*12:04JST 日本リビング保証 Research Memo(4):ストック型ビジネスとフロー型ビジネスのハイブリッド経営を行う
■日本リビング保証<7320>の事業概要
2. 収益特性
同社の売上高は、顧客企業から受け取るサービス利用料(保証料、点検・修理・交換に係る料金など)となる。売上原価は、主に損害保険会社に支払う損害保険料、修理点検協力会社に支払う委託料、その他委託会社に支払う販売手数料などとなる。収益認識方法についてはHomeworthTech事業とExtendTech事業に違いがあり、共同保証主体となるケースが多いHomeworthTech事業は、保証期間に応じた売上と原価の期間按分計上が中心のストック型ビジネス、制度構築・アドミ業務が主体となるExtendTech事業は、売上と原価の一括計上が中心のフロー型ビジネスである。ストック型とフロー型のハイブリッド経営により、短期的収益と中長期的成長のバランスが取れた経営を可能としていることも特徴である。
HomeworthTech事業の長期保証契約においては、売上と原価が期間按分計上される一方で、販管費は当期に一括計上されるため、ビジネス拡大期には販管費が利益圧迫要因となる。ただし、毎期の保証契約の積み上げに伴って売上も増加するため、販管費を吸収して長期安定的な収益構造へと変化する特性がある。また、会計処理上は売上と原価を期間按分して計上するが、保証料は顧客企業より一括して受け取るため、潤沢な手元資金が発生することになる。同社はこの長期保証契約による潤沢な資金を活用して積極的な成長投資や資産運用(賃貸マンションからの賃貸収入等)を行っている。
なお、HomeworthTech事業の保証料収入のうち、売上未計上分は前受収益(1年以内に収益化される予定の保証料)及び長期前受収益(収益化が1年を超える予定の保証料)として貸借対照表に計上され、前受収益残高(前受収益残高と長期前受収益残高の合計)が将来の売上高となる。前受収益残高の四半期別推移(2021年6月期第1四半期~2024年6月期第4四半期)は、2021年6月期第1四半期の5,653百万円から右肩上がりで、2024年6月期第4四半期時点で11,746百万円まで拡大した。
近年は両事業ともに拡大基調。特にExtendTech事業は大幅伸長
3. セグメント別の推移
セグメント別業績及び主要KPIの過去4期(2021年6月期~2024年6月期、2022年6月期より「収益認識に関する会計基準」を適用して2021年6月期は遡及適用後)の推移は、売上高は両事業とも順調に右肩上がりで拡大した。HomeworthTech事業は2021年6月期1,679百万円から2024年6月期2,978百万円へ、ExtendTech事業は同825百万円から同2,316百万円へ、それぞれ伸長した。特にExtendTech事業の売上高は2021年6月期から2024年6月期に1,491百万円(180.7%)増と大幅伸長したことから、ExtendTech事業の売上高構成比も上昇した。営業利益・営業利益率は、フロー型ビジネスで利益率の高いExtendTech事業の営業利益が、売上高増加に伴って2021年6月期は276百万円から2024年6月期は1,153百万円へ大幅に伸長し、全体をけん引する形となっている。HomeworthTech事業の営業利益は、2021年6月期は114百万円、2022年6月期は111百万円、2023年6月期は120百万円、2024年6月期は146百万円とやや横ばいの傾向だが、これは期間按分計上するストック型ビジネスとして拡大期にあるためである。ただし、HomeworthTech事業の前受収益残高は新規契約獲得によって増加基調であるため、今後も安定的に売上高の伸長が期待されるだけでなく、徐々に販管費負担が軽減して営業利益の伸長や営業利益率の上昇も期待される。
また各セグメントの売上高のサービス・分野別内訳は、HomeworthTech事業が保証サービス、検査補修サービス、その他(顧客企業の業務効率化支援など)、ExtendTech事業が再生可能エネルギー分野(再生可能エネルギー領域向け保証サービス)、家電・その他分野(教育ICT領域・家電領域・その他領域向け保証サービス)としている。HomeworthTech事業では保証サービスが2021年6月期は1,196百万円から2024年6月期は2,335百万円と、ExtendTech事業では再生可能エネルギーが2021年6月期は602百万円から2024年6月期は1,794百万円と、ともに右肩上がりで順調に伸長した。
4. リスク要因と課題・対策
一般的なリスク要因としては、住宅・不動産市況や再生可能エネルギー関連機器需要など事業環境の変化、競合激化による収益性低下、損害保険会社との契約及び提携関係の変化、法令違反事業の発生や法的規制、システム障害、自然災害などがある。これらに対して同社は、幅広いサービスバリエーションとDXによる業務支援という強みを生かし、新サービス開発・提供、新事業領域への展開、保険料増加時の価格への反映などにより、競合優位性の維持・強化、事業環境変化への対応、収益性の向上を推進する方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2. 収益特性
