*13:04JST AIAI Research Memo(4):特色ある独自の幼児教育プログラムや「AIAI三育圏」のシナジーが強み
■AIAIグループ<6557>の事業概要
2. 特徴・強み
同社の「AIAI三育圏」の強みとしては、特色のある独自の幼児教育プログラムが高い評価を得ていること、東京都・千葉県・神奈川県・大阪府に集中したドミナント戦略によって効率良く展開していること、近年需要が高まっている未就学児の療育の分野において豊富なノウハウと実績を有していること、保育・療育・教育の3つの「育」を一体的に提供する体制を自社内で構築していること、「AIAI三育圏」のシナジー効果によって高い生産性を実現していることなどがある。このような特徴・強みの結果として、特に千葉県においては圧倒的なシェアを誇り、千葉県内における施設用土地・建物賃貸情報を得やすくなり、新卒保育士の採用でも有利な状況となっている。
AIAI NURSERYは単に子どもを預かるだけの保育園ではなく、オリジナル大型遊具「AINI(アイニー)」及び雨天対応大型遊具「AINI BOX」(子どもの運動能力を伸ばす総合アスレチック)を設置しているほか、各施設に専用の学習室を設けて数・図形・文字などに関わる感覚を豊かにするプログラムを実施するなど、「子どもの才能が伸びる園」として就学前能動的学習の充実を図っている。なお「AINI BOX」は2021年8月に第15回キッズデザイン賞を受賞している。またコスト面では、自社システムによってペーパーレス化を推進するなど保育士の事務作業削減を実現している。AIAI PLUSでは2021年4月にサービス内容をリニューアルし、学習と運動を支援する「プログラムの専門家」として新たな発達支援プログラムをスタートさせた。
またAIAI PLUSやAIAI VISITの療育サービスにおける同社の強みとしては、同業他社のなかで唯一学習と運動が一体化された独自の療育プログラムを提供していること、DXによって効率化されたオペレーションにより、これまで一般的に2ヶ月程度かかるとされていた手続期間を問い合わせから最短2週間に短縮できること、AIを活用した発達分析機能によってエビデンス(AIAI NURSERYの全園児約5,000人の発達記録ビッグデータと照らし合わせることで、当該園児の発達と同年齢の子どもの発達の乖離度を可視化)のある療育を提供できることなどがある。
AIAI NURSERYは開設後3~4年目から収益化
3. 収益特性
認可保育園の収益特性としては一般的に、新規施設開設時は初期費用や採用費用などの立ち上げ費用が先行し、開設後数年間は高年齢クラス(3~5歳)が定員を満たさないため、低在籍数・低在籍率で赤字となる傾向にある。しかし開設後の年数経過とともに低年齢クラス(0~2歳)の児童が進級を重ねることにより、高年齢クラスの在籍数が増加し、在籍率も上昇して売上高・売上総利益が増加する。そして開設後3~4年目以降になると、在籍数増加・在籍率上昇によって収益化(黒字化)すると言われている。
AIAI NURSERY全施設の充足率(稼働率)は、新規施設開設(認可保育園の開設は原則として4月1日)に伴って定員数が増加するため一時的に低下するが、その後は園児数増加に伴って充足率も上昇基調となる。直近の2023年4月~2024年9月の月別園児数及び充足率の推移を見ると、2023年4月は新規5施設開設による定員数増加に伴って充足率が90%代前半だったが、その後は園児数増加に伴って充足率も上昇基調となり、2024年秋以降はおおむね95%程度で推移した。同様に、2024年4月は新規3施設開設による定員数増加に伴って、充足率が一時的に低下したものの、その後は園児数の増加に伴って充足率も上昇基調となり、2024年9月時点では園児数が初めて5,000人を超えるとともに、充足率も95%まで上昇している。一方のコスト面では、新規開設前後の1〜3月及び4〜6月に新規施設開設関連費用が増加して経費率が上昇するが、その後7〜9月及び10〜12月にかけては園児数増加や充足率上昇に伴って経費率が低下する。
