*11:01JST アーバネット Research Memo(1):2024年6月期は大幅増収増益で過去最高更新。業務提携やM&A等が活発化
■要約
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった都市型賃貸マンション※の開発・1棟販売(卸売り:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特長がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者から高い支持を受け、入居率の高さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題だが、キャッシュ・フローの安定した都市型賃貸マンションへの投資意欲は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンドやリートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、「ホテル事業」へも参入した。2023年8月に成長資金の確保を目的とする新株予約権の発行を決議すると、戦略的な業務提携やM&Aを相次いで実施し、持続的な成長に向けた動きが活発化してきた。2024年7月にはさらなる人員拡充を見据え、本社オフィスを霞が関ビルディングに移転した。
※従来は25m2程度のワンルームマンション中心であったが、最近は需要が増えてきた30〜40m2ほどのコンパクトマンションにも対応しているため、「投資用ワンルームマンション」ではなく「都市型賃貸マンション」という表現を使用している。
2. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比38.0%増の27,965百万円、営業利益が同12.2%増の2,726百万円と大幅な増収増益となり、過去最高業績を更新した。主力の「不動産事業」における都市型賃貸マンションの販売戸数が11棟712戸(前期は11棟584戸)に拡大したほか、2024年2月末から連結化された(株)ケーナインについても、戸建・テラスハウスの分譲販売(23戸)が業績に寄与した。また、「ホテル事業」については、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加などにより、客室単価・稼働率ともに好調に推移し、黒字化を達成した。利益面では、用地価格や建設資材価格の高止まり、工事関連人件費の増加などにより原価が上昇したものの、計画を上回る増収や「ホテル事業」の黒字化により大幅な増益となった。また、活動面では、トランクルーム事業を展開するストレージ王<2997>との業務提携や、東京都南西部並びに神奈川県川崎市・横浜市において戸建・テラスハウスの分譲事業等を手掛けるケーナインの完全子会社化、持続的成長に向けて具体的な道筋(開発エリア及び事業領域の拡大、用地情報力の強化など)の明確化を行うことができた。
3. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高が前期比14.4%増の32,000百万円、営業利益が同2.7%増の2,800百万円と増収増益を見込んでいる。引き続き、ケーナインの通年寄与等が増収に寄与する。前提となる都市型賃貸マンション・戸建等の販売戸数は588戸を予定しており、全戸が既に契約済みである(2024年8月31日時点)。また、「ホテル事業」についても、旺盛な国内旅行需要やインバウンドの拡大により、好調継続を見込んでいる。利益面でも、人的投資に関連する費用増はあるものの、増収による収益の底上げにより増益を確保する見通しだ。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)やM&A,子会社によるBtoC事業(戸建・テラスハウス分譲等、マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図る考えだ。特に既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、これまで以上に選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながらも、持続的成長を目指す。足元では、今般の東京証券取引所(以下、東証)による「資本コストや株価を意識した経営に向けた対応について」などを背景として、戦略的な業務提携やM&Aの実施、人的資本投資の強化など、より成長を意識した動きが活発化しており、新たなステージに向けた具体的な方向性が見えてきた。また、「サステナビリティ基本方針」に従い、持続可能な社会実現への貢献を企業価値の向上に結び付ける姿勢を明確に示しており、パートナーとの様々な価値共創にも意欲的である。
■Key Points
・2024年6月期は販売戸数の拡大やケーナインの連結効果(4ヶ月分)、ホテル事業の黒字化により大幅な増収増益で着地
・活動面でも、戦略的な業務提携やM&Aの実施、人的資本投資の強化など、持続的な成長に向けた動きが活発化
・2025年6月期もケーナインによる通年寄与等により増収増益を見込む
・今後も既存事業の拡大を軸としつつ、M&Aを活用した事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった都市型賃貸マンション※の開発・1棟販売(卸売り:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特長がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者から高い支持を受け、入居率の高さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題だが、キャッシュ・フローの安定した都市型賃貸マンションへの投資意欲は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンドやリートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、「ホテル事業」へも参入した。2023年8月に成長資金の確保を目的とする新株予約権の発行を決議すると、戦略的な業務提携やM&Aを相次いで実施し、持続的な成長に向けた動きが活発化してきた。2024年7月にはさらなる人員拡充を見据え、本社オフィスを霞が関ビルディングに移転した。
※従来は25m2程度のワンルームマンション中心であったが、最近は需要が増えてきた30〜40m2ほどのコンパクトマンションにも対応しているため、「投資用ワンルームマンション」ではなく「都市型賃貸マンション」という表現を使用している。
2. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比38.0%増の27,965百万円、営業利益が同12.2%増の2,726百万円と大幅な増収増益となり、過去最高業績を更新した。主力の「不動産事業」における都市型賃貸マンションの販売戸数が11棟712戸(前期は11棟584戸)に拡大したほか、2024年2月末から連結化された(株)ケーナインについても、戸建・テラスハウスの分譲販売(23戸)が業績に寄与した。また、「ホテル事業」については、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加などにより、客室単価・稼働率ともに好調に推移し、黒字化を達成した。利益面では、用地価格や建設資材価格の高止まり、工事関連人件費の増加などにより原価が上昇したものの、計画を上回る増収や「ホテル事業」の黒字化により大幅な増益となった。また、活動面では、トランクルーム事業を展開するストレージ王<2997>との業務提携や、東京都南西部並びに神奈川県川崎市・横浜市において戸建・テラスハウスの分譲事業等を手掛けるケーナインの完全子会社化、持続的成長に向けて具体的な道筋(開発エリア及び事業領域の拡大、用地情報力の強化など)の明確化を行うことができた。
3. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高が前期比14.4%増の32,000百万円、営業利益が同2.7%増の2,800百万円と増収増益を見込んでいる。引き続き、ケーナインの通年寄与等が増収に寄与する。前提となる都市型賃貸マンション・戸建等の販売戸数は588戸を予定しており、全戸が既に契約済みである(2024年8月31日時点)。また、「ホテル事業」についても、旺盛な国内旅行需要やインバウンドの拡大により、好調継続を見込んでいる。利益面でも、人的投資に関連する費用増はあるものの、増収による収益の底上げにより増益を確保する見通しだ。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)やM&A,子会社によるBtoC事業(戸建・テラスハウス分譲等、マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図る考えだ。特に既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、これまで以上に選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながらも、持続的成長を目指す。足元では、今般の東京証券取引所(以下、東証)による「資本コストや株価を意識した経営に向けた対応について」などを背景として、戦略的な業務提携やM&Aの実施、人的資本投資の強化など、より成長を意識した動きが活発化しており、新たなステージに向けた具体的な方向性が見えてきた。また、「サステナビリティ基本方針」に従い、持続可能な社会実現への貢献を企業価値の向上に結び付ける姿勢を明確に示しており、パートナーとの様々な価値共創にも意欲的である。
■Key Points
・2024年6月期は販売戸数の拡大やケーナインの連結効果(4ヶ月分)、ホテル事業の黒字化により大幅な増収増益で着地
・活動面でも、戦略的な業務提携やM&Aの実施、人的資本投資の強化など、持続的な成長に向けた動きが活発化
・2025年6月期もケーナインによる通年寄与等により増収増益を見込む
・今後も既存事業の拡大を軸としつつ、M&Aを活用した事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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