【質疑応答】株式会社FUNDINNO(462A) 新規上場記者会見
株式会社FUNDINNO
設立:2015年11月
事業内容:株式投資型クラウドファンディングや未上場株式の取引プラットフォームを提供する証券業として、「FUNDINNO」「FUNDINNO PLUS+」「FUNDINNO MARKET」「FUNDINNO MARKET PLUS+」、および「FUNDOOR」の運営ならびに「MUFG FUNDOOR」の開発業務を手がける。
登壇者名
株式会社FUNDINNO 代表取締役CEO 柴原祐喜 氏株式会社FUNDINNO 代表取締役COO 大浦学 氏
株式会社FUNDINNO 執行役員CSO 平石智紀 氏
質疑応答:株価に対する受け止めについて
質問者:初値の883円は、公開価格の620円を大幅に上回りました。まずはこの結果についてご感想をいただけますか?
柴原祐喜氏(以下、柴原):率直にありがたいと思いつつも、当社がまず向き合うべきところは、事業を成長させることと、金融プラットフォームの完成度を高めていくことだと考えています。それを実現し、しっかりと株価を向上させていくことによって、投資家さまに還元していきたいと考えています。
ですので、株価というよりは、次の世界へ羽ばたくための準備にコミットしていきたいという思いを強く持っている状況です。
質疑応答:金融市場における今後の展望について
質問者:米国では未上場企業の取引や資金調達がかなり活発かと思います。御社は金融プラットフォームを運営されていますが、金融市場の中で今後、どのような存在になっていきたいのかをあらためて教えていただけますか?
柴原:我々が担っていくポジションで言いますと、未上場株式市場においては、各発行会社さまの資金ニーズを埋めることが重要であると考えています。
加えて、この資金ニーズを埋めるということは、投資家さまの信頼をいただかなければなりません。今後当社は継続的に投資家さまの信頼を獲得し、その信頼をもとに、発行体のニーズをしっかりと埋めていけるような状況を目指していきたいと考えています。
質疑応答:このタイミングで上場を決めた理由について
質問者:今のタイミングで上場を決められたのは、どのような理由からでしょうか? 以前の発行価格が1,000円で、今回はそれよりやや下回っていたということで、もう少し待っても良かったのではないかと思いました。
柴原:タイミングとしては2点あります。1点目は、今期の業績が示しているとおり、黒字化が実現できる見込みがあるとして、今回の判断に踏み切りました。
2点目が、当社に対する仲介業者、特に官庁からの期待が増していると捉えているためです。
昨今、東京証券取引所の基準変更などの影響により、IPO件数は減少傾向にあります。その結果、未上場株式、特に上場間近のレイターステージ企業が市場にとどまるケースが増え、こうした企業の資金ニーズは一段と高まっています。当社としては、これらのニーズに応えるために、未上場株式市場の整備を進めていくことに強い責任を感じています。
一方で、この市場を健全に発展させるためには、まず当社自身が株式を公開し、市場からの厳正な評価やご意見を受けながら成長していくことが不可欠だと考えています。公開にあたっては、コンプライアンスやガバナンスの継続的なアップデートが求められますが、そのような体制を実現するためにも、このタイミングでの上場という判断に至りました。
質疑応答:これまでのイグジット実績について
質問者:運営されている金融プラットフォームにおいて、今までで出口が決まった企業の実例はありますか?
