計27社のグループ会社で構成されています。
セグメントの状況

セグメントの状況ですが、主力事業は畜産飼料事業で売上高の約8割を占めており、同じ飼料事業である水産飼料事業と、豚肉・鶏卵の仕入・加工・販売をしている食品事業の3つのセグメントとなっています。
フィード・ワンの事業領域

フィード・ワンは、国内外での原料の調達、全国での配合飼料の製造、畜産生産者・養殖生産者への配合飼料の販売・技術支援、畜産物の加工・卸を通じて消費者に畜水産物をお届けしており、食の川上から川下まで網羅することで、日本の食卓の安心安全を支えています。
What is 配合飼料?

それでは、「配合飼料とはどのようなものか?」をあらためてご説明します。
家畜の種類、成長ステージに応じて、効率的に成長するように、また、健康を維持するように、最適な設計で配合飼料を製造しています。
また、卵の黄身の色やサーモンの色、お肉の脂身等、畜水産物の価値は、配合飼料の力で左右されます。
What is 配合飼料?

畜産飼料に配合される原料の約半分は輸入とうもろこしとなっています。その他は、大豆や菜種等の製油時の粕や、小麦の製粉時に発生するふすま等、所謂、食品副産物や、食品加工場で発生する加工残渣、食品残渣等も原料として活用しており、配合飼料は食品リサイクルループの要となっています。
三井物産との連携

原料の約半分を占めるとうもろこしは海外からの調達となりますが、そこは筆頭株主の三井物産の力をお借りしています。大量の原料を適切な時期に適切な価格で安定調達することができています。
三井物産による原料の安定供給により私たちは製造・販売・研究に注力することができ、飼料販売量が伸び、それにより三井物産のとうもろこしの取扱量が増えることになり、両社はWIN-WINの関係となっています。
沿革

ここで、当社の沿革についてご説明します。
横浜に本社を置く上場企業であった日本配合飼料株式会社と協同飼料株式会社が2014年に経営統合し、翌2015年に完全統合して現在の会社となりました。統合前は、それぞれ民間企業として業界第4位と第5位でした。
沿革

完全統合以降、北九州に水産飼料、畜産飼料の工場を新たに建設するとともに、関係会社の整理統合を進めてきました。
昨年度は、食品子会社であるマジックパール株式会社の新工場を竣工し、今年度は養牛用研究施設を10億円超かけ移転することを決議するとともに、新しい水産飼料工場を総工費約130億円かけ、愛知県豊川市に建設することも決議しています。
業績推移

2015年の完全統合以降、飼料販売数量の増加とともに業績は多少の変動はあるものの右肩上がりとなっており、2024年度は最終利益53億円を確保し、過去最高益となりました。
今年度の計画は経常利益70億円、最終利益52億円ですが、経常利益・最終利益とも過去最高益を計上すべく社員一丸となり取り組んでいます。
日本の畜水産物需要の推移

では、ここからはマーケットの展望と長期ビジョンについてお話します。
まず日本の畜水産物の需要の推移をご説明します。
カロリーベースで見ますと、穀類(主にコメ、パン、パスタ、うどん等)は時代とともに消費割合は減少していますが、食肉嗜好の高まり等により畜産物は増加しています。重量ベースで見ると、実に3分の1以上が畜水産物となっており、その重みは益々増加しています。
畜水産物自給率の現状

畜水産物の国内供給の現状についてご説明します。
ご覧のとおり、鶏卵を除くと多くの畜水産物が輸入に依存しています。
世界人口の増加や、円安・紛争等の地政学リスク、世界各国で発生している家畜疾病の影響、さまざまな要因により輸入が滞るリスクがあり、国産畜水産物の需要拡大が見込まれます。
畜水産物の需要拡大

特に、コロナ禍以降、安心安全かつ美味しい日本の食文化を支える畜水産物は世界で注目されており、畜水産物のインバウンド需要や輸出は右肩上がりの成長を示しています。
長期ビジョン

このように畜水産物の需要拡大が期待されることも踏まえた、当社の長期ビジョンです。
第1フェーズと位置付けた統合からの10年間、販売数量は約40万トン増加、EBITDAも大きく伸ばすことができました。
2024年度からの10年間を第2フェーズとし、収益力強化と飼料工場を中心とした積極的な投資により、2033年度には販売数量は業界シェア20パーセント以上、EBITDAは160億円以上、配合飼料業界での真のリーディングカンパニーを目指します。
長期ビジョン実現シナリオ

