*15:33JST フェローテク Research Memo(3):2025年3月期中間期は9.3%の営業増益、期初予想を上回る
■フェローテックホールディングス<6890>の業績動向
1. 2025年3月期中間期の業績概要
(1) 損益状況
2025年3月期中間期決算は、売上高が前年同期比28.1%増の135,157百万円、営業利益が同9.3%増の14,251百万円、経常利益が同1.7%増の15,470百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同9.5%増の9,190百万円となり、期初予想(売上高110,000百万円、営業利益12,500百万円)を上回った。半導体市況が回復基調となったことに加え、積極営業を推進して顧客需要を捉えたことから増収を確保した。ただし、売上総利益率は製品構成の変化により4.3ポイント低下し、販管費がほぼ予算どおりの12.1%増となったことから営業利益は小幅増益に留まった。
高水準の設備投資により有形固定資産と有利子負債が増加
(2) 財務状況
2025年3月期中間期末の財務状況は、流動資産が289,842百万円(前期末比41,434百万円増)となった。主に現金及び預金の増加2,941百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加27,105百万円、棚卸資産の増加11,549百万円による。固定資産は前期末比で41,329百万円増加し302,947百万円となった。主にマレーシア工場への投資を実施したこと等による有形固定資産の増加37,797百万円、無形固定資産の増加404百万円、投資その他資産の増加3,127百万円(関係会社株式の増加846百万円、その他の増加2,347百万円など)による。その結果、資産合計は592,790百万円(同82,763百万円増)となった。
負債合計は、268,209百万円(同36,349百万円増)となった。要因として、電子記録債務を含む支払手形及び買掛金の増加11,428百万円、1年内償還予定の社債と1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金等の増加3,052百万円、社債の減少320百万円、長期借入金の増加14,098百万円等による。有利子負債の合計額は151,990百万円となり、前期末(135,160百万円)から16,830百万円増加した。
また純資産合計は、324,580百万円(同46,414百万円増)となった。親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加6,839百万円、円安進行に伴う為替換算調整勘定の増加27,233百万円、中国子会社への第三者割当増資による非支配株主持分の増加12,920百万円等によるものである。この結果、2025年3月期中間期末の自己資本比率は40.1%(前期末は40.1%)となった。
半導体等装置関連と電子デバイスがけん引
2. セグメント別概況
セグメント別では、半導体業界の回復により、半導体等装置関連の売上高が84,042百万円(前年同期比39.5%増)、セグメント利益は8,363百万円(同7.4%増)となった。電子デバイス(新区分)では、主にサーモモジュールが寄与して売上高は23,085百万円(同22.6%増)、セグメント利益は3,992百万円(同19.7%増)となった。また新たに切り分けられた車載関連の売上高は14,304百万円(同2.1%増)、セグメント利益は1,323百万円(同51.8%減)となった。その他の売上高は13,723百万円(同10.7%増)、セグメント利益は793百万円(前年同期は179百万円の損失)であった。
3. 主な設備投資
投資額(有形固定資産、無形固定資産の取得等の合計)は22,882百万円(前年同期は33,423百万円)となった。各事業の積極投資を継続、主な投資内容は、マレーシアFerrotec Manufacturing Malaysia Sdn. BHD(クリム工場)に71億円、マレーシアジョホール州のFerrotec Power Semicondactor Malaysia Sdn. BHDに51億円、中国麗水市の浙江富楽徳伝感技術有限公司に27億円、中国常山の浙江富楽徳半導体材料有限公司に27億円、日本(石川工場等)に27億円などであった。減価償却費は11,241百万円(前年同期7,913百万円)となった。
4. 主なトピックス
(1) 各国の生産工場:マレーシアでの拡大が進む
下記に述べる中期経営計画の進展に合わせて、中国常山地区に金属加工、石英、サーモモジュール、セラミックス、SiPの拠点を置き、自動化・効率化を進めている。
また米系大手半導体製造装置メーカー等の中国外生産ニーズに合わせて、マレーシアでの生産設備増強を進めている。北部のクリムでは、金属加工、石英、セラミックス、装置組立の工場が既に稼働を開始しており、顧客認定も進捗した。今後の状況によってはさらなる拡大の可能性もあるようだ。また南部のジョホールでは、パワー半導体基板、サーモモジュール、SiP生産の計画が進んでおり、2024年12月に稼働を予定している。
(2) FTSVAによるFLH子会社化計画
現在、中国の統括会社として同社の100%子会社である上海申和投資有限会社(FTS)があり、その子会社として部品洗浄事業子会社である安徽富楽徳科技発展股フン有限公司(FTSVA)(深セン証券取引所創業板に上場中、FTSの持株比率50.24%)とパワー半導体基板事業子会社である江蘇富楽華半導体科技股フン有限公司(FLH)(FTSの持株比率55.11%)があるが、FTSVAが株式交換(FLH株式を購入、FLH株主に対しFTSVA株式及びFTSVA転換社債を発行し交付)を行いFLHをFTSVAの子会社とし、併せて公募増資を実施する計画だ。この株式交換によりFLHがFTSVAの100%子会社となることで、FTSVAの企業価値が上昇すると同時に資金調達の多様化が図れるとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2025年3月期中間期の業績概要