平石智紀氏(以下、平石):我々のプラットフォームには「FUNDINNO」と「FUNDINNO PLUS+」があります。
「FUNDINNO PLUS+」においては、公開されている中にはまだIPOの実績はありません。サービス自体が本格的にスタートしてから1年強というところですので、今後にご期待いただければと思いますし、近いうちに実績の出る見込みの案件もあると考えています。過去事例として、買収というかたちで実現している例は1件あります。
「FUNDINNO」においては、アーリーステージ企業の案件を主に扱っており、上場までに5年から10年ほどかかるケースが中心です。この中では、TOKYO PRO Marketにおいてですが、2件ほど上場を果たしています。
他にも、上場企業による買収(M&A)や、次の投資家さまへの株式譲渡といった形式でイグジットが実現した案件があり、これらをTOKYO PRO Marketの事例と合わせると、合計で14件があります。
これ以外にも、イグジットとは異なりますが、我々は「FUNDINNO MARKET」という独自のマーケットを運営しており、未上場株式を売買ができるようにした事例が10社強あります。以上が実績で、今後さらに事例を増やしていきたいと考えています。
質問者:TOKYO PRO MarketへのIPOが2件、M&Aなどが12件、合わせて14件ということですね。
平石:はい、合わせて14件です。
質疑応答:GMV拡大に向けた今後の戦略について
質問者:「FUNDINNO PLUS+」の本格稼働が、足元の業績急拡大の大きな要因と認識しています。特に、大型案件の創出や特定機関投資家の増加が背景にあると思われますが、これまでどのように増やしてこられたのか、また、今後どのような戦略で増やしていくのかをお聞かせください。
加えて、成長戦略におけるGMVのさらなる拡大について、現在のGMVの水準と、今後どのように拡大していくのか、その具体的な戦略についてもご説明いただけますでしょうか?
柴原:まず、投資家さまを増やすというところで言いますと3つの方法があります。1つ目に、「FUNDINNO」では原則、対面販売が禁止されており、これまで10年間行ってきたのはオンライン中心による集客です。比率としては全体のおよそ70パーセントがWeb経由であり、この集客方法は非常にユニークだと自負しています。
2つ目に、「FUNDINNO」の口座開設数はおよそ5万口座あり、その中で特定投資家さまになり得る方に丁寧にお声がけして、特定投資家さまの数を増やしています。
3つ目に、投資家さまのご紹介による集客方法もあります。こちらは当社の1つの強みと考えていますが、上場前の株主数は個人と法人合わせて240名でした。
我々の金融プラットフォームでは、多くの株主さまに支えられてともに成長を図っていくことを掲げており、当社自身も多くの株主さまとともに市場を整備してきたという思いがあります。そうした株主さまが投資家になってくださったり、ご紹介をしてくださったりというところで、特定投資家さまの集客を実現しています。
平石:GMVについては、2023年10月期以降の推移を目論見書に開示しており、今後も情報開示を継続していく予定です。特定投資家制度の導入以降、特定投資家数は数年で数倍規模に増加しており、それに伴いGMVも年々大きく成長し、昨年度第3四半期の段階で97億円弱というGMVが出ています。この数値のとおり、昨年度もGMVベースで順調な成長を続けていると認識しています。
当年度の業績は、公開されているGMVに基づいて算出しており、足元の継続的な成長を保守的に見込んで推移を出しています。特定投資家さまの増加に加え、案件数が増加することで、特定投資家さまお一人あたりの投資件数も1件から2件、3件へと増加する傾向にあり、結果として現在、GMVは順調に増加しています。
質問者:「FUNDINNO PLUS+」は、通常の個人投資家向けの「FUNDINNO」より大型案件で、金額自体が大きくなっていくかと思います。特定投資家の増加についてはWeb経由と紹介からが中心ということですが、案件の獲得についてはいかがでしょうか?
柴原:案件の獲得に関しても同様に、紹介経由が多くなっています。こちらも当社サービスに参画する投資家さまが多い点が強みとなっています。これに加えて、従来の獲得方法として、良き案件に対しては当社がアプローチする手段と、Web経由での獲得があります。
まとめますと、発行体さまの獲得で1番ボリュームが多い割合はご紹介、次いでWeb経由、最後に当社自身が直接案件にお声がけする、この3つの手段があります。
質疑応答:株式投資型クラウドファンディングにおける規制について
質問者:株式投資型クラウドファンディングについては、これまで段階的に規制緩和が進み、1億円の上限枠の撤廃も予定されています。このような規制環境について、すでに十分に整備が進んだとお考えでしょうか? それともまだ改善すべき点や、さらなる緩和を望まれる点があるのでしょうか?