なお認可保育園に係る補助金収入については、委託費・運営補助金(園児や保育士に関する補助金や施設の賃借に関する補助金等)は売上高に計上し、施設開設に係る補助金(新規開設の投資額に対する一定割合の補助金)は営業外収益に計上している。また費用については、運営に係る費用(保育園の運営に係る人件費や物件費)は営業費用に計上し、施設開設準備に係る費用は営業外費用に計上している。このため、補助金収入額の増減や計上時期のズレなどで収益変動要因となることがある。同社は創業以来、収益基盤構築に向けてAIAI NURSERYの積極的な開設を推進してきたため、戦略的に費用が先行して営業損失が継続していたが、開設後3~4年経過して収益化した園が増加したことなどにより、2023年3月期第2四半期からは全体としての営業黒字が定着し、売上高の増加に伴って営業利益拡大傾向となっている。
また、AIAI PLUSの収益特性としては、AIAI NURSERYと同じ建物で運営できるケースもあり、AIAI NURSERYに比べて投資額を抑えられることに加え、AIAI NURSERYとの併設によるシナジー効果で集客力や採用力の強化、戦略的な人員配置などにつながるメリットもある。さらにAIAI NURSERYは4月1日開設が原則だが、AIAI PLUSは開設時期を自由に設定できるという柔軟性もあることなどから、AIAI PLUSはAIAI NURSERYに比べて早期の収益化が期待できるという特徴がある。
4. 主要指標
なお同社はIR強化の一環として、2024年11月より同社ホームページ上で主要指標の月次推移の公表を開始した。2025年3月期については、AIAI NURSERYの園児数は2024年4月の4,891人から順調に増加し、9月に初めて5,000人を超え、10月には5,012人となった。全体の充足率は4月に93%、7~9月に95%となり、10月には96%まで上昇した。AIAI PLUSの平均稼働率(2024年4月から集計方法変更)については、夏休みなどの長期休暇時に減少する傾向があるため月次ベースで見るとバラツキがあるものの、7月に103.0%、9月に105.4%を記録するなど高水準で推移している。訪問支援回数については、現状では認知度が高いとは言えないためバラツキがあるものの、本格展開した4月の541回から、7月には960回、9月には992回、10月には959回と、増加基調になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2. 特徴・強み
同社の「AIAI三育圏」の強みとしては、特色のある独自の幼児教育プログラムが高い評価を得ていること、東京都・千葉県・神奈川県・大阪府に集中したドミナント戦略によって効率良く展開していること、近年需要が高まっている未就学児の療育の分野において豊富なノウハウと実績を有していること、保育・療育・教育の3つの「育」を一体的に提供する体制を自社内で構築していること、「AIAI三育圏」のシナジー効果によって高い生産性を実現していることなどがある。このような特徴・強みの結果として、特に千葉県においては圧倒的なシェアを誇り、千葉県内における施設用土地・建物賃貸情報を得やすくなり、新卒保育士の採用でも有利な状況となっている。
AIAI NURSERYは単に子どもを預かるだけの保育園ではなく、オリジナル大型遊具「AINI(アイニー)」及び雨天対応大型遊具「AINI BOX」(子どもの運動能力を伸ばす総合アスレチック)を設置しているほか、各施設に専用の学習室を設けて数・図形・文字などに関わる感覚を豊かにするプログラムを実施するなど、「子どもの才能が伸びる園」として就学前能動的学習の充実を図っている。なお「AINI BOX」は2021年8月に第15回キッズデザイン賞を受賞している。またコスト面では、自社システムによってペーパーレス化を推進するなど保育士の事務作業削減を実現している。AIAI PLUSでは2021年4月にサービス内容をリニューアルし、学習と運動を支援する「プログラムの専門家」として新たな発達支援プログラムをスタートさせた。
またAIAI PLUSやAIAI VISITの療育サービスにおける同社の強みとしては、同業他社のなかで唯一学習と運動が一体化された独自の療育プログラムを提供していること、DXによって効率化されたオペレーションにより、これまで一般的に2ヶ月程度かかるとされていた手続期間を問い合わせから最短2週間に短縮できること、AIを活用した発達分析機能によってエビデンス(AIAI NURSERYの全園児約5,000人の発達記録ビッグデータと照らし合わせることで、当該園児の発達と同年齢の子どもの発達の乖離度を可視化)のある療育を提供できることなどがある。