配合飼料業界を取り巻く外部環境は、業界全体で設備の老朽化が進んでいること、加えて建設コストの高騰で畜産飼料の新工場建設には200億円以上がかかり容易に投資ができない環境であること、また、異常な高温による家畜や養殖魚の生育不良、鳥インフルエンザ・豚熱に代表される各種疾病の蔓延等で厳しさが増しています。
当社が抱える問題は、統合10年間の第1フェーズで販売数量が大きく伸長したことにより、足元では製造キャパのひっ迫が課題として顕在化しています。
そこで、第2フェーズは3年ごとの3つのステージに分け、各課題に継続対応しながら収益力強化に取り組んでいきます。
足元の第1ステージは研究開発力を生かした他社との差別化、採算管理の徹底に取り組むとともに、品目の削減や小ロット生産削減に徹底的に取り組み、製造数量のキャパ拡大に努めます。
あわせて、飼料工場へのリニューアル投資を重ねながら、来る大型投資に備えた準備をしていきます。
長期ビジョン実現イメージ

第2フェーズの成長イメージを左図の矢印にて示しています。1stステージはとにかく地道に収益力の改善に取り組みます。
やはり成長の大きなトリガーとなるのは設備投資であり、投資効果が発現する3rdステージより成長スピードを加速させるイメージです。
畜産飼料事業

次に各事業をご説明します。
まず、主力の畜産飼料事業です。鶏、豚、牛といった家畜の種類や発育ステージに応じた、さまざまな形態、さまざまな設計の配合飼料を製造・販売しています。
配合飼料需要

まず、畜産の配合飼料の流通量ですが、ここ10年間2400万トン前後で推移しています。お米の消費量が年間700万トンですので、3倍以上の流通量となっています。
冒頭、カロリーベースの畜産物の割合が増加しているとご説明しましたが、鶏向けの配合飼料は、ここ10年ほぼ横ばいながら、鶏肉の供給量は増加しています。
これは配合飼料の性能が上がり、畜産物の生産効率が改善していることを意味しています。
畜産飼料事業の強み

当社の畜産飼料事業の強みをご説明します。
まず、マーケットシェアの高さです。全農に次ぐ2位となっており、民間企業では1位となっています。特に豚向け配合飼料では全農を抑えて業界No.1となっています。
次に、その販売を支える営業人員は子会社も含め、150名超を抱えています。当社は畜種専任制を敷いており、その専門性の高さから畜産生産者から高い支持を受けており、他社を大きく凌駕しています。
また、工場も全国13ヶ所に設置しており、物流費が高騰する中、家畜が日々食べる配合飼料を適切な価格で安定供給できる体制となっている点も強みです。
50名を超える研究人材を抱え、畜種ごとの研究施設があることも強みです。
安心安全な製品を支える品質管理体制も充実しており、年間3万件の検査を実施しています。
さらに、アメリカの穀物メジャーであるカーギルの子会社で畜産大手のProvimi社との技術提携や畜産研究が進んでいるアメリカ中西部のカンザス州立大学とも提携し、海外の技術導入にも積極的に取り組んでいます。
畜産飼料事業の強み②

製造拠点と販売網についてあらためてご説明します。
円グラフは、各地域での配合飼料の当社の販売シェアを示しています。
地図にあるとおり、日本全国に工場・販売拠点を配置していますが、特に畜産飼料の流通量の多い、北海道、関東、九州に重点的に設置しており、高いマーケットシェアを獲得しています。
主な製品販売・技術提供

次に主な製品・技術提供の履歴です。
特許を取得している搾乳ロボット専用飼料といった配合飼料だけでなく、乳牛個体のゲノム分析や生乳の脂肪酸組成分析サービスといった技術提供にも取り組んでおり、生産者の生産性の向上に寄与しています。
豚向け配合飼料では2023年に「ノリノリポーク」という新製品をリリースしました。
代表製品紹介「ノリノリポーク」