柴原:現状の規制は、まだ十分ではないと考えています。
ご指摘のとおり、株式投資型クラウドファンディングの上限額は1億円から5億円へと緩和されていますが、これは監査法人による簡易監査を条件とした、限定的な適用にとどまっています。このような条件が付くことで、発行体が実際に5億円規模の調達を行おうとした際の使い勝手が十分とは言えないと感じています。そのため、当社としては、今後もこの領域における規制緩和が進むことを期待しています。
一方で、当局が制度整備を進めてくださったJ-Shipsについては、非常にありがたく受け止めています。
余談になりますが、当社の「FUNDINNO」は、第一種少額電子募集取扱業務に該当します。当サービスは公募に分類され、本来は有価証券報告書の提出義務が発生するのですが、第一種少額電子募集の範囲内であれば提出義務が免除される特徴があります。その一方で、投資上限をお1人あたり50万円とすること、また、簡易監査を行えない場合は発行体の調達額が1億円までに制限されることなど、いくつかの規制が存在しています。
このような制約がある中で、当社のGMV拡大を強く支えているのが「FUNDINNO PLUS+」です。こちらはJ-Shipsによるスキームを用いており、特定投資家であれば投資上限がなく、発行体側も募集額に制限がないという仕組みになっています。この制度により、旺盛な資金需要を抱える発行体のニーズに、当社として一定程度応えられるようになってきたと考えています。
つまり、規制が適切に緩和されれば、当社の数字が示しているようにGMVはさらに拡大し、それはそのまま発行体の資金調達機会の拡大につながります。国内で次世代産業を担う企業を育成していくためにも、引き続き規制緩和は必要であると捉えています。
質疑応答:未上場株式市場の3つの課題と解決策
質問者:資料6ページにて、未上場株式市場の課題として「リスクマネー供給量の不足」「情報の非対称性」「株式流動性の欠如」という3つを挙げていらっしゃるかと思います。これらの課題に対して、具体的にどのように解決していきたいとお考えでしょうか?
柴原:これらの課題を解決するために3つの領域で事業を展開しています。
「リスクマネー供給量の不足」に対しては、プライマリー領域を構築しています。投資家が未上場企業に直接アクセスし、資金を供給できる仕組みを「FUNDINNO」や「FUNDINNO PLUS+」といったサービスで実現することを1つの手段として、リスクマネーの供給量増加を目指しています。
これまでは「家計」から複雑なルートを経て未上場企業へ資金が流れる構図でしたが、投資家から直接未上場企業へ流れるようにと変革するのが、このプライマリー領域の役割です。
続いて、「情報の非対称性」を解消するのがグロース領域です。こちらは特にディスクロージャー関連のサポートも行っています。最後に、「株式流動性の欠如」に対応するのは、その言葉の示すとおりセカンダリー領域です。
当社はこれら3つの課題に対し、3つの領域を展開し、さらにそれらをアップデートしていくことで解決を図っていきます。
質問者:「家計」とは、具体的にどのようなことでしょうか?
柴原:語弊がないように言いますと、個人の方々が投資にアクセス可能にするということです。
質疑応答:流通総額拡大に向けた施策について
質問者:セカンダリー領域について教えてください。先ほど、流通総額の拡大に向けて、個人から法人・機関投資家へ枠を拡大というお話がありましたが、これは具体的にどのようなことでしょうか?