AIAI NURSERYは開設後3~4年目から収益化
3. 収益特性
認可保育園の収益特性としては一般的に、新規施設開設時は初期費用や採用費用などの立ち上げ費用が先行し、開設後数年間は高年齢クラス(3~5歳)が定員を満たさないため、低在籍数・低在籍率で赤字となる傾向にある。しかし開設後の年数経過とともに低年齢クラス(0~2歳)の児童が進級を重ねることにより、高年齢クラスの在籍数が増加し、在籍率も上昇して売上高・売上総利益が増加する。そして開設後3~4年目以降になると、在籍数増加・在籍率上昇によって収益化(黒字化)すると言われている。
AIAI NURSERY全施設の充足率(稼働率)は、新規施設開設(認可保育園の開設は原則として4月1日)に伴って定員数が増加するため一時的に低下するが、その後は園児数増加に伴って充足率も上昇基調となる。直近の2023年4月~2024年9月の月別園児数及び充足率の推移を見ると、2023年4月は新規5施設開設による定員数増加に伴って充足率が90%代前半だったが、その後は園児数増加に伴って充足率も上昇基調となり、2024年秋以降はおおむね95%程度で推移した。同様に、2024年4月は新規3施設開設による定員数増加に伴って、充足率が一時的に低下したものの、その後は園児数の増加に伴って充足率も上昇基調となり、2024年9月時点では園児数が初めて5,000人を超えるとともに、充足率も95%まで上昇している。一方のコスト面では、新規開設前後の1〜3月及び4〜6月に新規施設開設関連費用が増加して経費率が上昇するが、その後7〜9月及び10〜12月にかけては園児数増加や充足率上昇に伴って経費率が低下する。
なお認可保育園に係る補助金収入については、委託費・運営補助金(園児や保育士に関する補助金や施設の賃借に関する補助金等)は売上高に計上し、施設開設に係る補助金(新規開設の投資額に対する一定割合の補助金)は営業外収益に計上している。また費用については、運営に係る費用(保育園の運営に係る人件費や物件費)は営業費用に計上し、施設開設準備に係る費用は営業外費用に計上している。このため、補助金収入額の増減や計上時期のズレなどで収益変動要因となることがある。同社は創業以来、収益基盤構築に向けてAIAI NURSERYの積極的な開設を推進してきたため、戦略的に費用が先行して営業損失が継続していたが、開設後3~4年経過して収益化した園が増加したことなどにより、2023年3月期第2四半期からは全体としての営業黒字が定着し、売上高の増加に伴って営業利益拡大傾向となっている。
また、AIAI PLUSの収益特性としては、AIAI NURSERYと同じ建物で運営できるケースもあり、AIAI NURSERYに比べて投資額を抑えられることに加え、AIAI NURSERYとの併設によるシナジー効果で集客力や採用力の強化、戦略的な人員配置などにつながるメリットもある。さらにAIAI NURSERYは4月1日開設が原則だが、AIAI PLUSは開設時期を自由に設定できるという柔軟性もあることなどから、AIAI PLUSはAIAI NURSERYに比べて早期の収益化が期待できるという特徴がある。
4. 主要指標
なお同社はIR強化の一環として、2024年11月より同社ホームページ上で主要指標の月次推移の公表を開始した。2025年3月期については、AIAI NURSERYの園児数は2024年4月の4,891人から順調に増加し、9月に初めて5,000人を超え、10月には5,012人となった。全体の充足率は4月に93%、7~9月に95%となり、10月には96%まで上昇した。AIAI PLUSの平均稼働率(2024年4月から集計方法変更)については、夏休みなどの長期休暇時に減少する傾向があるため月次ベースで見るとバラツキがあるものの、7月に103.0%、9月に105.4%を記録するなど高水準で推移している。訪問支援回数については、現状では認知度が高いとは言えないためバラツキがあるものの、本格展開した4月の541回から、7月には960回、9月には992回、10月には959回と、増加基調になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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