昨今、豚は育種改良により、一度にお産する頭数が増加し、成長スピードも早くなってきています。
一方、多産や早い成長スピードにより、脂のノリが悪くなるという課題も顕在化してきており、肉質の低下が生産者の収益悪化につながっています。
そこで、課題を解決できる薄脂対策飼料として「ノリノリポーク」を発売しました。
この商品は、畜産業界の国内最大規模の展示会、国際養鶏養豚総合展の養豚部門で最優秀賞をいただきました。
中長期戦略 ~社会課題を解決する~

足元で業界の課題となっている暑熱対策にも、飼料の力で取り組んでいます。
人間と同じように暑くなると家畜も食欲が減退し、繁殖能力の低下や畜産物の品質低下などさまざまな問題が発生します。
例えば人間であれば暑いときは辛いものを食べて食欲増進を図るなどしていますが、当社はそれぞれの畜種にあった暑熱対策飼料の開発に取り組んでおり、今年は特に猛暑であったこともあり、全畜種で暑熱対策飼料の販売数量を大きく伸ばすことができました。
中長期戦略 ~環境課題を解決する~

牛のゲップ問題にも飼料の力で取り組んでいます。
牛のメタンガス排出が地球温暖化に一定の影響を与えていると言われています。
当社では、この対策飼料の開発を進めています。
まず、大事なことはメタンガスの排出量を正確に把握することです。牛にとって自然な環境で測定する必要があり、クリーンルームで飼育するわけにもいかず、飼料開発の前段階で大きな課題となっていました。
海外の情報などを積極的に集め、海外で開発された専用測定装置を国内で初めて導入し、測定技術を確立しました。
次に本命であるメタン低減飼料の開発です。実はメタンを低減させるだけであれば、比較的容易に開発はできます。重要なのは、畜産物としての生産効率を落とさず、かつ、経済的な負担が大きくならない飼料を開発することです。
当社は、メタン生成に使われるエネルギーを牛の成長へ有効活用する技術の研究を進め、近々、製品としての発売を考えています。
畜産飼料事業の業績推移

最後にセグメント利益と販売数量の実績となります。数量・利益ともに確実に伸長しており、今後、さらに成長を加速させていきたいと考えています。
水産飼料事業

次に水産飼料事業についてご説明します。
日本の養殖業の主力魚種はマダイとブリであり、この2つの魚種で日本の養殖生産量の7割弱となっています。また、畜産飼料と同じように魚種や発育ステージに応じたさまざまな形態の飼料を製造しています。
水産飼料の主原料は魚粉ですが、世界的な養殖生産量の急増から、魚粉価格は高騰しており、天然資源保護の観点からも、当社は業界をリードして配合飼料の低魚粉化に取り組んでいます。
配合飼料需要

それでは、水産飼料の流通量からご説明します。
環境要因により浮き沈みはありますが、基本的に60万トン前後で推移しています。
畜産同様、配合飼料の品質向上による生産効率化はあるものの、これまで生魚を餌として給餌していた養殖業者が、配合飼料の品質向上や環境保全を理由に配合飼料へ切り替えており、需要は底堅く推移しています。
水産飼料事業の強み

水産飼料事業の強みをご説明します。
養殖の主力魚種であるマダイ用配合飼料では業界1位、全体でも業界2位のシェアを獲得しています。
製造面では、北九州に国内最大規模の工場を有し、中部地区にある工場については移転し、新工場を建設することを機関決定しています。
販売面では、5つの拠点を有し、40名以上の営業担当が販売だけでなく飼養技術も含めたコンサルティング営業に従事しています。
研究面では、低魚粉化に積極的に取り組んでおり、魚粉配合率は業界No.11の低さです。また、昆虫タンパクの活用など、魚粉に変わる新たな原料活用にも積極的に取り組んでいます。
政府による養殖業推進の取り組み

ここで、政府の養殖産業の取り組みについてご説明します。
政府は、マダイやブリ類の養殖生産量の大幅な増加や、陸上養殖・沖合養殖、うなぎの完全養殖などを後押ししています。
さらに、天然資源保護等から、生餌から配合飼料への転換を加速する計画です。
このような背景もあり水産飼料需要は大きく伸びる可能性がありますが、各配合飼料メーカーの工場老朽化が業界の大きな足かせとなる可能性があります。
養殖業を支える大型投資

