【QAあり】さくらさくプラス、「時間」+「QOL」の課題解決に取り組む 場の提供から更なる生活の質の向上へ
会社概要
西尾義隆氏(以下、西尾):みなさま、はじめまして。株式会社さくらさくプラス代表取締役社長の西尾です。どうぞよろしくお願いします。
本日は、我々をご存じないみなさまに当社を知っていただき、名前を覚えていただければと思っています。
我々は「さくらさくプラス」という名前の会社です。桜が咲き、さらに「プラス」まで付いて「なんておめでたい会社なんだ」と思われるかもしれません。
社名のとおり「桜」が会社のモチーフになっており、「前を向いて、これからの未来にどうつないでいくか」を考えていける会社だと覚えていただければと思います。
以前、私は不動産会社に勤めていました。その会社は新興企業で、事業を開始したのがちょうどリーマンショックが起きた2008年でした。私が大阪から東京に転勤した時でもありました。
その会社も一時期は上場し、時価総額が約400億円ありましたが、リーマン・ショックの波にのまれて急激に下がっていきました。その中で「これからどのような仕事をしていこうか」と考える中で私が出会ったのが、保育所の事業でした。
当時は、女性の活躍がどんどん進んでいました。その一方で、非常に優秀であるにもかかわらず、「保育所に入れないから職場復帰できない。会社に戻れない」ということを耳にしました。今と比べても、そのような状況が増えてきつつある時でした。
そのような中、「保育所が足りないなら、作ればいいのではないか」と考えたのが創業のきっかけでした。「不動産のノウハウがあれば良い場所で保育所を作れるのではないか」というところから始まったのが、会社の成り立ちです。
会社沿革
会社の沿革です。創業はリーマン・ショックの後の2009年です。最初は大変苦労しました。保育所へのニーズに関連した「保育園落ちた日本死ね」というブログが話題になったことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
私は1973年(昭和48年)生まれで、団塊ジュニアと呼ばれる世代です。当時は母親が専業主婦で、子どもの面倒を見てくれていました。しかし時代が流れて、保育所のニーズは一気に高まりました。
そのような状況で我々は保育所を開設し、運営を続けてきました。現在は、東京と大阪を中心に89施設の認可保育所を運営しています。
上場したのは2020年です。ちょうど新型コロナウイルスが広がったタイミングで上場し、現在に至っています。
保育所を開設しながら成長を続け、創業から15年ほどで売上高約170億円の会社となりました。事業の中心は保育所の運営ですが、今後企業としてどのように発展をしていくかを検討している状況です。
企業理念
企業理念です。先ほどお話ししたように、現状では共働きの世帯が非常に増えており、昔とはかなり違うということを、みなさまもすでに実感されていると思います。
共働きの世帯が、今後の日本の伸びしろになってくると思っています。労働力不足という課題がある中で、女性の活躍を推進する動きや、実際に活躍する優秀な女性が増えています。
そのような状況で、男性の育児休暇の取得率は30数パーセントと、まだ整っていません。しかし、男性と女性のどちらも働きながら社会を発展させていくというのが、今の時代の流れです。
人口は減っていく状況ですが、我々のビジネスチャンスはそこにあると考え、今、事業を拡大していこうとしています。
我々は「日本の伸びしろを、花ひらかせる。」という大きなテーマを掲げ、共働き世帯の方々を支えていけるような会社になっていきたいと思っています。
成長戦略〜場の提供から更なる生活の質の向上へ〜
我々は、これまで東京を中心に保育所を作ってきました。本日説明会を開催している名古屋エリアでは、保育業界最大手であるJPホールディングスがトップリーダーとして活躍し引っ張っている状況です。しかし我々は、ある程度エリアを絞りながら施設を作ることで伸びてきた会社です。
みなさんのご家族や親族の中でも、女性が仕事をする場面は多くあると思います。そのような場面を支える企業になるため、今、事業を展開しています。
ソリューションプラットフォーム
