*09:27JST eWell---地域包括ケアプラットフォーム「けあログっと」で成長を加速
eWell<5038>は訪問看護ステーション向けSaaS型業務支援ツール(訪問看護専用電子カルテ「iBow」)等を提供するクラウドサービス事業、診療報酬請求業務を代行するクラウドBPO事業(「iBow事務管理代行サービス」など)を展開している。なお、「iBow」は経済産業省の「IT導入補助金2024」対象ツールとなる。
同社が8月14日に発表した2024年12月期の中間期決算は、累計売上高で前年同期比24.2%増の1,205百万円(予想比+1.8%)、営業利益で同17.4%増の528百万円(同+7.0%)となった。売上高、新規獲得件数、顧客単価、全ての項目において四半期で過去最高を記録している。訪問看護業界にとってプラスの報酬改正などもあって全国の訪問看護ステーション数の伸びが+10.4%と過去最高を記録しており、iBowを中心としたクラウドサービスが堅調に推移した。採用と教育に力を入れた効果があり、BPOサービスの売上も再び上昇基調へ転じている。単価が高い他社からの切り替えによる新規獲得の割合も増加しているため、顧客単価も上昇傾向にある。営業利益率は前年同期比2.5pt低下の43.8%となっているものの、今期は上期において組織体制強化のため積極的に採用する予定だったこともあり、想定を上回る推移となっている。
通期の売上高は2,560百万円(前期比23.7%増)、営業利益は1,111百万円(同22.3%増)と高い成長が予想されているが、極めて順調な推移であることが確認された。なお、2026年12月期を最終年度とする中期経営計画では、0.1%前後の低解約率を維持し、顧客を増加させつつ、既存顧客へのアップセルを2023年度の19%から30%に向上させること、売上高4,177百万円、営業利益1,876百万円、営業利益率44.9%を目指すことなどが掲げられている。
また、決算発表と同時に、同社の成長を加速させるであろう施策、地域包括ケアプラットフォーム「けあログっと」も発表されている。少子高齢化の進行に伴い、政府は病院の平均在院日数を18日以内から16日以内にまで短縮する政策を実施している。この方針により、退院支援の重要性はますます高まり、医療従事者への業務負担は深刻化している。従来の電話とFAXに頼った方法では、病院関係者は患者の病状に合った適切な専門的ケアを提供できる訪問看護ステーションを探すのに膨大な時間と労力を費やしている。入院から退院までの期間がますます短くなっていく中、限られた時間内に患者と家族の希望をも満たすステーションを見つけることは極めて困難な状況となっている。「けあログっと」は、全国の各地域にある訪問看護ステーションの特徴や空き状況をリアルタイムで表示し、患者に適したステーションをその場で見つけて依頼できる新たな入退院支援サービスであり、これが無料で提供される。同社の訪問看護ステーションの囲い込みがさらに進む施策である。
同社は高い利益成長を遂げ、所属市場もグロース市場となるが、豊富なキャッシュ創出能力を背景に、配当も実施している。配当利回りこそ高いと言い難いが、グロース銘柄でありながら配当の有無が投資判断に影響する機関投資家にも対応できている。ストックビジネスであり、ディフェンシブな業界における成長銘柄であることも相まって、時価総額に比した機関投資家の注目度も高い。
なお、同社は訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントだが、売上高構成比では、クラウドサービスが約9割を占め、BPOサービスは9.5%程度となっている。主力サービスとなる「iBow」は、患者の情報、在宅での療養経過の情報などが記録され閲覧できるクラウドシステムで、アクティブユーザー(訪問看護師)は昨年末時点で4万4,000人以上、20万人以上の在宅患者を支え、月間140万件以上の医療データを蓄積し続けている。
訪問看護ステーションは患者宅へ1件訪問するごとに国民保険連合会等から約8,500円が支払われる。ステーションは何件訪問するかが非常に重要となるなか、「iBow」は訪問看護の日々の業務を効率化して、従来手書きでされていた書類業務や情報共有にかかる時間を減らし、移動時間を削減できるため、空いた時間でステーションは訪問件数を増やすことができる。「iBow」の料金は月額18,000円の基本料金と1訪問ごとに100円となる従量課金で、ステーションは1訪問8,500円の中から100円を支払う。契約期間は最低2年で、最長では7年のプランもある。
2024年度診療報酬・介護報酬改定内容により訪問看護はプラス改定となり、訪問看護を取り巻く市場環境の整備・拡大は同社に追い風となるなか、少子高齢化で在宅ニーズが高まり訪問看護は拡大する一方で訪問看護は深刻な看護師不足の状況が続いており、業務を効率化して看護師の生産性を向上させる同社のシステムは必要不可欠な存在になっていくだろう。また、蓄積された医療データを活用した地域包括ケア事業への参入や業務量や業務内容のデータを活用する「データ活用ビジネス」の参入も目指している。社会課題を解決する同社には、中長期的に業績の拡大余地がありそうだ。 <ST>
