中央倉庫、樹脂・精密機械の輸出入取扱いの拡大により国際貨物が増収増益 新倉庫への投資で成長加速へ
目次

※本決算説明会は、日本証券アナリスト協会大阪事務所北浜フォーラムで実施したものです。
谷奥秀実氏(以下、谷奥):みなさま、本日は株式会社中央倉庫の2026年3月期上期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長執行役員の谷奥です。
本日は短い時間ではありますが、スライドの7項目に沿ってご説明します。よろしくお願いします。
経営環境の認識(2025年度上期)

まず、経営環境の認識についてご説明します。スライドは、2026年3月期上期の経営環境について、日本経済、世界経済、物流業界の観点から当社の視点で簡単に整理しています。
日本経済では、企業収益や雇用が改善されています。特に、初任給のアップが見られるなど、非常に改善されたと感じています。また、インバウンド需要の恩恵を大きく受けており、回復傾向にあると考えています。
ただし、物価の継続的な上昇、特にお米を筆頭とした食品価格の上昇は、個人消費の低迷や停滞を引き起こしており、重要な課題となっています。また、トランプ氏の関税政策は、当社にも少なからず影響がありました。それ以外にも経済に大きな影響を与える要因は多々あると考えています。さらに、ウクライナをはじめとする地政学リスクの影響も、日本経済に少なからず影響を及ぼしています。
世界経済では、アメリカで依然として高金利が維持されているものの、若干見直しの兆しが出ています。一方、中国の経済停滞は当社にも影響を及ぼしており、世界経済が注目すべき点だと思っています。また、日本経済でもお話ししたとおり、地政学リスクの問題も挙げられます。
こうした状況を踏まえて物流業界についてまとめると、やはり個人消費の停滞が一番大きな影響を及ぼしていると考えています。その影響がじわじわと表れ、物流業界全体が伸び悩んでいます。後ほど詳しくご説明しますが、「伸び悩む」と表現しているとおりで、昨年より下がっているわけではありませんが、増加は見られません。また、物流業界ではすべてに燃料費がかかりますが、人件費についても先ほどご説明した状況のとおりで、コストの上昇が大きな負担となっています。
経営環境の認識(2025年度上期)

次に、入庫、出庫、保管に関わる内容です。国土交通省が普通営業倉庫に関して主要21社の平均値(グランドトータル)を算出しています。
入庫高は前年同期比で若干増加しています。一方で、出庫高が伸び悩んでおり、前年同期比0.6パーセントの増加にとどまりました。保管残高については、入庫が多いことから前年同期比で増加しています。
しかし、倉庫会社の経営は、入庫・出庫・保管が循環することで成り立っているため、この増減のバランスによっては、数字的にシビアな状況になると感じています。また、すべてが増加すればよいというわけではなく、当上期の状況はバランスを少し欠いている印象です。
2026年3月期上期の実績<連結業績>

上期の実績についてご説明します。スライドは連結の業績となります。営業収益は141億3,600万円、営業利益は11億2,600万円という結果でした。前年同期と比較すると、営業収益はやや増加しましたが、営業利益は前年同期比6.7パーセント減少しており、残念ながら厳しい結果となっています。
2026年3月期上期の実績<連結業績>

業績の概要をご説明します。営業収益の伸びは控えめではありますが、料金の適正化や値上げ交渉が引き続き寄与しています。また、新規事業に取り組むなど、新しい仕事を進めています。既存の荷主においてもサプライチェーンの見直しが進められており、そうしたことも制約要因となっています。そのため、中間期の営業収益は前年同期比1.6パーセントの増加にとどまりました。
営業利益については、日本経済の経営環境認識でも説明した、人件費の増加が影響を及ぼしています。当社も初任給の引き上げやベースアップを行っています。
また、費用の増加により、やや圧迫を受けている状況です。後ほどご説明しますが、子会社が運送部門を持っており、トラックの新規購入をしています。その結果、減価償却費が増加し、また、システムの業務委託費が増加しています。当社は古いシステムを使用しているため、基盤を再度見直して作り直す取り組みを進めています。
経常利益は前年同期比0.3パーセント減となりました。減少幅がやや圧縮された理由としては、配当や受取利息、リース契約を解約したことが影響しています。ただし、それでも前年同期並みには達していない状況です。
一方、中間純利益は前年同期比35.5パーセント増と前年同期を大幅に上回っています。これは、前年同期に投資有価証券評価損を計上したことが要因です。また、先方の都合で関係会社の株式を売却しましたが、その際損失が発生しています。それらの結果、前年同期の中間純利益と比較すると大幅な伸びとなりました。
ただし、営業利益が減少している点については、依然として厳しい状況であることは否めません。
2026年3月期上期の実績(国内物流事業)