柴原:「個人」と「法人」という点については具体的に、上場企業のCVCを担っているような企業さまへの拡大を指しています。
スタートアップ投資は、法人投資家さまの視点では単なる投資にとどまらず、戦略的な資本業務提携を通じた業界拡大を目指すケースがあります。そのようなニーズを的確に捉えることで、法人投資家さまの数を増やしていきたいと考えています。
企業の規模感にもよりますが、個人投資家さまと比較すると、1単位あたりの投資金額は法人投資家さまのほうが大きくなるのが一般的です。そのため、まずは大きな投資金額を出せる法人投資家さまへのアプローチを進めていきます。
また、投資法の改正により、現在は未上場株に対して投資信託で15パーセントまで投資できるというルールもあります。これを踏まえ、当社との連携によって当社の銘柄を選定していただけるようにしていきたいと考えています。
もう少し広い視点では、当社のプラットフォームは、スタートアップの銘柄が棚に並んでいる状態をご想像いただければと思います。買い手は個人投資家さまでも、法人・機関投資家さまでも構いません。
したがって、当社としてはターゲットを個人だけに限定するのではなく、法人・機関投資家さまへも拡大することで、確実にGMVの拡大を実現していきたいと考えています。
質疑応答:J-Shipsの利用状況について
質問者:流通総額に直接関係するのかわかりませんが、日本証券業協会(日証協)が発表しているJ-Ships(特定投資家向け銘柄制度)の利用状況は月間1件程度です。これはプライマリーの数字として理解すべきなのか、あるいは実質プレイヤーが2社しかいない中で回しているのか、あまり盛り上がっているようには見えないと感じています。
平石:J-Shipsによる取り扱い件数について、月間1件というのは正確ではありません。日証協が公表しているデータのうち、「株券」の区分に該当する取り扱いは、過去に一度2社体制であった時期があるものの、2024年6月以降は当社が事実上1社で担っており、現在は当社だけで月間3件程度の取り扱い実績があります。
また、株券以外にも、新株予約権付社債、投資信託、外国投資信託など、他の区分での取り扱いは当社ではなく、証券会社が投信会社と連携して実施しています。
さらに、直接販売に該当する「株券」の取り扱いについては、当社が中心となりつつも、裏側では当社と連携しているパートナー企業も存在しており、実際には取扱件数・取扱種類ともに着実に増加してきています。こうした状況から、足元ではJ-Shipsの活用が広がりつつあると感じています。
質疑応答:地銀系VCとの関係について
質問者:法人投資家の中で、既存株主に地銀系VCがいらっしゃいます。先ほどお話にあった、戦略的な提携を行う法人投資家というターゲット層とは少し性質が異なるのではないかと感じていますが、いかがでしょうか?
柴原:当社が地銀さまと連携している理由は、地方へのアクセスを強化していきたいという目的があるためです。
特に「FUNDINNO」においては、企業さまの中にはIPOやM&Aによるイグジットを目指すケースだけでなく、それらが必ずしも最適解にならないケースも一定数存在します。その背景には、地域から必要とされる企業の場合、必ずしもIPOやM&Aが望ましい選択肢ではないという事情があります。
一方で、そのような地元に必要とされる企業を「みんなで応援しよう」という投資家さまも一定いらっしゃいます。そのようなニーズを確実に拾い上げるために、地方に強い地銀さまとの連携を深めているという側面があります。
また別の観点として、もし地方の優良企業が将来的にIPOを目指す場合、資本が都内に集中しており、そのため東京のネットワークへのアクセスが不可欠という現実があります。
当社は都内アクセスの面では一定の強みがありますが、反対に、地方企業への直接的なアクセスは現状そこまで強くありません。そこで、地方に強い地銀さまと連携することで、全国各地の有望企業や情報にアクセスし、案件開拓につなげていくことができると考えています。
ですので、地銀さまとの連携は当社にとって非常に重要であり、必要不可欠なパートナーシップであると認識しています。
質疑応答:リスクマネー市場における差別化について
質問者:リスクマネー市場のポテンシャルについてですが、従来型の証券会社でも未上場株を扱い始めている中で、御社サービスとしての差別化についてはどのようにお考えでしょうか?