共働き家族の方々は、非常に忙しいのが現状です。例えば、朝は父親が保育所に預けて、帰りは母親が迎えに行く、もしくはその逆もあります。また子どもを保育所に預けてテレワークで仕事をするなど、いろいろなパターンがあります。
そのような忙しい方々が多くいる状況の中で、保育所という場を提供する以外にも、共働き家族のためのさまざま事業に取り組んでいます。
グループの事業ポートフォリオ
当社グループの事業ポートフォリオです。スライドには、我々の成長度合いとその過程を示しています。
「1. グループ中核事業」として「保育サービス」があり、「さくらさくみらい」というおめでたい名前でスタートしました。未来に向けて桜咲くというという意味を込めて「さくらさくみらい」という保育所を運営しています。現在は89施設を運営しており、利用者数は約5,000名、従業員数は約2,000名となっています。
そこから、現在はさらなる事業展開を図っています。「3. 中核事業のノウハウ活用」の「情報資産サービス」として、みらいパレット社ではICT(インフォメーション&コミュニケーションテクノロジー)を使ったサービスを提供しています。保護者に子どもたちを育てる環境を整えたり、情報を提供したり、広告の展開などを行っています。
もう1つが「研修サービス」です。保育のデザイン研究所は我々の強みの1つです。みなさまは保育士にどのようなイメージをお持ちでしょうか? 最近では静岡県で事件があったように、不適切保育を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、保育士の資格は更新制ではありません。一度免許を取れば、ずっとそのままです。そのため、どんどんと時代や世の中の流れ、保育の常識が変わっていく一方で、学び続けづらい環境にあります。
また、処遇が低いという話もお聞きになったことがあるかもしれません。「保育の仕事は子どもだけを見ていればよい。子どもと遊んでいればよい」と誤解されることがありますが、子どもたちを育てていくためには、専門的な知識をしっかりと身につけ、そしてそれを続けていかないといけません。
その状況を受けて、保育のデザイン研究所では研修サービスを行っています。例えば愛知県でも、保育の研修を受託しています。
このように保育に関連するサービスを続けながら、スライド下に記載している「2. 基盤能力の活用」にも取り組んでいます。冒頭で申し上げたとおり、私が以前不動産事業に携わっていたことから、良い場所に保育所を作ることに取り組んできました。
現在は子育て支援住宅や、子どもを育てやすい住宅、または子どものご家族しか入れないようなマンションなどを開発し、提供する事業にも取り組んでいます。宅地建物取引業の免許番号も保有しています。
スライド右側にある「進学塾サービス」は、中学受験向けの事業です。愛知県も受験が非常に盛んですが、東京でも中学受験が非常に賑わっています。現在は約450名の生徒を預かっています。
「食育サービス」では、子どもたちの食育を手掛けています。現在ベーカリーカフェを2件運営しており、これをさらに展開して内容も充実させていきたいと思っています。
新しい事業として、9月1日にリリースした「フェムケア・フェムテックサービス」をご紹介します。子育てをする中で、男性と女性はまだまだイーブンではなく、我々は女性をさらに支援しなければいけないと考えています。
男性と女性では生物として違う点があり、体の負担はやはり女性のほうが多くなりがちで、生活の時間も取られやすい状況です。
そこで今回YELL社のM&Aを行い、「フェムケア・フェムテックサービス」に参入しました。保育所でも多くの悩みを聞く機会があり、さらに女性を支援していこうというところから、事業を拡張しているところです。
スライド右上に「子育てしやすい社会を目指してさらなる事業の拡大」と示すとおり、我々は「未来にどうつないでいくか」を考える会社です。今後はさらに、未来につながる事業に取り組んでいきます。
「さくらさくプラス」という名前のとおり、明るく、そして未来につないでいけるような事業を組み立てていこうと考えています。
そのためには、共働きの世帯や女性への支援が必ず必要になってきます。そこを事業の柱として展開している会社だとご認識いただきたいと思います。
2024年7月期 経営トピックスサマリー