国内物流事業の実績です。当社には国内物流事業、国際貨物事業、不動産賃貸事業の3つのセグメントがありますが、このうち最も大きなセグメントが国内物流事業です。国内物流事業には倉庫と運送が含まれます。
当社の動きを見ると、先ほどの主要21社とは若干異なります。具体的には、入庫高は若干減少しています。これは物流会社主要21社すべてが同じ動きをするわけではないためです。
一方、出庫高は前年同期比で若干増加しました。しかし、入庫高が減少し出庫高が増加しても、全体の回転率を上げなければ利益や収益にはつながりにくいため、ややバランスが悪い状況といえます。
入庫高が減り、出庫高が増えることで保管残高は減ると感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは前年同期との比較のため、当上期と2025年3月期下期で増えていれば、全体としては当然増えていることになります。実際には直近の2025年3月期下期に増えていることから、保管残高自体は前年同期比で増加しています。
運送取扱数量は前年同期比6.5パーセント減少しました。これは、先ほどご説明した倉庫と輸送に関する部分が減少したことが要因です。入庫と出庫のどちらにおいても輸送業務を行っており、この部分は増加しましたが、それを相殺するかたちで減少が響いている状況です。
また、一番大きな要因は倉庫以外での輸送業務が減少したことです。工場直送などのさまざまな取り組みにおいても現在の日本経済が反映されており、倉庫外での経済活動があまり好調ではなかったことが影響しています。
2026年3月期上期の実績(国内物流事業)

国内物流事業の営業収益は113億5,200万円で、前年同期比0.7パーセントとわずかに増加しています。料金改定、新しい業務の追加、既存業務の深掘りなどさまざまな取り組みを行った結果により、増加しました。
一方、営業利益は前年同期比4.1パーセント減少しました。人件費や燃料費などの増加が影響しました。
2026年3月期上期の実績(国際貨物事業)

国際貨物事業の実績です。国際貨物事業では、一部の通関業務や輸出に関連する梱包業務を行っています。輸出入の取扱数量は前年同期比で5.6パーセント増加し、輸出梱包取扱数量は前年同期比で9.2パーセント増加しています。
特に、輸出入取扱数量の輸出部分の伸びが顕著で、前年同期比16.4パーセント増加しました。これは、得意先さまの精密機械などの海外輸出が増加したことが起因しています。特にヨーロッパでの取引が多く、米国にも出荷しています。
輸入についても前年同期比で若干増加しています。これは、当社がBtoB事業を主軸としており、ペット樹脂、すなわち化学品の取り扱いが非常に多い状況であることが起因しています。
当社はリサイクル物流事業、とくにペットボトルの廃棄物から再び樹脂を製造するという事業の物流面での参画に取り組んできました。しかし、その原材料が高額になっていることから、いわゆるバージン樹脂と呼ばれる原料の輸入が大幅に増えています。
もともと、リサイクルペット樹脂の取扱いは当社が取り組んでいた分野です。そのため、「リサイクル樹脂の取扱いもできます、バージン樹脂の取扱いもできます」ということで、輸入の取扱いが増加しました。
また、梱包取扱数量が増えている要因としては、先ほどご説明したヨーロッパ向けや米国向けの出荷が大幅に増加していることが影響しています。
2026年3月期上期の実績(国際貨物事業)