柴原:まず前提として、従来型の証券会社を競合として捉えているわけではなく、むしろ協業ができる相手だと考えています。先ほどお伝えしたとおり、当社はプラットフォームとして未上場株、特にスタートアップ株を「棚に並べる」イメージでサービスを提供していますので、証券会社とは競い合うというよりも、協業関係を築いていくような動き方をしています。
そのうえで差別化という点に触れますと、まず1つ目にスピード感があります。当社の場合、お申し込みをいただいてから着金まで、最短で約1.5ヶ月という迅速な進行が可能です。
2つ目に、発行体にかかる負担の軽減があります。資金調達の過程では、デューデリジェンス資料の準備や、複数投資家から同時にデューデリジェンスを受ける対応など、非常に煩雑で時間を要する作業が発生します。レイターステージの企業になるほど、代表やCFOがこれらに割ける時間は限られてきますが、当社ではそのような作業を一括して引き受けています。これにより、「椅子に座ってお待ちいただければ資金調達が完了する」というような世界観を確立しています。
さらに、当社では個人や法人の方々が未上場の段階から直接株主になっていただける点も特徴です。ファンド経由の間接投資になると、企業との連携や個人からの応援が届きにくくなりますが、直接株主になっていただくことで、企業にとっては事業紹介や連携の機会が広がるメリットがあります。
実際に当社自身も約240名の株主さまに支えられており、案件や投資家さまのご紹介、事業面での相談など、すぐに連携できるようなポジションを確立しています。
こうした背景から、当社としては従来型の証券会社とは協業関係を築きつつ、スピード感、発行体の負担軽減、直接株主の価値といった点で独自性を発揮してサービスを展開していると考えています。上場前から直接株主を集められる点は大きなメリットとして、当社の1つの強みとして打ち出していきたいと考えています。
質疑応答:IPO件数減少が事業に与える影響について
質問者:IPO自体が減っている中で、規模感としてはより大型案件に寄っている印象があります。御社にとってこれは逆風なのか、それとも一部は追い風にもなるのか、そのあたりをどのように見ていますか?
柴原:端的に、当社にとってはプラスになる部分が大きいと考えています。もちろん、IPOを目指している発行会社さまの中にはこの状況に悩まれている企業もおり、全面的にプラスだと言い切ることは難しいのですが、事実として、証券取引所に上場した会社の1社あたり平均公開価格について、2年前の2023年では時価総額60億円前後だったものが、2025年では約100数十億円と、上場に求められる規模感が徐々に大きくなってきています。
加えて、グロース市場の上場件数も40数社程度と、過去と比較して減少傾向にあります。こうした状況を踏まえると、今後レイターステージの企業が上場を目指しながらも、滞留する状態が発生していくと予想しています。
このレイター企業というのは、当社にとってまさにターゲットとなる企業層でもあります。そのような企業が増加傾向であることは、当社にとっては事業拡大のチャンスとして捉えることができます。
質疑応答:利用者の属性について
質問者:お答えいただける範囲で構わないのですが、「家計」と言いますか、個人株主の解放という観点でおうかがいします。御社のサービスを利用されている方は、例えば上場株である程度の資産をお持ちのうえで未上場株にも関心を持たれている方が多いのか、あるいは未上場株そのものに強い関心を持つ方が中心なのか、利用者の性質について教えていただけますか?
柴原:まず当社では原理原則として、KYCの確認と投資家適正性の確認を行っています。未上場株は非常にリスクが高く、流動性も乏しい商品ですので、一定の金融資産や投資経験をお持ちの方のみを投資家として登録いただいています。
ご回答としては、一定の投資経験をお持ちの方のみが当社サービスを利用されているという状況です。
質疑応答:競合の状況と市場シェアについて
質問者:基本的な質問で恐縮ですが、この領域の同業者についておうかがいします。以前はもっと多くのプレイヤーがいたような気がしますが、現在は2社ほどしか残っていないのでしょうか? 競合関係について教えていただきたいです。
柴原:おっしゃるとおり、過去には同じ領域で競合となる事業者が複数いました。しかし現在では、当社のシェアが大きく伸びており、「FUNDINNO」では約90パーセント、「FUNDINNO PLUS+」では2025年時点で100パーセントのシェアを獲得しています。
プラットフォーム型サービスの宿命だと思っていますが、どうしても一強多弱の構造になりやすく、当社サービスも実際にそのような状況となっています。
質疑応答:日本のスタートアップ振興における「最後のパーツ」について
質問者:やや抽象的な質問になりますが、日本では以前は「ベンチャー企業」、最近は「スタートアップ」という言葉が定着し、スタートアップを振興しなければならないという議論は20年、30年前から続いてきました。しかし、実際にはユニコーン企業の数で見ても、英国や米国とは依然として二桁規模で差があります。
国もさまざまな政策を打ち出しており、大学発ベンチャーへの支援なども行われていますし、最近では岸田政権時代にスタートアップ支援が強く打ち出されたものの、大きな差が埋まらない状況が続いています。
そのような中で、御社は「スタートアップに継続的なリスクマネーを供給できる仕組みを構築する」ということを目指して、今回の上場に至ったと理解しています。
そこでおうかがいしたいのですが、日本のスタートアップエコシステムを前進させるうえで、御社の取り組みが「最後のパーツが整った」と言えるような手応えや自負はお持ちでしょうか?