このような環境を踏まえ、当社は5月に、愛知県知多市にある工場を移転し、愛知県豊川市に130億円を投じて新工場を建設することを機関決定しました。
新工場には4つの役割があります。研究開発機能を持たせること、製造能力は現行の2倍、最新の設備で生産効率を上げ、海水温上昇による養殖適地の北上にも対応します。
水産飼料事業は、竣工10年後には販売数量で1.4倍、EBITDAも2倍にすることを目標としています。
主な製品販売・技術提供

次に主な製品・技術提供の履歴です。
タイ向け配合飼料の低魚粉化に10年前より取り組んできており、2023年には無魚粉飼料「まだいDPサステナZERO」をリリース、2024年にはマス向け無魚粉飼料の「ますEPサクシードZERO」をリリースしました。
また、次世代の飼養技術として注目されている補償成長にも業界に先んじて取り組んでいます。
「サステナZERO」と補償成長については以降でご説明します。
代表製品紹介「まだいDPサステナZERO」

「まだいDPサステナZERO」をご説明します。
魚粉価格は世界的な人口増加による養殖生産量の増加により価格が上昇しており、今後も価格高騰リスクがあります。また、天然資源保護の観点からも無魚粉化に取り組む必要があります。
今までもタイ向けの無魚粉飼料はありましたが、摂餌、成長、価格の3つの問題があり普及はされてきませんでした。
当社ではその3つの課題をクリアした「まだいDPサステナZERO」を発売し、昨年度は魚粉価格の暴騰もあり価格優位性からマダイ用飼料で当社No.1の販売数量となるほど伸長しました。
当社は業界に先駆け低魚粉・無魚粉に取り組んでおり、魚粉使用率は業界平均より3パーセント以上の低い値となっています。
中長期戦略 ~環境課題を解決する~

次に補償成長についてご説明します。
これは、人間でいうダイエット後のリバウンドのメカニズムを活用した飼養技術となります。
飼育期間中に一時的に給餌を制限しながらも、出荷時は通常給餌と変わらない魚体で出荷できる技術で、飼料代の節約や環境負荷低減に寄与するものです。
当社研究施設での試験に留まらず、大学との共同研究や、取引先との商業ベースでの共同研究を重ねており、一定の効果を確認しています。
水温や成長ステージ、給餌停止期間の長さ等、さまざまなファクターを踏まえた試験を繰り返すことで技術の確立を目指しています。
中長期戦略 ~社会課題を解決する~

私たちは、「次世代養殖の実現」をスローガンとしており、下記4つを大きな課題として掲げ、その課題解決に取り組んでいます。
魚粉の低減、昆虫等に代表される機能性原料の開発、陸上養殖や沖合養殖などに適した物性の配合飼料の開発、そして補償成長に代表される新たな飼養技術です。
昆虫タンパクの活用では特許を出願しています。昆虫タンパクを配合した飼料を魚に与えると、魚の体表にぬめりが生じ、そのぬめりのバリアー効果により、細菌の侵入を抑制することが確認されています。
水産飼料事業の業績推移

最後に水産飼料の販売数量・セグメント利益の実績推移です。近年、先ほどご説明させていただいた取り組みの成果が出つつあり、セグメント利益は増加し、今年度も過去最高益の更新を見据えています。
食品事業

次に食品事業をご説明します。
当社の食品事業は、豚肉と卵の仕入・加工・販売です。
畜産物相場の変化

まず、業績に大きく影響する畜産物相場の動きです。
近年は豚肉相場・鶏卵相場とも暑熱、鶏インフルエンザや豚熱といった疾病の影響を受け、それぞれ相場は大きく上昇しています。
食品事業の強み

当社の食品事業の強みは、飼料会社ならではのシナジー効果、数多くの大手量販・大手外食へのサプライヤーとしての地位確立、そして、子会社であるマジックパール株式会社での当社グループを代表するコンシューマー商品「マジックパール」の製造・販売です。
食品事業のバリューチェーン

豚肉のフィード・ワンフーズ、卵のゴールドエッグは、当社の飼料で育った畜産物を中心に集荷し、大手量販や大手外食に大規模な量を安定的に供給する役割を果たしています。
みなさまご存じの大手量販店でも20パーセントから40パーセントのシェアをいただいています。
卵では大手ハンバーガーチェーン店や、みなさまご存じのスーパーにも高いシェアをいただいています。
代表商品ご紹介