国際貨物事業の営業収益は前年同期比5.8パーセント増、営業利益は前年同期比3.6パーセント増となりました。
営業利益については、賃金や原材料費、特に梱包に関する費用の上昇が利益を圧迫し、前年同期比で800万円の増加にとどまりました。
2026年3月期上期の実績(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業は微々たるものではありますが、倉庫の跡地を貸し出しています。この跡地では、共立メンテナンスが「京都 梅小路 花伝抄」という名前で展開しています。建物はゼネコンと共同で建設し、土地と建物を貸し出しています。
当事業は非常に安定した収益を上げています。前年同期比は収益が若干減少しましたが、ほぼ差はなく安定収入となっており、他の2事業と比較しても非常に高い利益率を確保しています。ただし、全体のシェアで見ると、割合は非常に小さいです。
もともと当社は事業用地を多く所有しており、そこに倉庫を建設しています。京都の中心部に位置しており、隣接地にはJRの駅が開設されています。大型車が入りにくい立地のため、物流用地としては厳しいと判断し、新しい方向性を模索した結果、この手法を採用しました。特に目新しい取り組みではありませんが、今後も同様の取り組みを進めていく方針を掲げ、当事業を新たなセグメントとして設けることにしました。
2026年3月期上期の実績(キャッシュフロー、その他財務指標)

キャッシュフローについてです。大きな変動はありません。営業キャッシュフローは、減価償却費などによるプラス要因がある一方で、未払消費税等で減少しています。投資キャッシュフローは、定期預金を払戻しした一方、新規設備投資により減少しています。財務キャッシュフローは、自己株式の取得により減少した一方、長期借入の増加により、全体としては増加しています。
その他財務指標についても、特段大きな動きはありません。さまざまな評価が分かれるところではありますが、自己資本比率は増減により前年同期比で若干の上昇が見られました。これは保有株式の評価が大幅に上昇したことが要因です。
また、PBRは1.0倍を目指していますが難しい状況です。今後については、株価の上昇に向けた努力が必要だと考えています。この点については、後ほど資本コストと株価を意識した経営の施策としてご説明したいと思います。
2026年3月期上期の実績(設備投資の状況)

上期の設備投資の実績です。当中間期においては15億円の投資を行いました。詳細のご説明は省略しますが、愛知県あま市において土地を取得し、現在建築中です。竣工は2027年1月を予定しています。
また、「梅小路賑わいゾーン」という施設を建築しました。当社は、先ほどご覧いただいたホテル前の土地を所有していますが、この土地は京都市との連動が必要で、この件についても後ほどご説明しますが、5店舗が入居できるテナントを作り、現在3店舗が入居しています。
既存設備の改修としては、老朽化した倉庫の改修を進めています。また、減価償却のご説明で少し触れましたが、車両の入れ替えも行っています。こちらについても後ほど詳しくご説明します。
なお、中期経営計画期間中にはトータルで120億円程度の投資を見込んでいます。今期については下期でさらに12億円の投資を予定しています。
2026年3月期上期の実績(設備投資の状況)

設備投資の一例として、あま市に新倉庫を建設しています。名古屋の高速道路インターの近くです。この倉庫では、自動車や工作機械産業向けの素材・部品の取扱い獲得を目指しています。この分野を重要なターゲットとしています。また、名古屋港から約10キロメートルと近い立地を活用して輸出業務も取り扱う予定です。
2つ目は、子会社の中倉陸運が、ダンプアップトラクターと呼ばれる大型特殊車両の購入を進めています。現在の主流は、いわゆるウイング車と呼ばれる4トントラックや大型トラックですが、今回取り上げているのはダンプアップトラクターという別のタイプのトラックで、樹脂を詰め込むためのものです。詰め込み作業は当社倉庫で行い、その後工場へ運び、工場のサイロ内に樹脂を投入する仕組みとなっており、非常に現実的です。斜めにして投入するタイプのトレーラーで、現在6台導入しています。
以前は、詰め込む前のフレコンバッグでお預かりし、それを工場に持ち込んで中身を手作業で投入していました。しかし、この方法では数量の制約がありました。それに対してダンプアップトラクターは20トン程度を一度に収容できます。短時間で投入が完了するため、時間も短縮できます。この方式に対する要望が非常に多いため、このような設備投資を行っています。
下期の施策展開