2024年7月期の決算概要です。当社は8月から7月が決算で、9月13日に2024年7月期の決算発表を行いました。
スライドには前期に取り組んだ内容を示しています。保育所の開発など目指す方向を作成し、着実に達成してきました。
2024年7月期 決算概要
2024年7月期の実績です。売上高は172億1,200万円、営業利益は7億7,500万円、経常利益は8億7,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は6億700万円となっています。
当初計画よりも上回って着地し、投資家のみなさまとのお約束を果たし、さらにプラスオンの数字を作ることができました。
現在の時価総額は約45億円です。PERが6.21倍、PBRが0.82倍で、私自身は非常に残念な株価だと思っています。これが社会からの評価であることは間違いないと受け止め、もう少し評価いただけるように取り組んでいかなければならないと感じています。
株価だけが会社の評価ではないものの、株式上場している以上、売上高172億1,200万円、営業利益7億7,500万円の営業利益を鑑みて、もう少し評価される発信や表現をしていかなければいけないという状況です。
本日のお話でご興味持っていただけたら、ぜひみなさまのポートフォリオのごく一部でもけっこうですので、冒険枠や将来枠として見ていただければと思います。
2024年7月期 当初予算からの推移
2024年7月期は、売上高167億7,300万円、営業利益4億4,500万円を目指してきましたが、大きく上方修正することができました。
私たちは、営業利益を非常に大事に考えています。創業15年の会社ではありますが、着実に営業利益を積み上げてきており、キャッシュフローも潤沢になってきたところです。
四半期別 売上高ならびに営業利益
スライドは、四半期ごとの売上高と営業利益を比較したグラフです。我々は保育という事業を中心にしていることもあり、2月、3月、4月の第3四半期と、5月、6月、7月の第4四半期が数字として伸びやすい傾向にあります。
2024年7月期 貸借対照表
貸借対照表です。さまざな開発や借り入れによりストレッチしながら成長し続け、ようやく自己資本比率も38.6パーセントまで伸びてきました。
これまで継続して成長している最中の会社のため、うまく借り入れ等を活かしながら、テコを利かしてきました。現在回収のフェーズに入ってきつつあり、昨年34パーセントだった自己資本比率が38.6パーセントまで伸びてきている状況です。
2025年7月期業績予想
進行期である2025年7月期の業績予想です。特に見ていただきたいのは、営業利益の増減率です。親会社株主に帰属する当期純利益も伸びていきます。その他すべての数字が伸びていく着地を目指して、今進めている状況です。
みなさまの評価のひとつとして、このような過去からの数字の伸びも見ていただければありがたいと思っています。
2025年7月期 経営トピックス
今年の我々の取り組みについてご説明します。事業の取り組みとしては、先ほどお話ししたフェムケア・フェムテック市場への本格参入があり、この9月からスタートしています。
女性支援事業をさらに拡大するため、今後もM&Aは続けていきたいと思っています。また自社での開発も行っていきたいと考えています。
当社には優秀な女性がたくさん在籍しており、約95パーセントが女性です。そのような環境の中で、しっかりと女性を支えられる会社にしていくとともに、そのノウハウを事業につなげていきたいと考えています。
得意の不動産企画・開発では、「第2弾 浅草プロジェクト」を自社で開発しています。子どもを育てやすい子育て支援住宅としてのマンションに、保育所を作る上でのノウハウを住宅にも施しています。
また新規事業として、買取再販売を開始しています。今、東京ではマンションが非常に高騰しており、普通の家庭の方はなかなか不動産を買えない状況です。そこで比較的築年数が経っている物件を子育て支援住宅としてリフォームし、再販売するという事業をスタートしています。
資本政策として、株主還元は4期連続増配予定です。まだまだ知れている配当であり、さらにできることがあるのではないかとは考えているところです。会社のスタンスとしては、配当はもちろん、今後は例えば優待も検討していくべきだと思っています。