同社が8月14日に発表した2024年12月期の中間期決算は、累計売上高で前年同期比24.2%増の1,205百万円(予想比+1.8%)、営業利益で同17.4%増の528百万円(同+7.0%)となった。売上高、新規獲得件数、顧客単価、全ての項目において四半期で過去最高を記録している。訪問看護業界にとってプラスの報酬改正などもあって全国の訪問看護ステーション数の伸びが+10.4%と過去最高を記録しており、iBowを中心としたクラウドサービスが堅調に推移した。採用と教育に力を入れた効果があり、BPOサービスの売上も再び上昇基調へ転じている。単価が高い他社からの切り替えによる新規獲得の割合も増加しているため、顧客単価も上昇傾向にある。営業利益率は前年同期比2.5pt低下の43.8%となっているものの、今期は上期において組織体制強化のため積極的に採用する予定だったこともあり、想定を上回る推移となっている。
通期の売上高は2,560百万円(前期比23.7%増)、営業利益は1,111百万円(同22.3%増)と高い成長が予想されているが、極めて順調な推移であることが確認された。なお、2026年12月期を最終年度とする中期経営計画では、0.1%前後の低解約率を維持し、顧客を増加させつつ、既存顧客へのアップセルを2023年度の19%から30%に向上させること、売上高4,177百万円、営業利益1,876百万円、営業利益率44.9%を目指すことなどが掲げられている。
また、決算発表と同時に、同社の成長を加速させるであろう施策、地域包括ケアプラットフォーム「けあログっと」も発表されている。少子高齢化の進行に伴い、政府は病院の平均在院日数を18日以内から16日以内にまで短縮する政策を実施している。この方針により、退院支援の重要性はますます高まり、医療従事者への業務負担は深刻化している。従来の電話とFAXに頼った方法では、病院関係者は患者の病状に合った適切な専門的ケアを提供できる訪問看護ステーションを探すのに膨大な時間と労力を費やしている。入院から退院までの期間がますます短くなっていく中、限られた時間内に患者と家族の希望をも満たすステーションを見つけることは極めて困難な状況となっている。「けあログっと」は、全国の各地域にある訪問看護ステーションの特徴や空き状況をリアルタイムで表示し、患者に適したステーションをその場で見つけて依頼できる新たな入退院支援サービスであり、これが無料で提供される。同社の訪問看護ステーションの囲い込みがさらに進む施策である。
同社は高い利益成長を遂げ、所属市場もグロース市場となるが、豊富なキャッシュ創出能力を背景に、配当も実施している。配当利回りこそ高いと言い難いが、グロース銘柄でありながら配当の有無が投資判断に影響する機関投資家にも対応できている。ストックビジネスであり、ディフェンシブな業界における成長銘柄であることも相まって、時価総額に比した機関投資家の注目度も高い。
なお、同社は訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントだが、売上高構成比では、クラウドサービスが約9割を占め、BPOサービスは9.5%程度となっている。主力サービスとなる「iBow」は、患者の情報、在宅での療養経過の情報などが記録され閲覧できるクラウドシステムで、アクティブユーザー(訪問看護師)は昨年末時点で4万4,000人以上、20万人以上の在宅患者を支え、月間140万件以上の医療データを蓄積し続けている。
訪問看護ステーションは患者宅へ1件訪問するごとに国民保険連合会等から約8,500円が支払われる。ステーションは何件訪問するかが非常に重要となるなか、「iBow」は訪問看護の日々の業務を効率化して、従来手書きでされていた書類業務や情報共有にかかる時間を減らし、移動時間を削減できるため、空いた時間でステーションは訪問件数を増やすことができる。「iBow」の料金は月額18,000円の基本料金と1訪問ごとに100円となる従量課金で、ステーションは1訪問8,500円の中から100円を支払う。契約期間は最低2年で、最長では7年のプランもある。
2024年度診療報酬・介護報酬改定内容により訪問看護はプラス改定となり、訪問看護を取り巻く市場環境の整備・拡大は同社に追い風となるなか、少子高齢化で在宅ニーズが高まり訪問看護は拡大する一方で訪問看護は深刻な看護師不足の状況が続いており、業務を効率化して看護師の生産性を向上させる同社のシステムは必要不可欠な存在になっていくだろう。また、蓄積された医療データを活用した地域包括ケア事業への参入や業務量や業務内容のデータを活用する「データ活用ビジネス」の参入も目指している。社会課題を解決する同社には、中長期的に業績の拡大余地がありそうだ。 <ST>
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