次に、通期の見通しについてご説明します。スライドは、今年4月に開始した第8次中期経営計画で掲げた6つの成長戦略です。
1つ目は「成長分野への絶え間ない挑戦による新たな収益モデルの構築」で、営業を指します。先ほどご説明した輸入化学品の取り扱い拡大が非常に大きなポイントです。
国内では化学品の製造がほとんど行われなくなっており、輸入に頼ることが必要となる中で、物流ニーズが非常に高まっています。当社ではこうしたニーズに対応し、物流を提供しています。
また、樹脂関連、特にリサイクル物流については、豊通ペットリサイクルシステムズと連携して物流を展開しており、これが重要な役割を果たしています。
さらに、電機・電子材料や自動車部品といった成長産業貨物の取り扱い拡大にも取り組んでいます。この取り組みは、先ほどご説明したあま市の新倉庫の活用を視野に入れたものです。
2つ目は「国内外物流ネットワークの更なる拡充」です。当社の倉庫は関東、東海、北陸、関西、岡山に限られています。エリアの拡大は単独では難しいため、さまざまな企業とアライアンスを組みながら、営業が事業展開を進めています。また、あま市の新倉庫との連動でも営業促進を進めていきます。
さらに、東南アジアを中心とした三国間貿易案件の拡充に取り組みます。米国がさまざまな動きを見せる中、意外にもここでのビジネスは伸びています。なお、三国間貿易とは日本を介さない貿易を指します。例えば、中国からインドに輸送する、インドからタイに輸送するといった三国間貿易を当社で行っています。これをさらに拡充していきたいと思います。
3つ目は、倉庫会社として必ず求められる「高い業務品質・付加価値創出による収益性の向上」です。物流業界全体が抱える課題として、2024年問題をはじめとするさまざまな問題が浮上しています。今に始まったことではありませんが、特に人材不足はますます厳しい状況となっています。
また、専門人材の確保や離職防止にも取り組んでいます。離職率改善への取り組みについては、重要な課題としてあえてスライドに記載しています。今後も人的資本に対する施策をしっかりと実施していきたいと考えています。
下期の施策展開

4つ目は「情報システムの強化による高い生産効率の実現」です。これは、先ほどご説明した基幹システム刷新のための基盤整備です。これらはセキュリティの問題などを含んでいます。当社では現在も古いクローズドシステムを使用しています。これをオープン系のシステムに移行するために、まずは基盤整備が必要と考え、費用を投入して進めているところです。
また、運輸部門のシステム化も推進しています。これは人手不足に対応するための取り組みです。運輸部門は、いまだに電話でオーダーを受けたり、配車を属人的に行ったりしていることが多いため、システムを構築中です。
5つ目は「健全な財務体質の維持と資本効率を重視した財務・資本戦略の実行」です。自己株式取得や政策保有株式縮減の取り組みを継続的に実施しています。
6つ目は「サステナビリティ対応強化」です。当社では「TCFD提言に基づく情報開示」の活動を実施しており、年度ごとの目標値を設定しています。
また、人的投資として、働きやすい職場の実現に向けた施策を継続的に実施しています。具体的には、1on1ミーティング、エンゲージメントアンケート、福利厚生の充実など、さまざまな取り組みを進めています。これらは長期的に取り組む必要があり、今後も実施していきます。
下期の施策展開(配当実績・予想)

下期の配当についてお話しします。中期経営計画では、当期および今後の連結業績や財務面での健全性を考慮し、前期の配当額を維持または増配する「累進配当」を実施することを掲げています。
2026年3月期の中間配当は、前年同期の15円に対して1円増配の16円としました。これは当初の予想どおりです。先ほどの「中間純利益が伸びている」とご説明したことから「なぜ当初予想どおりなのか?」というご意見があるかもしれませんが、当期および今後の連結業績をしっかり見定める必要があるためです。
現在の営業利益の状況は少し厳しいため、現時点では前年同期比1円増配が妥当と判断しました。期末配当についても現段階で前年同期比1円増配の22円を予想しており、中間配当と合わせて年間38円、前期比2円増配を見込んでいます。「累進配当」に関連して配当を増やせるよう努力したいと考えていますが、現時点ではこの数字となります。
資本コストと株価を意識した経営について ~自己株式の取得~