株主のみなさまには当社に対して、子育てに対する投資と、若い共働き世帯に対する投資としてご参加いただきたいと思っています。そしてその投資に対してリターンをしっかり出していくのは当然のことだと、我々は考えています。
昔であれば、核家族化がそこまで進行していませんでした。例えば私も、家へ帰って母親がいなくても、友だちの家に勝手に遊びに行ったり、隣の家でに面倒を見てもらったり、ご飯を出してもらったりしましたが、今はそのような世の中ではありません。
隣に誰が住んでいるかもわかりません。そのような環境の中では人の家にも行けません。私たちもそうですが、子どもに声をかけたら変質者扱いされてしまいます。そのような時代の中で、子どもに対する関わり方が大きく変わってきていると考えています。
我々はこの株式という手法で、ぜひみなさまにも子育てや共働き世帯へご支援いただき、お返しできるものを十分にお返ししていきたいと考えている会社であるとご認識いただけたらと思います。
フェムケア・フェムテック市場へ本格参入、女性支援事業拡充へ
我々は新しくスタートし、今売り出し中のフェムケア・フェムテック市場に参入しています。まずは、サプリメントの会社をM&Aしました。産前産後はなかなか食事もままならず、栄養補給に大きな課題があります。
「ママエール」は、栄養が足りない産前産後に、葉酸など必要な栄養素を補えるという商品の販売もスタートしています。女性を支えていく1つのきっかけとして、この事業に参加し始めています。
フェムケア・ フェムテック市場について
フェムケア・フェムテック市場は世界市場、国内市場ともに今後非常に伸びると言われています。このような事業の拡張に伴って、我々が保護者のノウハウや女性の方のさまざまご意見を汲み取っていきながら、事業を発展させていきたいと考えています。
基盤能力の活用 〜不動産企画・開発〜
「第二弾 浅草プロジェクト」です。「東京こどもすくすく住宅認定制度」による補助金を利用する方々に対する分譲事業も行っています。買取再販売事業もスタートしています。
生きるのがなかなか大変な時代です。そのようなことを少しでも支えていける会社にしていきたいと思っています。
株主還元
株主還元です。株主のみなさまへ、少しでもしっかりと配当していきたいと思っています。少しずつでも着実に上げていき、安定的に良い配当や、優待を出していきたいと考えています。
さくらさくプラスは、増え続ける共働き世代のための嬉しいサービスを提供する企業です。
スライドのグラフは、共働き率の変化です。私の母は専業主婦でしたが、このような時代からずっと女性の活躍、共働き率はどんどん上がっていっているという社会の変化が今の世の中にあります。したがって保育所が必要で、女性を支援していかなければならないという時代に流れが変わりました。このようなところに我々のビジネスチャンスがあると考えています。
当社の特徴 〜事業実績〜
当社の事業実績です。保育所を増やそうと、2014年の9施設からこの10年で、89施設まで保育所を増やしてきました。
当社の特徴 〜保育サービスの強み〜
保育所は東京が多いのですが、駅に近いというのがやはり保育所としては非常に大事で、これは不動産のノウハウを詰め込んでいます。
不動産がわかっていますので、どこに作ったらいいかということを行政と協議しながら作ってきました。東京では、0歳から5歳のお子さまがいらっしゃる家庭の約6割が保育所を利用している状況になっていることも、1つ大事なところではないかと思っています。
また、投資家の方は「これから子どもは減るのではないのか」とよく言われます。おっしゃるとおり、確かに子どもの数が減っている状況ではあるものの、その中で保育所の利用率は高まっているところも知ってもらえると、私たちを見る目も少し変わってくるのではないかと思います。
保育所運営事業の売上・売上原価の構成と開所から収益最大化までのイメージ
我々は保育所という場を通じて、事業を拡大してきました。ただし新しく保育所を作っても、すぐに満員稼働とはなりません。およそ5年で満員になるモデルとなっており、はじめは0歳、1歳、2歳から定員が埋まり、それから持ち上がりで3歳、4歳、5歳が満員となっていきます。