同社の売上高は、顧客企業から受け取るサービス利用料(保証料、点検・修理・交換に係る料金など)となる。売上原価は、主に損害保険会社に支払う損害保険料、修理点検協力会社に支払う委託料、その他委託会社に支払う販売手数料などとなる。収益認識方法についてはHomeworthTech事業とExtendTech事業に違いがあり、共同保証主体となるケースが多いHomeworthTech事業は、保証期間に応じた売上と原価の期間按分計上が中心のストック型ビジネス、制度構築・アドミ業務が主体となるExtendTech事業は、売上と原価の一括計上が中心のフロー型ビジネスである。ストック型とフロー型のハイブリッド経営により、短期的収益と中長期的成長のバランスが取れた経営を可能としていることも特徴である。
HomeworthTech事業の長期保証契約においては、売上と原価が期間按分計上される一方で、販管費は当期に一括計上されるため、ビジネス拡大期には販管費が利益圧迫要因となる。ただし、毎期の保証契約の積み上げに伴って売上も増加するため、販管費を吸収して長期安定的な収益構造へと変化する特性がある。また、会計処理上は売上と原価を期間按分して計上するが、保証料は顧客企業より一括して受け取るため、潤沢な手元資金が発生することになる。同社はこの長期保証契約による潤沢な資金を活用して積極的な成長投資や資産運用(賃貸マンションからの賃貸収入等)を行っている。
なお、HomeworthTech事業の保証料収入のうち、売上未計上分は前受収益(1年以内に収益化される予定の保証料)及び長期前受収益(収益化が1年を超える予定の保証料)として貸借対照表に計上され、前受収益残高(前受収益残高と長期前受収益残高の合計)が将来の売上高となる。前受収益残高の四半期別推移(2021年6月期第1四半期~2024年6月期第4四半期)は、2021年6月期第1四半期の5,653百万円から右肩上がりで、2024年6月期第4四半期時点で11,746百万円まで拡大した。
近年は両事業ともに拡大基調。特にExtendTech事業は大幅伸長
3. セグメント別の推移
セグメント別業績及び主要KPIの過去4期(2021年6月期~2024年6月期、2022年6月期より「収益認識に関する会計基準」を適用して2021年6月期は遡及適用後)の推移は、売上高は両事業とも順調に右肩上がりで拡大した。HomeworthTech事業は2021年6月期1,679百万円から2024年6月期2,978百万円へ、ExtendTech事業は同825百万円から同2,316百万円へ、それぞれ伸長した。特にExtendTech事業の売上高は2021年6月期から2024年6月期に1,491百万円(180.7%)増と大幅伸長したことから、ExtendTech事業の売上高構成比も上昇した。営業利益・営業利益率は、フロー型ビジネスで利益率の高いExtendTech事業の営業利益が、売上高増加に伴って2021年6月期は276百万円から2024年6月期は1,153百万円へ大幅に伸長し、全体をけん引する形となっている。HomeworthTech事業の営業利益は、2021年6月期は114百万円、2022年6月期は111百万円、2023年6月期は120百万円、2024年6月期は146百万円とやや横ばいの傾向だが、これは期間按分計上するストック型ビジネスとして拡大期にあるためである。ただし、HomeworthTech事業の前受収益残高は新規契約獲得によって増加基調であるため、今後も安定的に売上高の伸長が期待されるだけでなく、徐々に販管費負担が軽減して営業利益の伸長や営業利益率の上昇も期待される。
また各セグメントの売上高のサービス・分野別内訳は、HomeworthTech事業が保証サービス、検査補修サービス、その他(顧客企業の業務効率化支援など)、ExtendTech事業が再生可能エネルギー分野(再生可能エネルギー領域向け保証サービス)、家電・その他分野(教育ICT領域・家電領域・その他領域向け保証サービス)としている。HomeworthTech事業では保証サービスが2021年6月期は1,196百万円から2024年6月期は2,335百万円と、ExtendTech事業では再生可能エネルギーが2021年6月期は602百万円から2024年6月期は1,794百万円と、ともに右肩上がりで順調に伸長した。
4. リスク要因と課題・対策
一般的なリスク要因としては、住宅・不動産市況や再生可能エネルギー関連機器需要など事業環境の変化、競合激化による収益性低下、損害保険会社との契約及び提携関係の変化、法令違反事業の発生や法的規制、システム障害、自然災害などがある。これらに対して同社は、幅広いサービスバリエーションとDXによる業務支援という強みを生かし、新サービス開発・提供、新事業領域への展開、保険料増加時の価格への反映などにより、競合優位性の維持・強化、事業環境変化への対応、収益性の向上を推進する方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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