資本コストと株価を意識した経営についてです。2023年6月に最初の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」をリリースし、2025年5月に2回目のアップデートを行っています。
これに関してはかなり真剣に取り組んでいるものの、結果がなかなか現れないため、市場での評価はわかれるところがあるかと思います。PBRの向上を目指すことを掲げ、PBRの向上に対してROE改善とPER向上の2つを目指しており、その中でもROEの改善については5パーセントという目標を設定しています。
現状はROE5パーセントを目指して取り組んでいるものの、前期は達成が難しく、資本コストのレンジより少し低い結果となりました。これは継続して取り組むべきものであり、ROEの向上には収益力を向上させることが必要です。
自己資本比率改善については、第一義的に取り組むべきは本業であると考えています。財務戦略については、先ほど述べた自己株式の取得やその他の施策を実施しています。
PERについては、関連する要素として、人材戦略やサステナビリティへの取り組みがあります。また、IR活動の充実や機関投資家とのIRも以前と比較してかなり活発に進めています。
自己株式の取得については、前期に10億円を実施しました。今期も2025年11月から2026年10月までの期間で、同額の10億円の自己株式取得を実施する予定です。これはあくまでもROE改善の一環としての取り組みであり、自己株式についてはRSの導入など、さまざまな目的に活用していく方針です。
トピックス①(新規不動産賃貸の開始)

トピックスです。先ほど、にぎわい施設「COJICCO(コジッコ)」についてご説明しました。スライドに示しているのが、ホテル「京都 梅小路 花伝抄」です。その隣が中央倉庫の本社で、その前に「COJICCO」があります。この建物は七条通に面しており、京都風の作りになっています。
もともと京都市の土地でしたが、その土地を購入するにはこのような施設を建てる必要があるという規定があり、それに準じたかたちで建設しています。固定収入が得られる不動産賃貸事業の一環として、先ほどご説明した内容に関連する施設が運営を開始しました。この分の収入は、今期から計上されることになります。
なお、「COJICCO」の運営事業者は共立メンテナンスで、2025年11月に開業しました。出店している店舗のうち、京都でも有名な人気店や、全国的に知られている店舗があり、金曜日には多くの人が列を作るほどです。
トピックス②(サステナビリティ評価融資)

2つ目のトピックスは、サステナビリティについてです。銀行から融資を受ける際にはさまざまな方法がありますが、今回、滋賀銀行が取り組んでいる「『しがぎん』サステナブル評価融資」の契約を締結しました。
当社のKPIである「TCFD提言に基づく情報開示」に関連する数字を先方にお示しし、しがぎん経済文化センターがそれを基に当社の取り組みを評価し、融資が適切かを判断しました。
セカンドオピニオン的なかたちで活用していますが、このような取り組みは初めての試みであり、滋賀銀行のホームページにも掲載いただいているため、トピックスとして紹介しました。
サステナビリティ(社会)

サステナビリティに関しては、現時点で大きなことは言えませんが、トピックス的な要素として現在行っている取り組みについてお話しします。
人的資本については、従業員一人ひとりのスキルの向上が事業成長に不可欠であると考えています。当社自身もそれを強く実感しており、従業員が健康で、しっかりとエンゲージメントを持って仕事に携わることがなにより重要だと思っています。ただし、全員に行き届かせるのは難しいのが現状のため、個人の能力を最大限に引き出す取り組みを、全力で行っています。
スライド中段に示したとおり、人材育成の取り組みとして、階層別の研修や、外部講師による社内研修を実施しています。また、エンゲージメントの向上を目指してアンケートを実施し、職場環境の改善に取り組んでいます。アンケートを通じてさまざまな問題点や声が浮き彫りになります。
さらに、人事部が属する企画管理本部で、新たな視点を取り入れたヒアリングを実施しています。これにより、多方面から意見を汲み取り、改善に努めています。すぐに目に見える効果は出ないかもしれませんが、こうした取り組みを地道に続けています。
また、人材確保の取り組みとして、専門人材の中途採用強化や新卒採用の強化を進めています。特に物流業界では難しい課題ではありますが、積極的に取り組んでいます。
今は専門人材の中途採用を積極的に進めており、先ほどご説明したとおり、システム関係の人材を数名採用しました。採用が難しいといわれる中で、ややコストがかかりましたが採用に成功し、現在はその方々に尽力していただいています。このような取り組みを引き続き行っていきたいと思います。また、スライドには記載していませんが、先ほどお伝えしたとおり、離職防止にも取り組んでいます。
社会貢献という観点では、プロバスケットボールチーム「京都ハンナリーズ」やプロサッカーチーム「京都サンガF.C.」に協賛しています。両チームはさまざまな地域活動を行っており、当社も協賛を通じて協力したいと考えています。スポーツを通じた社会とのつながりを目指して取り組んでいます。
株価推移