当社グループを代表するコンシューマー商品を製造するマジックパール株式会社では常温保存可能な味付ゆで卵を製造しており、駅の売店等にてネットで包装されたものを販売しており、ご存じの方も多いかもしれません。
年々販売量は増加しており、2024年度は年間4,000万個の「マジックパール」を販売しています。さらに今年3月には新工場が竣工し生産能力を大きく拡大しています。
人的資本投資

続きまして、人的資本投資と地域貢献活動についてご説明します。
当社の一番大事な財産は社員であると考え、さまざまな人的資本投資に取り組んでいます。
3年単純合計で約2割の賃上げ、教育研修費も上場会社平均を大きく上回ります。
女性社員の比率は大きなウィークポイントでしたが、完全統合後は女性の新卒採用にも力を入れてきており、女性社員比率も改善しつつあります。今後、完全統合後に採用した世代が管理職の登用年代を迎えますので、ダイバーシティのさらなる推進も図れるものと考えています。
人的資本投資の結果、新入社員の3年定着率も97パーセントを超え、全社員ベースでの離職率も2.4パーセントとかなり低い数字となっています。
社員とのエンゲージメント

定期的にエンゲージメント調査をしており、調査結果は高い数値が出ているように感じています。
しっかり社員の声に耳を傾け、できる取り組みをしっかり実行し、社員のやる気を引き出し、生産性向上につなげたいと考えています。
健康経営への取り組み

当社の事業は食に関わっており、健康経営はとても重要な位置づけです。
お陰様で、大規模法人部門のホワイト500に認定されました。
東京証券取引所に上場する食品セクターに属する企業は130社、そのうち23社だけがホワイト500に認定される狭き門ですので、この認定は誇らしく思っています。
地域貢献活動

ここからは地域貢献活動についてお話しします。
マラソンヘの協賛、こども食堂、フードバンクへの寄付、食育講習会なども積極的に実施しています。
企業PR活動

知名度向上のため横浜スタジアムへの看板や各種広告にも力を入れています。
株主還元方針と配当推移

では最後に株主還元方針についてご説明します。
株主還元方針は昨年見直し、従来の「配当性向25パーセント以上」から、「DOE3パーセントを目標とした累進配当」へ方針変更しました。
今後は新しい方針のもと、着実に配当を積み増していく所存です。
株価とPBR推移

株価は、今年度に入り1,000円台に回復し1,000円台が定着してきています。
一方、PBRやEV/EBITDA倍率など各指標ではかなりの割安な値となっており、配当利回りも4パーセント以上となっています。着実に業績を積み上げ、信頼を得られるよう努力していきます。
財務の健全性

財務の健全性についてご説明します。
2025年度の中間期で自己資本比率は46パーセント、ネットDEレシオは0.28倍となっています。
今後、積極的に設備投資をしていきます。基本的には営業CFで賄いますが、財務基盤は確立されていることから有利子負債もうまく活用していきます。
おいしさのみなもと FEED ONE

これをもちまして、私の説明を終わります。
質疑応答:第1次産業への投資について

質問者:投資というと第2次・第3次産業を考えてしまいますが、第1次産業も投資するにたり得るものですか?
窪田:冒頭で日本人のカロリーベースのタンパク質の供給についてお示ししましたが、日本人は非常に多くの畜水産物を消費しています。これを支えているのは生産者のみなさまですが、家畜や養殖魚が食べる飼料は私たちが製造しています。
その製造工場は非常に老朽化しており、生産効率も著しく低下しています。また、老朽化を理由に撤退していくメーカーも少なくありません。私たちは、日本人のタンパク質供給をしっかり支えるという使命のもと、新たな工場への置き換えを進めています。
一方で、建設費の高騰や建設期間の伸長が課題となっています。
ただし、私たちは民間のNo.1メーカーとして、財務の健全性を維持しつつ、投資家のみなさまにご心配をおかけしないキャッシュフローの範囲内で、投資をしっかりと進めていきたいと考えています。
投資により製造効率が向上すれば、飼料価格の低下につながり、それが畜水産物の安定供給にも寄与すると考えています。
質疑応答:畜水産業の現状と発展性について
質問者:飼料の供給についてよくわかりました。実際に飼料を使用している第一線の現場はどのような状況でしょうか? 日本において発展性はありますか?
窪田:鋭いご指摘をありがとうございます。畜産業および養殖業の生産者の数は急速に減少しています。一方で、生産量は横ばい、もしくは増加しています。基本的には大規模化が進んでいる状況です。
養鶏は大規模化が顕著で、養豚の大規模化も進んでいます。一番遅れているのは酪農関係で、離農が進んでいる状況ですが、日本にとって欠かせない畜産物ですので、こちらも大規模化が進んでいくと思われます。
したがって、生産者の数は減少している一方で、畜産物の供給量は増加しているというのが実態です。
質疑応答:畜水産生産者の支援方法について