保育所運営における安全と質の向上への取り組み
今、保育所を運営していく中でよく言われることは、やはり保育所の質です。我々も安全への取り組みや保育のマニュアル化、研修会社で職員に十分な研修を行うなど、質の高い保育を提供するための取り組みを実施しています。
利用者の高い満足度
利用者の方からも、非常に高い評価をいただいています。入園の決め手として、我々は中身を見てほしいと思っていますが、ご覧のように最も多い回答は立地条件です。
忙しい方々が仕事を続けるためには、やはり駅から近く、利便性の良いところに施設を作っているところが非常に重要であり、そのあたりが評価されています。
また、スライド下段の円グラフを見ると、我々の施設が総合的に満足されていることがわかります。
自己株式取得
昨年、我々は自己株式を取得しました。今はちょうど1,000円ですが、なかなか株価が上がらず、700円から800円で長らく停滞していた状況で「カンフル剤が必要だ」と判断し、実施しています。
今後はしっかりと株値を上げ、みなさまに期待どおりのリターンをお返しできるよう、そのための戦略を考えていきます。
また社名にも込めているように「未来を支えていきたい、未来につなげていきたい」という想いを我々は持っています。子育て世帯の方々を支えていく会社として発展していきたいと考えているため、本日はぜひ社名だけでも覚えていただきたいと思っています。
そして、「社長があれこれ言いながら将来につないでいきたいと考えている、ポジティブな会社」だということを知っていただけたら、非常にありがたく思います。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:取締役会や管理職への女性登用や社内での取り組みについて
司会者:「御社はフェムケア・フェムテックへの取り組みなど、女性を大切にしようと思われているとお見受けします。社内での取締役会や管理職への女性登用についての現況と、これからに向けての社長のお考えをお聞かせください」というご質問です。
西尾:保育所の管理者である園長は、95パーセントが女性となっています。また、みらいパレット社など子会社の代表にも女性が多くいます。YELL社の代表は私ですが、役員に女性が2名入っています。社内でも、本部の約100名弱のうち7割程度は女性という状況です。
どこまで取り組めているかについては回答が非常に難しいものの、女性ならではの取り組み例としては、トイレに生理用品が常備されています。保育所においても、急な対応や必要な時に使えるように同様の取り組みを実施しています。
これからの時代は、男性特有の良い部分、それから女性特有の良い部分を、仕事に対して発揮できる場面がたくさんあると思っています。またこれから日本の社会は、10年、20年経った時にも女性の活躍がさらなる発展を遂げていくと思っています。
「女性を大切にしなければならない」という基本的なところはありますが、女性なくしてはこれからの日本の成長はないと感じています。そのためにも、将来が少しでも明るくなるようにサポートしていくことができる会社でありたいと考えています。
司会者:「会社案内のトップスリーは男性3名で、今回の資料にも女性登用があまり見受けられませんが、この理由についてはいかがでしょうか?」というご質問です。
西尾:ご指摘のとおり、今、当社のマネジメントメンバーは男性3名となっています。ただし子会社の代表や役員に女性がかなり増え、女性のほうが多い状況にはなっていることもあり、数年中にはコアメンバーの中にも女性の活躍が見られるのではないかと考えています。また、ぜひ女性を登用したいと考えています。
質疑応答:ベトナムへの進出と今後の戦略について
司会者:「ベトナムへの進出と今後の戦略についてお聞かせください。先行投資の色が濃いと思いますが、今後のベトナム市場に対する見込みを教えてください」というご質問です。
西尾:一時期、ベトナムで保育所を開こうという計画がありましたが、新型コロナウイルスによる感染症の拡大によって政治的なストップがかかり、完全にクローズとなりました。そのため現地に会社はあるものの、今は休眠中となっています。