最後に、株価の推移についてお話しします。ほぼ2年間の推移を振り返ると、2023年11月30日時点で株価は約22パーセント増加しています。ただし、最近の株価はやや低めではないかと感じています。株価向上にあたっては収益性の向上やそれに対する取り組みを明確にしていくことが重要であると考えています。IRで当社事業の詳細や、人的投資をどのように進めていくか、さらに将来を見据えた成長性についてもご説明していきます。
この業界は、なかなか簡単に成長できる分野ではありません。設備投資には時間がかかりますし、その運用を担う人材に関してもさまざまな課題があります。しかし、そのような状況の中でも、当社ならではの特徴をしっかりと発揮していきたいと考えています。
なお、当社は2027年10月に創業100周年を迎えます。この100年間にわたり培った物流ノウハウは、他社に引けを取らないと自負しています。そのような思いを込め、「NEXT CS-100」というタイトルを第8次中期経営計画に掲げ、次の100年に向けて挑戦していきます。
「CS」は、「Challenge Spirit」という言葉に由来しています。「Challenge Spirit」の精神を持って、これまで保守的といえるやり方で進めてきたことでもさまざまなことに挑戦していきたいと考えているので、ぜひご期待ください。
以上で説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:注力している事業分野と手応えを感じる分野について
質問者:先ほど「NEXT CS-100」のお話があったと思いますが、その中で特に現在注力している事業や、手応えを感じている分野がありましたらお聞かせいただければと思います。
谷奥:6つの成長戦略の1つ目である化学品についてです。ご説明したとおり、化学品に関しては日本国内で生産を停止している大手企業がかなりあるため、輸入に切り替わっている状況をしっかり受け止め、輸入の通関業務や国内物流に取り組んでいます。
また、リサイクル事業の取扱いにも力を入れています。豊田通商の子会社である豊通ペットリサイクルシステムズの物流を当社が担当しています。リサイクル対象はペットボトルをはじめとしたペット樹脂で、食品容器などの素材にも関わる事業です。家電製品、洗濯機や冷蔵庫をはじめとするこれらには、多くの樹脂が使用されています。当社では、家電製品に使用される樹脂の取り扱いを行うだけでなく、使用済み製品のリサイクルも実施しています。
また、現在注目されているのが、自動車産業におけるリサイクル事業です。この分野は特に進展しており、当社でも事業展開を図っています。ペットリサイクルで培ったノウハウを応用し、ゴミの搬入から取り組んでいます。リサイクルはもともとゴミの再利用であるため、搬入には専門的なノウハウが必要です。
ゴミの運搬には一般貨物用トラックでは対応が難しく、清掃や特殊車両が必要となります。当社では、こうしたノウハウを活かしながら、自社だけでなく他社とアライアンスを組んで取り組みを進めています。そうしたノウハウを活用し、家電製品や自動車部品のリサイクルにも取り組んでいきます。
さらに、リサイクルには、物理的リサイクルとケミカルリサイクルの2種類があります。物理的リサイクルは粉砕して再利用する方法であり、ケミカルリサイクルは薬品を用いて材料を化学的に分解して再利用する方法です。これらの分野は、特に中期経営計画期間中において、さらに成長が見込まれる分野であると考えており、どちらの取扱いにも力を入れていきます。
また、人手不足は当社だけでなく、どこも深刻な状況にあります。昨年の出生数が70万人を下回ったといわれており、今年の半ば時点でも昨年を下回るとの情報も入っています。ちょうど今、小学校3年生の子どもたちが生まれた頃、出生数が100万人を下回ったようです。その子どもたちも、すでに10歳を迎えつつあります。このように、労働人口が確実に減少していくことは間違いありません。
そうした中で、物流業者だけでなく、どこでも人手不足は続くと思います。また、すでにそれに直面している企業もあります。そのため、せめて取引先の物流事業の分野に入り込み、支援していこうという考えで取り組んでおり、成功事例も生まれています。
特に、メーカーが行っている物流効率化については、当社が担当することで大きく効率を上げられるケースがあるため、この分野での取り組みをさらに拡大していきたいと考えています。
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