質問者:三井物産と御社が良好な関係を構築して農家を支えるとのことでしたが、農家を直接支えることはないのでしょうか?
窪田:私どもが一番力を入れているのは技術提供です。技術によって畜産物の成果は驚くほど変わります。例えば乳牛の場合、1年で搾乳される量は、飼料の内容や与える時間、飼育方法によって大きく変わります。
当社の社員のほとんどは、畜産や水産を大学で学んでいます。毎年25名から30名程度を採用していますが、今年の内定者のうち半分は院卒です。彼らが技術指導を行うことで、日本の畜産業や養殖業の生産性は大きく向上すると考えています。
安価な飼料を大量に販売するだけでなく、少し高価でもお客さまの生産性の向上につながることが、私たちの目指すところだと考えています。
質疑応答:水産飼料事業の今後の展望と食品事業における水産物の取り扱いについて

質問者:畜産飼料事業と水産飼料事業の売上構成比は8対1ですが、今後の展望として、特に水産飼料事業の成長について考えをお聞かせください。また、食品事業は畜産物が中心だと思いますが、将来的に水産物を取り扱う可能性はありますか?
窪田:水産飼料事業は今後、非常に大きな成長が期待されています。昨今のニュースでもよく取り上げられていますが、陸上養殖や沖合での大規模な養殖といった新たなビジネスが台頭していますので、成長の可能性があると考えています。
また、水産物は、水産飼料事業の中で若干ではありますが取り扱っています。魚は市場がありハードルが高い面もあるため、大きなシェアには至っていないものの、このような分野に強みを持つ会社と協力し、下流の取り組みを進めていきたいと考えています。
質問者:そのような意味では、投資という観点でも、飼料製造からさらに発展し、養殖事業を自ら手がける考えはありますか?
窪田:農場の経営も一部行っていますが、一次産業を自ら経営するには相当な覚悟、大きな資本が必要だと実感しています。当社は過去に養殖事業に取り組んだ経験がありますが、中途半端に取り組むと失敗してしまいます。一次産業の厳しさもあるため、慎重に判断していきたいと考えています。
質疑応答:昆虫飼料について

質問者:昆虫飼料の可能性についてお話がありましたが、人間が食べるような昆虫食は考えていますか?
窪田:魚が昆虫を飼料として食べるということで、人間が直接食べるということではありません。昆虫タンパクが一時の流行りで、昆虫を使ったハンバーグなどもありましたが、やはり人間には少し抵抗感があると思います。
一方で、例えば川魚はもともと昆虫を食べています。そのような意味からも、昆虫の原料をすべて使うのではなく、一部を配合することで効果が得られます。
実は、大手の回転すし等の外食企業では非常に注目されています。海の魚は魚を食べて育ちますが、天然資源の保護という観点から、環境問題に関連して代替タンパク質としての昆虫が非常に注目されています。
質疑応答:株主優待の実施について

質問者:中部飼料は3月と9月に株主優待がありますが、御社でも株主優待の実施は考えていますか?
窪田:株主優待については、一切否定するものではありません。株価向上の施策の1つと考えています。
一方で、今年度から株主還元方針を累進配当へ変更して、毎年配当を増やしていく方針を5月に発表しています。今年は1株当たり42円の配当ですが、来年以降も着実に積み増し、まずは累進配当への取り組みに正面から注力していきたいと考えています。
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