(1) 損益状況
2025年3月期中間期決算は、売上高が前年同期比28.1%増の135,157百万円、営業利益が同9.3%増の14,251百万円、経常利益が同1.7%増の15,470百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同9.5%増の9,190百万円となり、期初予想(売上高110,000百万円、営業利益12,500百万円)を上回った。半導体市況が回復基調となったことに加え、積極営業を推進して顧客需要を捉えたことから増収を確保した。ただし、売上総利益率は製品構成の変化により4.3ポイント低下し、販管費がほぼ予算どおりの12.1%増となったことから営業利益は小幅増益に留まった。
高水準の設備投資により有形固定資産と有利子負債が増加
(2) 財務状況
2025年3月期中間期末の財務状況は、流動資産が289,842百万円(前期末比41,434百万円増)となった。主に現金及び預金の増加2,941百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加27,105百万円、棚卸資産の増加11,549百万円による。固定資産は前期末比で41,329百万円増加し302,947百万円となった。主にマレーシア工場への投資を実施したこと等による有形固定資産の増加37,797百万円、無形固定資産の増加404百万円、投資その他資産の増加3,127百万円(関係会社株式の増加846百万円、その他の増加2,347百万円など)による。その結果、資産合計は592,790百万円(同82,763百万円増)となった。
負債合計は、268,209百万円(同36,349百万円増)となった。要因として、電子記録債務を含む支払手形及び買掛金の増加11,428百万円、1年内償還予定の社債と1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金等の増加3,052百万円、社債の減少320百万円、長期借入金の増加14,098百万円等による。有利子負債の合計額は151,990百万円となり、前期末(135,160百万円)から16,830百万円増加した。
また純資産合計は、324,580百万円(同46,414百万円増)となった。親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加6,839百万円、円安進行に伴う為替換算調整勘定の増加27,233百万円、中国子会社への第三者割当増資による非支配株主持分の増加12,920百万円等によるものである。この結果、2025年3月期中間期末の自己資本比率は40.1%(前期末は40.1%)となった。
半導体等装置関連と電子デバイスがけん引
2. セグメント別概況
セグメント別では、半導体業界の回復により、半導体等装置関連の売上高が84,042百万円(前年同期比39.5%増)、セグメント利益は8,363百万円(同7.4%増)となった。電子デバイス(新区分)では、主にサーモモジュールが寄与して売上高は23,085百万円(同22.6%増)、セグメント利益は3,992百万円(同19.7%増)となった。また新たに切り分けられた車載関連の売上高は14,304百万円(同2.1%増)、セグメント利益は1,323百万円(同51.8%減)となった。その他の売上高は13,723百万円(同10.7%増)、セグメント利益は793百万円(前年同期は179百万円の損失)であった。
3. 主な設備投資
投資額(有形固定資産、無形固定資産の取得等の合計)は22,882百万円(前年同期は33,423百万円)となった。各事業の積極投資を継続、主な投資内容は、マレーシアFerrotec Manufacturing Malaysia Sdn. BHD(クリム工場)に71億円、マレーシアジョホール州のFerrotec Power Semicondactor Malaysia Sdn. BHDに51億円、中国麗水市の浙江富楽徳伝感技術有限公司に27億円、中国常山の浙江富楽徳半導体材料有限公司に27億円、日本(石川工場等)に27億円などであった。減価償却費は11,241百万円(前年同期7,913百万円)となった。
4. 主なトピックス
(1) 各国の生産工場:マレーシアでの拡大が進む
下記に述べる中期経営計画の進展に合わせて、中国常山地区に金属加工、石英、サーモモジュール、セラミックス、SiPの拠点を置き、自動化・効率化を進めている。
また米系大手半導体製造装置メーカー等の中国外生産ニーズに合わせて、マレーシアでの生産設備増強を進めている。北部のクリムでは、金属加工、石英、セラミックス、装置組立の工場が既に稼働を開始しており、顧客認定も進捗した。今後の状況によってはさらなる拡大の可能性もあるようだ。また南部のジョホールでは、パワー半導体基板、サーモモジュール、SiP生産の計画が進んでおり、2024年12月に稼働を予定している。
(2) FTSVAによるFLH子会社化計画
現在、中国の統括会社として同社の100%子会社である上海申和投資有限会社(FTS)があり、その子会社として部品洗浄事業子会社である安徽富楽徳科技発展股フン有限公司(FTSVA)(深セン証券取引所創業板に上場中、FTSの持株比率50.24%)とパワー半導体基板事業子会社である江蘇富楽華半導体科技股フン有限公司(FLH)(FTSの持株比率55.11%)があるが、FTSVAが株式交換(FLH株式を購入、FLH株主に対しFTSVA株式及びFTSVA転換社債を発行し交付)を行いFLHをFTSVAの子会社とし、併せて公募増資を実施する計画だ。この株式交換によりFLHがFTSVAの100%子会社となることで、FTSVAの企業価値が上昇すると同時に資金調達の多様化が図れるとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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