ただ、ベトナムと日本の親和性は非常に強く、これからも労働力については相互のやり取りがあると思います。実際、来週もベトナムとの打ち合わせがあります。このように我々は海外事業として、ベトナムを非常に魅力のあるマーケットだと思っています。一方で文化の違いも数多くあります。そのあたりはしっかりと検討しながら、今後の展開を図っていきたいと考えています。
質疑応答:株主がさくらさくプラスに投資するメリットについて
司会者:「投資に値する企業であるか疑問が残ります。保育関連事業の将来性が不透明です」というご質問です。
西尾:ぜひ投資してもらいたいと思っていますが、少子社会というところが、みなさまの中で少し引っかかる部分かもしれません。
「子どもは未来の宝だ」と昔から言われており、本当にそのとおりだと思います。我々もいずれは今の子どもたちに支えてもらう、また支えてもらわなければならない時期が来るだろうと考えています。
その中で子どもを社会として守っていく、寛容な社会になっていくことが必要になってくると思います。そのためにも子どもを産みやすく、育てやすい社会環境を作っていかなければなりません。
みなさまが投資先を考える中で、そのような大義名分も1つの投資理由となると考えています。
当然きれいごとのみではなく、数字でしっかりと返していくことで株価が上がり、利益を得て配当で還元できるよう、良いかたちの循環を作っていきたいと考えています。それを踏まえて、少しでもご検討いただければありがたく思います。
質疑応答:子育て支援住宅について
司会者:「子育て支援住宅とはどのような住宅でしょうか? 詳しくお聞かせください」というご質問です。
西尾:みなさまも「事故でベランダから落ちた」という話を聞かれたことがあるのではないかと思います。子育て支援住宅では、例えばバルコニーの高さを通常より少し高くしたり、扉に指などがはさまるのを防止するものが付いていたり、コンセントにもシャッターを付けて子どもがなにかするようなことがあっても感電しない仕様にするなど、そのような細かいところの積み上げを行っています。
また、ホールの共用部分では絵本の読み聞かせなどのイベントが開催できるようにしています。さらに、保育所の園長や保育に携わるスタッフが無料で親が子育て相談を受けるなどの場を設けることで、子育ての悩みなどに回答していくサービスなども提供しています。
質疑応答:保育所運営事業の売上を構成する補助金について
司会者:「保育所運営事業の売上は全部補助金なのでしょうか?」というご質問です。
西尾:保育所にはいろいろな種類がありますが、我々が運営している認可保育所については補助金で賄われています。
なぜ我々が東京を中心に展開しているかというと、収入が多いところも理由の1つです。例えば建物を借りる場合の家賃補助など、東京だからこそ出ている補助金もあり、そのようなサポートを受けやすい状況があります。保育士に関する補助金も、「子ども1人あたりの金額」が設定されており、そちらで賄われています。
この補助金の話をすると「国の体制変わったらどうなるのですか?」とよく聞かれます。しかしながら、国としては子どもに対する予算を倍増させなければならないほど必要性が高まっていることもあり、このような補助金は安定していくと思っています。
また、ご質問の内容からは少しそれますが、そのような安定的な収入と、不動産のように利益率の高いものをしっかりと組み合わせていきながら、会社の本質を作っていきたいと思っています。
保育所に関しては、利益を出そうと思うと人を減らしていくことしかできません。したがって、うまく効率化しつつ、安心いただけるサービスをしっかりと提供していきながら利益も確保していく取り組みを実施している状況です。
質疑応答:来期の増配予定について
司会者:「来期の業績予想について、増配はありますか?」というご質問です。
西尾:我々としては、増やしていきたいと思っています。ただ、いつ、どのようなかたちで実施するかは、断定的にお話しすることがむずかしい立場と場面にあります。
「今の成長戦略の中で、配当をしっかりと増やしていきたいという想いを持っていることは、本日みなさまにお伝えしたい」という表現でご理解いただければと思います。
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