柴原:まだ「最後のパーツが完全に整った」と言える段階には至っていないと考えています。ただ一方で、その一助となる取り組みを今後も粛々と続けていきたいと思っています。
当社が大切だと考えているのは、個人の投資家さまがスタートアップに、1社でも構いませんので投資をし、その企業を自分ごととして捉えていただくことです。こうした関わりが、スタートアップ環境の土壌を育んでいくと考えています。
当社が2015年頃に事業を始めた当時は、まだ「ベンチャー企業」という言葉が一般的で、海外スタートアップの成功事例が身近に語られる状況でもありませんでした。しかし、投資を通じてスタートアップに興味を持つ方が増えれば、「自分もスタートアップで働いてみたい」と思う方が現れてきて、人材がスタートアップに流れ込み、その企業の成長を支える存在になる可能性もあります。
また、投資を通じた関わりがきっかけとなり、「起業してみよう」と考える方や、スタートアップから声をかけられた際に「自分も参画してみよう」と思う方が出てくることも十分考えられます。このように、投資を入口として裾野が広がることが、非常に重要だと考えています。
そして、自分が投資した企業であれば、多くの方は自然と真剣に見守るようになります。その積み重ねが、スタートアップを身近に感じる土壌をつくり、いわば「最後のピース」がはまり、スタートアップの世界が社会の中で当たり前の存在になっていくのではないかと思っています。
米国との大きな違いは、「スタートアップ」と聞いたときに、まだ多くの人にとって距離感がある点だと感じています。本来はもっと身近で、起業が当たり前だったり、次世代産業を担う企業に入ったりすることが自然な選択肢であってよいと思いますし、副業など多様な関わり方も増えています。
まだまだ厳しい道ではありますが、少しでもスタートアップに触れる人が増えれば裾野が広がり、米国のように世界で通用する企業が生まれるきっかけにもなると考えています。
質疑応答:10年後の収益計画とマーケットの確立について
質問者:収益計画についてうかがいます。10年後の姿として、もちろん市場規模にもよるとは思いますが、大まかなイメージがあれば教えてください。
柴原:具体的な数値をお伝えするのは難しいのですが、当社の存在感という観点でお答えすると、10年以内にこのマーケットをしっかりと確立し、未上場株式市場と上場株式市場の境目をなくしていくことを目指しています。
実現のためには、未上場株式であっても上場株式市場と同等の機能を実装していく必要があると考えています。これが実現していけば、新たなリスクマネーの供給が生まれ、ひいては日本において新しい金融の構造を提示できるのではと考えています。
そのような市場規模や仕組みを10年以内に実現したいというのが、当社の考えです。
質疑応答:VCとの関係性について
質問者:株式投資型クラウドファンディングでは高いシェアを持ち、J-Shipsでも100パーセントのシェアというお話でした。一方で、御社は証券会社としての業態ですが、別カテゴリーとしてベンチャーファンドも存在します。この両者の関係はどのように整理して理解すべきでしょうか?
柴原:VCさまのことを指しているかと思いますが、VCはGPとLPという関係で構成されるファンドという仕組みです。つまり、GPがLPから資金を集め、その資金を複数のスタートアップに投資するという形態になります。
一方、当社は仲介会社であり、投資の買い手は個人でも法人でも構わないという点でVCとは立場が異なります。また、J-Shipsの領域においては、VCさまから案件をご紹介いただき、同じラウンドで投資を行う、いわゆる協調投資の形式が近年確立しつつあります。
ですので、VCさまと当社の関係は競合ではなく、案件をシェアしながらともに投資を行う関係であると捉えています。
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